カンボジア経済

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外国人住居の全数調査へ 人身取引防止を目指して

2022年08月05日 | 経済
 カンボジア内務省は、人身取引を防止する観点から外国人住居の全数調査に取り組む方針を公表しました。米国務省が7月19日に公表した世界各国の人身取引に関する報告書の2022年版(2022 Trafficking in Persons Report)で、カンボジアが最低ランクの「ティア3」に格下げされたことへの対応と見られます。サー・ケン内務大臣は、「これまでも人身取引への監視を強めてきたが、さらに対策を強化して抜け道などを根絶するため、国内在住の外国人の生活を詳細に調査する方針を固めた」と述べています。外交官を除く全ての外国人の居住・宿泊施設や建設現場などを点検し、入国の合法性や人身取引の可能性などを調査するとしています。
 米国の報告書によりますと、カンボジアではこれまでカンボジア人が人身取引の対象となり、だまされてタイ等で強制労働させられるケースを問題視してきましたが、最近は中国系の犯罪集団によって外国人がカンボジアに連れてこられて強制労働させられるケースが重大な問題となっていると指摘しています。
 なお、報告書では、日本は「ティア2」に分類されています。報告書では日本の技能実習制度が人身取引の温床になっている上、日本政府が十分な対応を取っていないと厳しく批判しています。技能実習生が来日前に負担する費用などに関する出入国在留管理庁の最近の調査結果によりますと、来日前に母国で借金をしていると答えた実習生は全体のおよそ55%と半数を超えています。国別の平均支払額はベトナムが最多で約69万円、中国が約59万円で、カンボジアは第3位の約57万円の借金を背負っているとしています。こうした批判を受けて、古川禎久法務大臣は7月29日の記者会見で、外国人技能実習制度の本格的な見直しに乗り出す考えを表明しました。実習先で暴行を受けるなど人権侵害が後を絶たないといった問題点を挙げ、具体的な制度改正に向けた議論を進めるとしています。
(写真は、在カンボジア米国大使館のサイトより)

米国の人身取引に関する報告書(英文です)
https://www.state.gov/reports/2022-trafficking-in-persons-report/

同上 カンボジア部分(英文です)
https://kh.usembassy.gov/2022-trafficking-in-persons-report-cambodia/


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