カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、8月に開催された第48回金融政策委員会で、金融機関(商業銀行、特殊銀行、マイクロファイナンス機関等)に対し、今年末が期限となっている貸付残高の10%以上をリエル建てとする規制について、完全に実施するよう求めたとのことです。
2016年12月1日、カンボジア国立銀行は、金融機関の自国通貨建て信用供与に関する省令を公布しました。この省令の目的は、高度にドル化しているカンボジア経済の状況に対し、金融機関の自国通貨(リエル)建ての信用供与を促進することにあります。省令では、2019年12月31日までに金融機関に自国通貨建ての貸付を貸付全体の10%以上とすることを求めています。また、リエル建て信用供与の状況について、NBCが監督するとしています。
金融機関のうち、マイクロファイナンス機関の多くは、農村部に多くの借入人がいるため、既にリエル建て10%という基準を十分に満たしているところが多いものと見られます。他方、都市部を中心としている商業銀行の一部では、顧客のドル建て希望が強いことに加え、銀行側も為替リスクを嫌う傾向があるため、ドル建て選好が続いているものと見られます。大手商業銀行のACLEDA銀行では既にリエル建て比率が12.5%となっているとしていますが、他の銀行ではリエル建て化が進まず苦労しているところもあると見られます。
高度にドル化されているカンボジア経済においては、脱ドル化が必要ではありますが、その速度は非常にゆっくりと進める必要があります。一歩間違って、自国通貨への信認が揺らいだり、ドルへの両替が規制されたりすると、アルゼンチンのように自国通貨の価値が60分の一に減価するようなことになりかねません。貸付残高の10%という基準は、概ね妥当なものと見られますが、難しい場合には無理を押し付けず、柔軟な対応が取られることが期待されます。
(写真は。NBCの旧庁舎。高層ビル建て替えのため既に取り壊されている)
中央銀行の省令(英文仮訳)
https://www.nbc.org.kh/download_files/legislation/prakas_eng/Prakas-on-providing-KHR-credit-eng.pdf
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2016年12月1日、カンボジア国立銀行は、金融機関の自国通貨建て信用供与に関する省令を公布しました。この省令の目的は、高度にドル化しているカンボジア経済の状況に対し、金融機関の自国通貨(リエル)建ての信用供与を促進することにあります。省令では、2019年12月31日までに金融機関に自国通貨建ての貸付を貸付全体の10%以上とすることを求めています。また、リエル建て信用供与の状況について、NBCが監督するとしています。
金融機関のうち、マイクロファイナンス機関の多くは、農村部に多くの借入人がいるため、既にリエル建て10%という基準を十分に満たしているところが多いものと見られます。他方、都市部を中心としている商業銀行の一部では、顧客のドル建て希望が強いことに加え、銀行側も為替リスクを嫌う傾向があるため、ドル建て選好が続いているものと見られます。大手商業銀行のACLEDA銀行では既にリエル建て比率が12.5%となっているとしていますが、他の銀行ではリエル建て化が進まず苦労しているところもあると見られます。
高度にドル化されているカンボジア経済においては、脱ドル化が必要ではありますが、その速度は非常にゆっくりと進める必要があります。一歩間違って、自国通貨への信認が揺らいだり、ドルへの両替が規制されたりすると、アルゼンチンのように自国通貨の価値が60分の一に減価するようなことになりかねません。貸付残高の10%という基準は、概ね妥当なものと見られますが、難しい場合には無理を押し付けず、柔軟な対応が取られることが期待されます。
(写真は。NBCの旧庁舎。高層ビル建て替えのため既に取り壊されている)
中央銀行の省令(英文仮訳)
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