英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

竜王戦第6局 第1日

2010-12-14 18:50:00 | 将棋
 第6局が始まりました。
 戦型は角換わり腰掛け銀。例の同型の局面が期待されていたようですが、私はそうはならないと見ていました。
 あの形は先手が指せるというのが通説でかなり研究が進められている。当然両者も研究しており、よほどの研究成果が得られていないと選べないと見ていた(竜王は先日順位戦で新手を繰り出したが、郷田九段に敗れている)。
 新手ではないがあまり指されていない亜流の戦型を研究し、それを繰り出すのではないかと。そうすれば自分は研究十分で、名人は研究が手薄の順になると考えたのではないか。
 実際、竜王は同型には進めず、6五の位を取り、7筋の歩を突かず、先手に仕掛けを与えない策戦を取った。さらに仕掛けタイミングを計る両者の駆け引きが続き、その中で竜王が金を5二に戻すという工夫を見せた(渡辺新手(新工夫)図)。

 竜王は後手番なので千日手でもかまわない。仕掛けなければならないという負担の上、竜王の研究の網に飛び込んでしまったかもしれない羽生名人の方が気苦労が多いようで、消費時間も羽生名人の方が多い。策戦家の渡辺竜王の本領発揮といった感がある。
 羽生名人は仕掛けたが、通常の形よりやや損なのではないかというタイミングと言われている。そこで名人は▲4六角(羽生苦心角図)と打ち

この角打ちに一局の命運を掛けた。ただ、この角打ちは高山市近辺(研究陣)では評判が悪いらしい。この角は後手飛車を睨んでいるが、△9三香と上がられ△9二飛とかわす手を見せられると効果が薄いように見える。また右翼への有効な攻め筋も見えない。
 そこで指された名人の一着は▲4五歩(羽生苦心2図・封じ手局面)。

自ら桂馬と銀の利き筋に駒を打つ手で、攻撃陣を硬直化させるので筋の良い手ではないが、当面4筋を確保し相手の動きを待つ柔軟な指し手かもしれない。
 持ち角を先に打ち、その角の利きでギリギリ局面の均衡を保つという展開は羽生名人は多い気がする。本局も今のところ絶大な利きを放っている訳ではなく、渡辺竜王の持ち角の先手陣に制約力の方が優っているような感がある。
 しかし、面白くないのではないかと思えた4六角・4五歩の形は後手の狙いの一つである端攻めを牽制している(香を持てば4四に打ちこみが生じる)。また、後手の桂馬の参戦がない現状では持ち角があるとはいえ腰の入った攻めはなさそうだ。
 先手番としては面白くない展開かもしれないが、それなりの戦いではないだろうか。ここ3局の苦しさを考えると、勝負はまだまだこれからであろう。
 ちなみに、中継サイトの阿久津七段の形勢判断は「先手42:後手58」だが、ここまで差はないのではないか。ただ、先手としては△1二香から穴熊を見せられた時に、4五に歩を打ってしまっているので急に動く手がないのが不安。
 封じ手の予想は阿久津七段は△1二香か△4二金引、野月七段は△4四歩を、鈴木八段は△4二金引を、桐山九段は△9二飛を予想されている。
コメント (4)
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