英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『空飛ぶ広報室』 第7話「いざという時そばにいられない男だけどそれでもいいか?」

2013-05-27 10:52:38 | ドラマ・映画
 それぞれのエピソードには心を打たれたが、「自衛隊活動をPRする意義」「知ってもらうことで活動が円滑」「鷺坂の過去のエピソード」が一本の線で結び付かなかった。
 今回の話は「自衛隊における広報の意義」と、タイトルにもなっている「いざという時そばにいられないかもしれないという自衛隊員と家族の話」の2本立てで、これを強引に繋げてしまった感が否めない。


自衛隊における広報の意義
「(自衛隊が)広報活動をすること自体が不謹慎だっていう批判はないんですか?
 何か商品を売るような企業とは違って、みなさん(自衛隊)の場合、売上とか関係ないし、
 世間からのイメージが悪かったとしても、職務には直接関係ありませんよね」

「嫌われたくないという気持ちだけの問題なら、そこまで広報に力を入れる必要はないのかもしれない。
 有事の際、たとえば、災害派遣ひとつとっても、全国の皆様のご理解があればこそ、我々が迅速に有効に働くことができる。より多くの命を救えることにも繋がる

 ということを、鷺坂は平成7年、岐阜基地にいた時、災害派遣の際、痛感したらしい。


航空救難団……空自が誇るレスキュー部隊。警察、消防、海上保安庁といったあらゆるレスキューが対応できない状況において、出動を要請される。遥か遠洋から雪山まで、夜間や悪天候下においても、出動要請さえあらば、出来うる限りの救助を行う。日本唯一の全天候型レスキュー部隊。その救難員を、通称・メディックと呼ぶ。

 自衛隊にもレスキューがあったんだ。しかも、レスキューの中のレスキューが……。知らなかった。


訓練の厳しさは、自衛隊随一と言われている。
「…でないと、現場に出た時、死んじゃうんで」
と、さらっと言う………

 その厳しさを自衛隊のPVでアピールする……のではなく、
「厳しいことをアピールしても暑苦しいだけ。
 コンセプトは親しみやすさ。
 日常の空間で、ダーツを楽しむ若者たちが、実はメディックだったんだというストーリー」

『~ 他を生かすために ~  航空自衛隊』
 PVの出来は良かったが、ダーツバー……「飲酒運転(勤務)を連想させる。日常性をアピールするのに酒場である必要があるのか?」と、却下されてしまう。

 うん、ダーツバーが出た時、何か引っかかりを感じた。お堅い上層部だが、賢明な判断かもしれない。
 無駄に終わったが、柚木と槙の仲は一歩前進。柚木のスカート姿を見てぽ~とする槙、槙のアタックにうろたえる柚木が微笑ましい。


メディックの佐伯へのインタビュー
この佐伯へのインタビューでは、もう一つのテーマである「自衛隊員とその家族」のことも語られている。

「佐伯さんたちは、最も過酷な状況に送り出されることが多いんですよね。
 ご自身の命が危険に晒されることも多いと思います。
 大切な家族を残して、自分が死んでしまうかもしれない……
 その可能性は考えませんか」

佐伯はじっと考え、しばらく家族の写真を見て、
「死なないために、厳しい訓練を重ねてます。
 どうやったら、要救助者を助けられるか?
 どうやったら、生き抜けるか?
 それだけを考えます」


そして、女性を緊急搬送したことがあり、その女性の娘からもらった感謝の手紙を見せる。
≪助けてくれたじえいたいのおじさんへ
 お母さんを助けてくれて ありがとうございました。
 おじさんがこなかったら お母さんは助からなかったから 良かったです。
 これからも色んな人を 助けてあげてください。≫


「きついこともたくさんありますけど……
 えへっ、これ見たら、頑張らないわけにはいかないでしょう」



一緒に同行してこのインタビューを見た空井は、
「広報なんかしなくても、任務は任務だし、一般の人にどう思われても、関係ないと思っていた。
 でも、今、広報官である自分は、すごく、すごく伝えたい。現場で働いている隊員達の思いを、もっともっと知って欲しい

と熱く語る。

 自衛隊広報の意義のひとつの答を空井が出した。
 鷺坂の言葉「全国の皆様のご理解があればこそ、我々が迅速に有効に働くことができる」は広義過ぎであったが、「皆様のご理解」というのは、応援をもらえるほど自分たちの仕事を理解してくれる、そして、隊員がそのこと(みんなが理解していること)を知ることは、任務遂行の大きなエネルギーになるということなのだろう。




そして、リカも鷺坂にインタビューする決意をする。
鷺坂へのインタビュー

神戸が震度6だと聞いて、すぐ基地に向かった鷺坂。
待機中に携帯に「容態が急変した」と病院から連絡があった。

「(病院へ)行こうとは思いませんでしたか?」
「災害派遣は一刻を争います。
 待機中とは言え、勝手な行動は取れません。
「奥様を一人で死なせても?」
「妻には結婚前から話してありました。『何かあった時、傍にいられない男だけど、それでもいいか』…それがプロポーズ」

