英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『幽かな彼女』 第4話「教師は意味ある職業か?」

2013-05-01 16:14:47 | ドラマ・映画
「意味がないことって、そんなに悪いことですかね。
 たとえば友達が変わろうとしている瞬間を見るのは、意味がありませんか?」


藤田ともみがダンスに参加して見事踊ったのを見て
「葉山さんどうですか?」
「別に。中三でダンスが踊れるようになったって、何の意味がないでしょ」
「彼女にとっては、価値があります。
 自分を変えることが出来たって価値が。
 意味はないけど価値があるってこともあるんですよ」

じっと考える葉山風。
「よかったですね。でも、私、興味ないんで」
と走って去っていくが、きっと、何か感じたのだろう。

★意味価値
 今回は、ともみが自分を変えようと一歩踏み出したこと、友だちのその姿を見ること、中三でダンスが踊れたこと、の意味や価値を考えたわけだが、
幽霊のアカネがオシャレすること……普通の人は見えないのだからオシャレしても意味はない。しかし、アカネ本人にとっては意味がある(価値がある)。
進路指導……塾の判断の方を重要視するので意味がない。確かに、形式的な進路指導だったら意味はない。

と、うまくテーマを重ねている。
 それはともかく、「教師は意味ある職業か?」というのはどうなのか?教師が意味のない職業ってあり得ないと思う。


 しかし、「意味はないけど価値がある」という言葉に、うまい表現だなと思うと同時に引っかかりを感じてしまう。
 
そもそも「意味」「価値」って?
 「意味」と「価値」、主観的とか客観的という視点で見た場合、「価値」の方が客観的で、一般的な見地から見て「価値が高い」とか評価することが多い。場合によっては「価格」が付けられる。
 対して「意味」の場合、「意義」と置き換えられ、それやその行為を見る(行う)者によって違ってくるものと考えられる。
 今回の場合、「進路指導」は葉山風をはじめとする塾の判断で決定派にとっては、まったく意味がないと考える。また、今話のような形式的な進路指導は、教師・暁にとっても生徒たちにとっても意味はない。「進路指導」も職務として考えるなら、意味は出てくる。
 「価値」は一般的意味あいがあると述べたが、「価値がある」という言い方だと、「大切だ」とか「重要だ」とかいう意味で、「意味がある」と同様、いや、大切さの度合いが強いニュアンスになる。
 と、考えると、今回の使われ方の「意味はないけど価値がある」というのは、適切ではないように思う。
 「ダンスができる」ということは、「一般の中学3年生」にとっては「意味(価値)がなく」、「ともみ」にとっては「意味(価値)がある」ということになる。
 つまり、「意味」も「価値」も意味合いは似ていて、「○○にとって」評価が変わってくるだけである。
 以上が、引っかかりを感じた理由であるが、些細な私のこだわりで、ドラマの本筋とは関係ないことである。


 一方、前話で、アンケートでの評価が最低だった千穂(前田敦子)
 その評価を受け止め、自分が教師として向き合っていなかったことも認める。
 しかし、副校長の「たった一度だけでいいので、心の底から≪ありがとう先生≫と生徒に言ってもらえるようなことをしていただけませんか」という提案を、初めからできないと諦めていた。
 が、自分より劣ると見下していた林先生(北山宏光)の今回の奮闘ぶりを見て、葉山風同様、何か感じるものがあったのかもしれない。
 その林先生だが、今回、題材が自分の顧問のダンス部の生徒だったためとはいえ、いつもとキャラが違うように感じた。


【ストーリー】番組サイトより
生きていた頃の記憶をよみがえらせたいというアカネ(杏)に頼まれ、学校に連れて来た暁(香取慎吾)。アカネは何も思い出せないが、偶然すれ違った和泉(真矢みき)に何かを感じる。

同じ頃、林(北山宏光)が顧問を務めるダンス部に問題が持ち上がる。部員たちが、新歓オリエンテーションで披露するダンスのメンバーから、踊りが一向に上達しない藤田ともみ(上白石萌歌)を外すと言い出したのだ。

そんな折、和泉の提案で、部活の顧問を試験的に民間のコーチに委託することが決まった。顧問を外された林はショックを受けるが、ともみからダンスの自主練習に付き合って欲しいと頼まれて発奮。2人で毎日特訓に励み、ともみのダンスも上達を見せる。

だが、まだ自信がないと弱気なともみは、ダンスを始めた理由を林に打ち明ける。勉強も運動も苦手で、昔から自分に自信がなかったともみ。友だちだと思っていた成績学年トップの秀才・葉山風(柴田杏花)に「つまらない人間」と冷たく突き放され、「自分を変えたい」とダンス部に飛び込んだという。

「がんばれば、人は変われる」とともみを励ます林。ところが、クラスメイトの前で特訓の成果を見せろとダンス部員に迫られたともみが、緊張のあまり過呼吸の発作を起こしてしまう。千穂(前田敦子)から「林先生のせい」と責められ、返す言葉がない林。さらに、この一件ですっかり自信をなくしたともみが「やっぱり、変われない」とダンスの特訓をやめてしまい、林は無力感にさいなまれる。

その夜、暁の部屋にやって来て、自分は間違っていたのかと落ち込む林を、思わず叱咤するアカネ。成績のような目に見える結果を出すことだけに意味があるのではなく、「教師が生徒のために何をしてあげられるかが大事」と訴えるアカネの言葉は林には聞こえない。だが、その話に心を動かされた暁に「間違ってませんよ、林先生は」と告げられた林は自分の思いを貫こうと決心する。

翌朝、暁から「簡単に変われなくても、変わろうとすることに価値がある」と励まされたともみは林との特訓を再開。数日後の新歓オリエンテーションで見事なダンスを見せ、大喝采を浴びる。ともみと手を取り合って喜ぶ林に、千穂は嫉妬を覚えて…。

一方、アカネは自分の腹にくっきりと残された“刺し傷”に気づいてがく然となり…。その頃、小原南中の図書館には、物陰から風を見つめる少年の姿があった。その手にはカッターナイフが握られていて…。
コメント (2)
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