人類は火と共に生き、
進化してきた。
料理をし、
武器を作り、
電気を起こした。
火を見ていると
人は時に饒舌になり、
時に、寡黙になる。
だが、
火は常に語り掛けてくる。
揺らぎの中に
一瞬たりとも同じ姿を見せない。
変幻自在に形を変え、
その動きを止めようとしない。
それは、
優しくもあり、
獰猛(どうもう)でもある。
そうした火との対話は実に面白い。
語り掛けると
それにこたえるかのように
炎が揺れ、
火の粉を散らす。
火を観ながら
自分に語り掛けることもある。
何をしたいのか?
どうありたいのか?
これまで歩んできた人生が
走馬灯のように炎の中に映し出され
ここまで生きてきた自分を慈しむ。
薪をくべ、
感謝の祈りを捧げる。
いつしか夜も更けていき、
心地よい睡魔に襲われる。