「会いに行けたのは、(妻が亡くなってから)5日後でした」
「後悔はされませんでしたか?」
「………妻は…一人で、たった一人で死んでいく覚悟、その覚悟はしていたと思います。でも、ホントに、幸せだったのかなって。
 ………妻よりも、言ってしまえば見ず知らずの人を助けることを選んだ自分は、自衛官としては…自衛官としては正しい選択です。でも、夫として…正しかったのかどうか……」

「答えは出ましたか?」
「……雪子は、みんな大好きでした。……みんな、愛してました、人も自然も。
 みんな見ず知らずなんかじゃない。みんな、守るべきものなんだって事を教えてくれました。
 ……雪子は今も、応援してくれてると、信じています」

 上記では省いたが、第3話の「覚悟のいる結婚……いつも笑顔でいよう」と繋がるエピソードも含めて、ジーンとくる話だった。
 ただ、ドラマ冒頭の自衛隊広報の意義や下記のインタビューの締めの言葉とは繋がりが浅いのが残念。

鷺坂のインタビューのまとめの言葉
「広報活動自体が不謹慎と言われることがあっても、それでもね、理解してもらうことで自衛隊ができることが増えるなら、そう信じて、我々は手を振り続けるしかないと、そう思っています」

リカの自省と阿久津の助言
「私の取材は、正当だったんでしょうか?
 鷺坂さんの傷をえぐっただけなんじゃないのでしょうか。
 知りたいって気持ちは、ただの野次馬根性と一緒で、私が聞き出すことで、傷つく人もいるじゃないでしょうか。怖く、なりました」
「お前が誰かの物語を知ることで、違う形でも、その思いを伝えられるのなら、意味はあるのじゃないのか」



 その答えは、意外に早く現れた。
ともみの報道
 航空救難団が出動したのに、「山岳救助隊」と報じられてしまった。
 広報の努力が足りなかったとがっかりする広報室の面々であったが、リカの助言を求めたともみによって訂正し、詳細にその活躍を報じた。

 自衛隊の広報かと思われるほどのともみのレポートだった。
 このエピソードは余分のような気もしたが、リカが主人公なので、仕方ない気もする。それに、空井とリカの最接近のきっかけにもなった。

 喜び勇んでリカのもとに駆け付け、大通りを挟んでリカの姿を見つけるが、リカは気づかず、大声で「いなぴょん~」と空井が叫ぶ。
 あまりにハイな空井なので、空井かリカが車に撥ねられるのではないかと心配してしまった。
 リカと二人でいるところを藤枝に見られたと知った時の、空井のビクつき方は笑えた。



「あまり深入りすると、見失うからな」……阿久津の言葉、気になる~


【ストーリー】番組サイトより
 リカ (新垣結衣) が空幕広報室に密着取材を続ける中、今度は航空自衛隊のイメージアップのためにプロモーションビデオを制作する企画が持ち上がった。
 しかし、空井 (綾野剛)・片山 (要潤)・比嘉 (ムロツヨシ) たちは、なかなか撮影コンセプトが決まらないでいた。すると、鷺坂 (柴田恭兵) からのヒントで、空自が誇る航空救難団の救難員、通称 『メディック』 をモデルに PV を作ろうと企画がまとまった。
 撮影の打ち合わせで、百里基地へ向かう空井に同行したリカは、メディック隊員たちの厳しい訓練を目の当たりにし驚くばかり。けれど、PV 撮影は “親しみやすさ” をコンセプトにすることからダーツバーで行われることに。広報室のメンバーやメディックのメンバーたちがエキストラとして出演し、さらに 藤枝 (桐山漣) や 珠輝 (大川藍) までもが見学に来て賑やかな現場となった。
 撮影を進めていくと、片山の思いつきで賭けをすることになり、リカが勝てば空井と珠輝がデート、空井が勝てばリカが空井に酒を奢ることになったが、その結果は…?
 一方、そんなリカたちを呆れた顔で見ていた 柚木 (水野美紀) は、槙 (高橋努) から思いがけない言葉をかけられる…。
 PV 撮影も終わり、広報室の密着取材を進めていたリカは、阿久津 (生瀬勝久) の勧めから当時、災害派遣に出ていた鷺坂に阪神淡路大震災のインタビューを頼むことに。
 ともみ (三倉茉奈) は、阪神淡路大震災のニュースを見ながら空自のヘリの説明を熱心にするリカに苛立ちを隠せないでいた。
 そんなある日、事件の現場中継のために取材に出かけていたともみから慌てた様子でリカに電話が入る。救助活動をしている目の前のヘリは航空自衛隊のヘリか?と問うともみにリカは…!?
コメント (4)
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