英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season13 第17話 「妹よ」

2015-03-05 20:22:37 | ドラマ・映画
『巧妙なミスリードの構造』、『相変わらずの陣川劇場とプラスα(陣川妹)』など、面白かった。

『陣川劇場』

第一幕・陣川妹、登場
「うん、だいぶ(熱が)下がったね。よかった」
「すまんなあ、美奈子」
「何水臭いこと言わないで。今、おかゆ作るからね」


昭和の人情ドラマかドリフのコントを思わせる始まりから、おかゆを焦がし(お約束?)、兄弟げんかというプロローグ。それと、新キャラ、陣川妹・美奈子の紹介……と思ったのだが、実は……

第二幕・課長対陣川
「似てるのか?お前に」
「似てませんねぇ、顔も性格も全く違うタイプです」
「それは何よりだな。女版陣川なんて、周りは暑苦しくてたまらんからね」
「どう有意味ですか、それぇ~」
「そういう意味だよ」


ナイス、課長!

第三幕・右京の誘導に乗せられる陣川
(妹の異変に気づき、彼女の部屋を探索するが、机の引き出しに鍵がかかっている)
「鍵がかかっているようですね」
「うぅぇっ、くっっっ……」……バキッ!
「あっ」(享)
「開きました、痛ぅ…」
「いけませんねぇ、兄妹とはいえ、こんなことしては」
「構いませんよ。見ちゃいましょう」
「…そうですかぁ。では、お言葉に甘えて」


 陣川に壊して開けさせるよう誘導しておいて、しかも、すぐ行動に移す陣川を見越して、その瞬間は、違う方向を見て“止める間もなかった”事実をさりげなく作る。
 さらに、陣川の行為をたしなめて、陣川から「かまいません。見ちゃいましょう」という陣川が主導した事実も作る。

第四幕・「運命の人」…女版陣川と陣川自覚なし
「アイツは小さい頃から、やけに思い込みが激しくて、おまけに呆れるほど惚れっぽいんです。それで何度も失恋を繰り返している。……あぁ、一体、誰に似たのか」
「誰って、陣川さんそのものじゃないですか?」
「君の言っていることはよく判らんなぁ! 黙っていてくれないか!」


 「運命の人」という陣川のキーワードまで出ているのに、陣川には自覚がないんだ。
 享の“陣川さんそのもの”という突込みもナイス。第二幕の課長の“そういう意味だよ”などのやり取りといい、なかなかの“ボケ&突込み”

第五幕・「これが目に入らぬかっ!」
 美奈子失踪に関わりがあるとみられる探偵・工藤勇一(工藤新一ではない)が浮気捜査中に事情を聴取しようとして、捜査対象のガラの悪い男にキレられ、陣川が「これ(警察手帳)が目に入らないか!」と。


 助さんも、格さんの決め台詞を、ずっと言いたかったのかもしれない。

第六幕・“どっちもどっち”というか…
「女の子のクセにヤンチャで、すぐに何処かにいなくなる。心配して探すうちにこっちが山の中で迷子になって、警察に一斉捜索されて保護されたこともありました。
 あいつの高校受験の時もそうだ。雪の中、合格祈願のお参りにつきあってやって、それが元で僕は肺炎になって死にかけたこともあるんです」
「それって~、迷惑かけてんのって陣川さんのほうじゃないすか?」


第七幕・現金な陣川
「人様のものを~。金に困ってるなら、なんで一言言ってくれなかったんだよ~」
「いえ、美奈子さんは窃盗に関わってなどいないと思いますよ………(中略)……おそらく美奈子さんは、陣川君の事件ファイルを見て、自分の情報が洩れていることに気づいたのでしょう」
「自分の情報が犯罪に使われているとわかった時点で、進めていた仕事をストップせざるを得なかったということか」(享)
「そうだったのかあ……ま、そんなことだとは思ったけど」
「完全に疑っていたじゃないですか?」


第八幕・信じてないのか?
「最後に美奈子さんに会ったのは、あなたですよね。しかも、あなたには、彼女を口止めしなければならないという動機がある」(享)
「待ちたまえ!沙織さんが美奈子に何をしたって言うんだ?沙織さんはそんな人ではない!」(陣川)
「その通りです。美奈子さんを連れ去ったのは、沙織さんではありません」(右京)
「じゃぁ…いったい?」(陣川)


 「じゃあ」って、君は沙織さんを信じていなかったのか?

