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2022年1月に、カンボジア南部のカンポット、ケップ、シアヌークビル等を視察する機会がありました。
カンポットから国道3号線・4号線でシアヌークビルに向かいます。国道3号線のカンポット~ビールレン(国道4号線との合流点)の区間(54キロ)の改修は、韓国の支援で2008年に完成しましたが、当初から工事の品質に問題があるとの指摘があり、完成してすぐに穴だらけになる等、状況が悪化していました。このため、世界銀行の支援で再改修工事が実施されてきましたが、2021年6月に現場を視察した公共事業運輸省のスン・チャントル大臣は、工事を担当していた韓国企業Korea Consultants International (KCI)社の低品質工事を確認し、契約取消処分としました。同時に、工事を担当していた次官も更迭されました。今回視察したところ、改修工事が再開されている様子はなく、道路の状況はひどいものでした。早期の施工業者決定と改修工事の完成が待たれます。
国道4号線についても世界銀行の支援が決定しています。ようやく入札手続きが完了し、施工業者が決まり、これから改修工事が実施される予定です。フン・セン首相は、入札手続きが複雑すぎることが遅延の原因であるとして世界銀行に不満をぶつけていました。なお、シアヌークビル市近郊区間だけは、シアヌークビル道路改修事業で改修が既に完了しており、片側3車線の立派な道路になっていて、驚きました。
2年ぶりのシアヌークビルは大変貌していました。まず、空港近辺から海岸を通って、オーチュティルビーチまで行くことができる片側3車線の道路が新設されていました。昔はアクセスが悪くバックパッカーしかおらず、良い意味で閑散としていたオターズビーチは、海岸道路や浜辺の遊歩道が整備されて、明るいリゾート地に一変していました。また、ごちゃごちゃしていた客船ターミナル付近から海岸を埋め立てて、ソッカホテルに至る道路や海岸広場も建設が完了しています。この他、市内の道路は拡幅整備されており、工事中は色々と大変だったようですが、町の雰囲気は大変貌していました。
シアヌークビルと言えば「中国化」です。新型コロナ以前は、中国人の不動産投資に支えられて、カジノやホテル、リゾートマンション等が次々に着工されて活況を示していました。また、多くの中国人が移住・訪問して、町は中国語だらけとなり、シアヌークビルは第二のマカオであるとも言われました。しかし、中国の海外投資規制やオンラインカジノ規制に加えて、新型コロナの影響も大きく、多くの中国人が引き揚げてしまいました。今回の視察でも、建設が途中で止まった建物(カジノやホテル、リゾートマンション)を多数確認できました。中国の大手不動産会社の破たんも中国人の海外不動産投資に影響を与えるものと見られます。今後、建設工事が止まっている不動産をどうするかも重大な課題となりつつあるものと見られます。中国人は少し戻り始めているようでしたが、同時に犯罪も多発しています。銃器犯罪、ドラッグや売春に加えて、人身売買や強制労働といった犯罪の摘発が地元の新聞を賑わせています。中国に偏った開発の方向性について、今後カンボジア政府がどのように考えていくかが注目されます。
また、中国軍の進出疑惑があるリアム海軍基地もシアヌークビル近郊です。道路の整備によって、シアヌークビル空港から海軍基地まで車で15分ほどとなっており、中国軍の輸送機による急速展開も可能な状況と見られます。米国が神経をとがらせるのもやむを得ないものと見られ、カンボジアの慎重な対応が望まれます。
(写真は、オーチュティルビーチ南端からの景色。昔は何もなかった場所に、ビルが立ち並んでいるのが信じられない光景です。)
韓国業者の低品質工事のためにぼろぼろの状況の国道3号線
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昔ながらの国道4号線。間もなく世界銀行の支援で改良工事が開始される予定です。
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国道4号線もシアヌークビル市内では、片側3車線に拡幅改良されています。あまりの変貌ぶりにびっくりしました。
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空港近辺から海岸を通って、オーチュティルビーチまで行くことができる片側3車線の道路。カンボジアだって、やればできるということを教えてくれます。
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何もないのが取柄だったオターズビーチも、道路、海沿いの遊歩道、ビーチ等が整備されて面目一新です。
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「中国化」の夢のあと。建設途中のビルが多数放置されていました。
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夜のシアヌークビル。中国語の看板が目立ちます。中国系マフィア等による治安の悪化も指摘されています。
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リアム海軍基地のある半島を望む高台から。
