英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒 eleven』 第6話「交番巡査・甲斐享」

2012-11-22 17:51:21 | ドラマ・映画
事件関係者に感情移入する
捜査に私情を挟んではいけないと戒める右京
 右京の叱責に憤るだが、それは自分の未熟さに対する怒りであった。
 右京は享を人としての基本が出来ていると認めていた。


 『相棒』は理論的で遵法主義の右京、直情型で人情家の亀山の対照的なコンビが相反しながら(ほとんど亀山が負けていたが)、お互いに影響していくというコンセプトで、時を経るうちに、①この対照的な二人が、逆方向あるいは並行して絶妙なコンビネーションで事件を解決していく様子が魅力であった。(時には互いの主義がぶつかり反発することも)
 また、②人並み外れた右京の洞察力、知識、推理で難事件を解き明かしていく様も魅力である。
 さらに、③事件の真相がやるせないものであったり、右京の遵法主義による解決が人道的には受け入れにくいこともあり、問題提起に終わってしまうこともある。この後味の悪さも魅力であろう。


 相棒となる過程で避けられない衝突の回であった。(衝突と言っても、ほぼ一方的に享が右京に教育的指導を受けると言った趣で、相棒初期の亀山も相当、やられていた)
 そういう面で、今回の話は評価でき、こういうエピソードなしでは『相棒』が成立しないと言っても良いだろう。


 しかし、それに重きを置いたため、魅力の一つである右京の推理や事件解決の鮮やかさが澱んでいたように思えた。

①出張帰りにもかかわらず、ワイシャツに皺がないことに疑問を感じ、ビデオに映っていたものはストライプが入っていたことで、妻の殺害時に血を浴び、着替えたという確証を持ったのなら、そのワイシャツが一番の証拠になるはず。何を措いても抑えるべき証拠である。
②指紋採集キットはネット販売で入手できても、その指紋を偽造するためのシリコン膜を作るのは容易でないはず。
 生身の指から型を取れるのならそれほど困難ではないかも知れないが、採取した指紋からでは相当困難なはず。
③過去に久保が写真を破く際についた3本の指の指紋は特定しやすく、それをもとに3本分の指紋シートしか作らなかったはずなので、捜査員の指紋を偽造してしまうのは考えにくい。
④後姿と横に置いたコートだけで奥山と確定してしまうのはあまりにも雑な捜査。そもそも、あの位置にコートを置くことが不自然。セミナーを記録したビデオの構図が不自然。セミナーを撮るというより、アリバイ用の構図だった。
⑤嘘をついて自供に追いつめるのは、『相棒』、特に右京にはして欲しくない。


 回想シーンが多く、事件解決に粗さがあった。また、動機にしても、愛がなくなった、前恋人(ストーカー)の子どもを育てるのに憤りを感じるのは理解できるが、残された子どもの事を考えると、妻(子どもの母)を殺すまでに至るのだろうか。子どもに対しても腹立たしさを感じるのかもしれないが、離婚すればいいのではないだろうか。既に、浮気していたのだし。
 『相棒』としては意義のある話だったが、面白みはあまり感じなかった。



【ストーリー】番組サイトより
 特命係に配属され、相変わらず暇な享(成宮寛貴)は右京(水谷豊)とともに角田課長(山西惇)に頼まれ組対五課の手伝いをしていた。
 そんな中、享の元上司である中根署の堀江(山口良一)から連絡が入った。かつて享が交番勤務のころに扱ったストーカー事件の被害者・深雪(石原あつ美)が、自宅で何者かに殺害されたという。第一発見者は夫の奥山(賀集利樹)、大阪出張から帰ってきたところ妻の遺体を発見したらしい。まだ小さな息子は入院中で難を逃れたようだ。実は、享はこの夫婦に強い思い入れがあった。

 享が交番勤務だった6年前、深雪は奥山と付き合っていたが、元恋人の久保(小林高鹿)にストーカーをされたあげくに薬品をかけられるという事件となった。現場に向かう途中で享は久保とすれ違っていたが、犯人とは気づかず取り逃がしてしまう。激しく悔やむ享。
 結局、久保はその後逮捕され、懲役5年の判決を受け3年半で仮出所。一方、久保に襲われたことで奥山は深雪との結婚を決意するが、奥山の両親から猛反対される。それを押し切って奥山は深雪と夫婦になったのだった。

 捜査が進み、現場から指紋が採取されるが…。さらに久保の目撃情報が入り、じわじわと久保を追い詰めていく。
 意外な真実と真相が明らかになる中、右京が享と少し距離を置きながら事件の謎に挑む!

ゲスト: 賀集利樹 小林高鹿 石原あつ美

脚本:徳永富彦
監督:和泉聖治
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