第九幕・警視庁一の刑事
「お兄ちゃんが来てくれなかったら、あたし、殺されてたかも。お兄ちゃん、やっぱり、警視庁一の刑事だね」
「今頃わかったか」
「杉下さんと甲斐さんですか?兄から聞いてます。いつも兄のお手伝いをして下さっているんですよね」
「陣川君には、いつも、よくしていただいています」
「いや、いや、いややややや、今回もこの二人は、ほんとによくやってくれたよ」


 兄の面子を立ててくれた特命の二人に平謝り、そして、妹を助けてくれたことに感謝して、「ごめんください」と言ってそそくさと立ち去る陣川。

第十幕・他人には厳しい
「沙織さん、あなたを見損ないました。人の秘密を勝手に流すなんて、あなたは間違っている。
 僕はあなたを見損ないました」


 “見損なった”と念を押すようにゆっくり言うが、急を要するとは言え妹の机の引き出しを壊した君が言うのか?(笑)。まあ、陣川君は、“見損なわれる”と言うより“呆れられる”とか“鬱陶しがられる”という趣だが。

終幕・運命の人やとおもったんやぁ
 花の里にて、“警視庁一の刑事”の件を謝る美奈子。

 美奈子はしっかり特命係と陣川の関係を見抜いていて、騙されていた振りをしていたのだった。
 さらに、今回の情報漏えいも気づく。ヘッドハンターとしても有能だったし、陣川の妹とは思えない。

 傍らには、いつものように酔いつぶれている陣川、
「沙織さん、運命の人やとおもったんやぁ~なんでや~……沙織さあ~ん」と、寝言。


 毎度、お約束のシーンだが、面白い。


巧妙なミスリードの構造
・第一幕のおかゆを焦がした美奈子のドジ……実は「美奈子が兄の事件ファイルを読んでいたため」という要因が隠されていた

・掃除婦のおばさんの「絶対、許せないっ!」と叫んでいたという情報は、≪軽いフェイク情報≫兼≪美奈子が“女版陣川”エピソード≫の為のものだと思ったが、実は核心に迫るヒントが隠されていた。変なタイミングで掃除に来るなあと思ったが、上記の二つの目的を果たすためのモノだと納得してしまった。

・美奈子の勤務する会社の女社長は、“いかにも裏がある”と言う感じの女性で、しかも陣川が惚れている。しかし、あまりにも怪し過ぎる雰囲気なので、今回は裏をかくのかとも思った。
 ところが、ドラマ後半で、「失踪当夜、美奈子が訪ねてきたのではないか?」という追及に、
「私たちがスカウトする人材は、高収入の方がほとんどです。その方々の家が窃盗犯に狙われてもおかしくないし、山本さんがヘッドハントされていることも、彼が口を滑らせたのかもしれない。彼女の情報が洩れたとは限らないんじゃないでしょうか」と答えてしまった。
 享は、「山本さんの秘密」と言っただけなのに、沙織は「転職話」と言っていたことを追求したが、私は、右京たちが「情報が犯罪に使われた」と言っただけなのに、「窃盗犯に狙われてもおかしくない」と言い訳したことが気になり、情報漏えいに彼女が噛んでいるのは間違いないと思った。
 こういった言葉の揚げ足取りは、相棒を見ていると鍛えられてしまうなあ。
 それはともかく、怪しさ漂う沙織に魏涼子さんをキャスティングしたのは絶妙だった。


【細かいことが気になるのが悪い癖です】
・やたら「シュレッダー」が強調されると思ったが、掃除婦が窃盗団のボスだった。でも、シュレッダー解析ソフトとあのおばさんが掛け離れすぎる。
 それに、資産を持っているという情報があれば、効率がいいが、窃盗を実行するスキルは別だと思う。
・美奈子のガムテープを貼り直し、縛られていると見せかける手際が良すぎて、笑ってしまった。
・美奈子に激しく殴打された窃盗団の一人は大丈夫だったのだろうか?
・山本家に駆け付けた美奈子が、窃盗団のひとりに羽交い絞めにされて絞め落とされたが、これって相当危険だったのでは?
・「ヘッドハンティング会社は情報が命です。それが漏えいし犯罪に使われていたなどとなっては、この会社は終わりですから」と力説する沙織だが、才能を有効に使うためとはいえ(犯罪に使われるかはともかく)自らその禁を犯すのは愚かとしか思えない。右京にも利益のための詭弁だと糾弾された。
 情報漏えいにより、ヘッドハンティングを円滑に出来たとしても、度重なれば悪いうわさが立ち、結局、追い詰められるだろう



【ストーリー】番組サイトより
 捜査一課で経理係をしている陣川(原田龍二)の妹・美奈子(水崎綾女)と連絡が取れなくなった。美奈子からの留守録の裏に、「早く乗せろ」という不穏な男の声が入っていたことから、陣川と旧知の仲である右京(水谷豊)と享(成宮寛貴)は捜査に乗り出す。
 企業から依頼を受けて人材を探すヘッドハンターをしているという美奈子。手掛かりを求めて部屋を調べると、謎の男から「例の件から手を引け」という脅迫めいたメールが届いていたことが分かる。しかし、勤務先の情報セキュリティーは厳しく、美奈子が今、どんな仕事を抱えていたか判然としない。それでも、わずかな糸口から、彼女が最近、大手電器メーカーの技術者と交渉していたこと。そして、引き抜きによる情報流出を警戒したそのメーカーが、調査会社を使って美奈子を調べていたことが分かる。

陣川の妹は、なぜ姿を消してしまったのか?
転職をめぐる情報社会の闇とは…!?
“第三の男”陣川が、妹のために命懸けの捜査に挑む!

ゲスト:原田龍二 水崎綾女

脚本:金井寛
監督:橋本一
コメント (2)
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