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カンポットから国道3号線・4号線でシアヌークビルに向かいます。国道3号線のカンポット~ビールレン(国道4号線との合流点)の区間(54キロ)の改修は、韓国の支援で2008年に完成しましたが、当初から工事の品質に問題があるとの指摘があり、完成してすぐに穴だらけになる等、状況が悪化していました。このため、世界銀行の支援で再改修工事が実施されてきましたが、2021年6月に現場を視察した公共事業運輸省のスン・チャントル大臣は、工事を担当していた韓国企業Korea Consultants International (KCI)社の低品質工事を確認し、契約取消処分としました。同時に、工事を担当していた次官も更迭されました。今回視察したところ、改修工事が再開されている様子はなく、道路の状況はひどいものでした。早期の施工業者決定と改修工事の完成が待たれます。
国道4号線についても世界銀行の支援が決定しています。ようやく入札手続きが完了し、施工業者が決まり、これから改修工事が実施される予定です。フン・セン首相は、入札手続きが複雑すぎることが遅延の原因であるとして世界銀行に不満をぶつけていました。なお、シアヌークビル市近郊区間だけは、シアヌークビル道路改修事業で改修が既に完了しており、片側3車線の立派な道路になっていて、驚きました。
2年ぶりのシアヌークビルは大変貌していました。まず、空港近辺から海岸を通って、オーチュティルビーチまで行くことができる片側3車線の道路が新設されていました。昔はアクセスが悪くバックパッカーしかおらず、良い意味で閑散としていたオターズビーチは、海岸道路や浜辺の遊歩道が整備されて、明るいリゾート地に一変していました。また、ごちゃごちゃしていた客船ターミナル付近から海岸を埋め立てて、ソッカホテルに至る道路や海岸広場も建設が完了しています。この他、市内の道路は拡幅整備されており、工事中は色々と大変だったようですが、町の雰囲気は大変貌していました。
シアヌークビルと言えば「中国化」です。新型コロナ以前は、中国人の不動産投資に支えられて、カジノやホテル、リゾートマンション等が次々に着工されて活況を示していました。また、多くの中国人が移住・訪問して、町は中国語だらけとなり、シアヌークビルは第二のマカオであるとも言われました。しかし、中国の海外投資規制やオンラインカジノ規制に加えて、新型コロナの影響も大きく、多くの中国人が引き揚げてしまいました。今回の視察でも、建設が途中で止まった建物(カジノやホテル、リゾートマンション)を多数確認できました。中国の大手不動産会社の破たんも中国人の海外不動産投資に影響を与えるものと見られます。今後、建設工事が止まっている不動産をどうするかも重大な課題となりつつあるものと見られます。中国人は少し戻り始めているようでしたが、同時に犯罪も多発しています。銃器犯罪、ドラッグや売春に加えて、人身売買や強制労働といった犯罪の摘発が地元の新聞を賑わせています。中国に偏った開発の方向性について、今後カンボジア政府がどのように考えていくかが注目されます。
また、中国軍の進出疑惑があるリアム海軍基地もシアヌークビル近郊です。道路の整備によって、シアヌークビル空港から海軍基地まで車で15分ほどとなっており、中国軍の輸送機による急速展開も可能な状況と見られます。米国が神経をとがらせるのもやむを得ないものと見られ、カンボジアの慎重な対応が望まれます。
(写真は、オーチュティルビーチ南端からの景色。昔は何もなかった場所に、ビルが立ち並んでいるのが信じられない光景です。)
韓国業者の低品質工事のためにぼろぼろの状況の国道3号線
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昔ながらの国道4号線。間もなく世界銀行の支援で改良工事が開始される予定です。
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国道4号線もシアヌークビル市内では、片側3車線に拡幅改良されています。あまりの変貌ぶりにびっくりしました。
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空港近辺から海岸を通って、オーチュティルビーチまで行くことができる片側3車線の道路。カンボジアだって、やればできるということを教えてくれます。
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何もないのが取柄だったオターズビーチも、道路、海沿いの遊歩道、ビーチ等が整備されて面目一新です。
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「中国化」の夢のあと。建設途中のビルが多数放置されていました。
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夜のシアヌークビル。中国語の看板が目立ちます。中国系マフィア等による治安の悪化も指摘されています。
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リアム海軍基地のある半島を望む高台から。
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