古典落語を旅する 王子の狐

2014年12月21日 | 徒然

王子稲荷に棲む狐は、昔から人を化かすことで有名だった。
ある日、熊五郎が王子稲荷の帰り道で
一匹の狐が葉っぱを頭に乗せて若い美女に化けた。
辺りを見回しても誰もいない。
と言うことは、自分を化かそうとしてるんだなと気付いた熊さん。
化かされた振りをして逆に化かそうと思いつく。

熊さんと狐が化けた美女が料理屋へ入る。
それが「扇屋」。
現在でも玉子焼きを売る老舗だ。

今は座敷はなく、かつて料理屋だった場所をテナントビルにして
そこの1階で伝統の玉子焼きを販売している。


(中央に盛ってあるのが扇屋の玉子焼き)

熊さんは狐を酔わせて寝入っている隙に
「勘定は女が払う」と言って帰ってしまう。

この事を兄貴分に話したら「狐の祟りは怖い」と言われ
翌日慌ててお詫びの土産の饅頭をもって狐のところへ行く。
子狐に土産を渡して母狐(前日、熊五郎に騙された狐)に持っていくと
「食べちゃダメだよ!馬糞かもしれない」(サゲ)


王子稲荷のある場所は、崖線となっていて
江戸時代には狐や狸が棲むような場所だった。
今でも王子稲荷や名主の滝、飛鳥山公園の崖には
そんな風情が残されている。



王子稲荷では、大晦日の夜から年越しの「狐の行列」で賑わう。
松明に照らされた狐たちに扮した行列は
妖しく幽かな雰囲気を醸し出している。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする