古典落語を旅する 目黒のさんま

2014年12月18日 | 徒然
古典落語の舞台となった場所を旅してみた。

第1回目は「目黒のさんま」。
ある殿様が鷹狩りの帰りに、目黒の茶屋で
炭火で焼いただけの秋刀魚(当時は庶民の食べ物。殿様が食べるようなものではない)を出され
たいそうお気に召された。

城(大名であれば藩邸)に帰ってからも秋刀魚を所望するがそこは殿様。
台所番は脂が多いからと言って脂抜きをし
御試食(おしつけ=毒味係)に小骨を抜かれ
殿様の前に出された時には秋刀魚とは思えない焼き魚になってしまった。

すっかり冷めたその秋刀魚を食べた殿様。
「やはり秋刀魚は目黒にかぎる」


海沿いでも無い目黒の秋刀魚が美味いというサゲだが
実際江戸時代には目黒川には船入場があって
芝で揚がった魚を船で運んで、現在の中目黒付近で荷揚げしていた。



だから目黒の秋刀魚が新鮮なのは意外とナンセンスでも無いわけである。

殿様が秋刀魚を食べた場所のモデルとされる茶屋は実在したとされ
諸説ある中でも目黒川左岸の「茶屋坂」は
その地名からも信憑性が高い。
茶屋坂の名は、坂の周辺の公園やマンション、バス停にも付けられている。


明治時代にこの付近の住民の反対運動で
山手線はこの地よりも東側に建設されたため
目黒駅は品川区に所在している。
そのため現在では「さんま祭り」は目黒区と品川区でそれぞれ開催されている。
品川区では宮古産、目黒区では気仙沼産の秋刀魚が産直で提供される。

やっぱり秋刀魚は目黒にかぎる。
コメント
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