英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その3

2015-03-17 18:22:53 | 将棋
「A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その1」
「A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その2」の続きです。



 第9図より、▲8三銀△8四飛▲7四歩と絡みついたのに対し、△6四歩と受けたのが第10図。

 先手の攻めは後手の左美濃(天守閣美濃)の外堀を攻めるにとどまっていて、△6四歩と3七の角道を遮断されてみると、▲7三歩成には△同金で8三の銀取りが残る。また、後手の8八の角が後手陣にも利き、香取りにもなっており、先手が急かされている感がある。
 しかし、▲7三歩成△同金に銀を放置して、▲5五角△同角成▲同飛(第11図)と捌かれた局面は、後手の指し手が難しい。

 普通は△8三飛と銀を取る手だが、先に7三の桂を取られているので部分的には銀桂交換に過ぎない。確かに、全体では「金+歩3枚」対「桂」の後手の駒得ではあるが、後手の飛車金が取り残されているのが大きい。また、先手からは▲4四桂の両取りも残っている。

 そこで、△6六角と急所のラインに角を先着するが、久保九段が▲4四角と打ち返す。

 飛車を挟んで互いの角が対峙し、危険がいっぱいだ。
 渡辺二冠も△3三銀と強く応じ、久保九段も▲5三飛成と切り返す。


 これが問題の局面。
 図では△4四角と角を外す手も見えるが、▲7三龍と金を取られて後手が悪そう。なので、実戦は△5三同金▲6六角に△8三飛と手を戻したが、▲5四歩が厳しかった。


 △5四同金は▲4三角、また、△4三金とかわすのも▲6一角と打たれて手にされそう。
 そこで、△5二金と辛抱したが、5四に拠点を作られたのはあまりに大きかった。
 以下▲5三銀△5一歩▲3七桂△6九飛▲5五角打△4三金▲4五桂△6五歩▲3三桂成△同桂▲4四銀と浴びせ倒した。


 局後、問題になったのは第13図の局面。

 ここで△3九角成!(参考図1)という鬼手があった。▲同玉も▲同金も、△5三金▲同角成のときに王手馬取りの筋(参考図2)が生じる。よって△5三金に先手は▲3三角成と切るよりないが、それなら後手が大きく得をする。関係者から△3九角成を伝えられた渡辺は、「まったく気づかなかったです」と話し、頭の後ろに手を回して何度も「そうか」とつぶやいていた。久保も「全然見えてないです」と苦笑する。【中継解説より】


 しかし、△3九角成が必殺手であったかというと、そう簡単ではない。
 △3九角成(参考図1)▲同金△5三金に▲6二角(参考図3)と打つ手がある。

 以下の手順は一例だが、△5八飛▲4八桂△4四金▲7三角成△8三飛▲同馬△5五角▲3七銀△9九角成▲6一飛△3二銀▲7四馬△5一歩(参考図4)……

 もう訳が分からないが、若干先手がよさそう。

 となると、やはり久保九段がずっと微差を保っていたのかとなるが、そうとも言えない。
 第12図に戻って

 中央の飛車角を無視して、△8三飛(参考図5)と銀を取っておく手があった
かもしれないのである。

 (ニコニコ生放送で佐藤紳哉六段が指摘していたそうだ)


 8三の銀よりも▲1一角成と香を取る手が大きそうだが、△2二銀(参考図6)と受けられると意外に手が続かない。


 また、参考図5で▲5三飛成も有力だが、平凡に△5三同金▲6六角に△3三銀打(参考図7)と固めておけば後手が勝ちそうだ。


 棋力に乏しい私では真相は判らないが、第11図、第12図あたりでは渡辺二冠が逆転していたように思う。
 どうなんでしょう?ssayさん、九鬼さん。


 プレーオフ決勝、久保九段×行方八段は深夜(午前1時15分)に及ぶ激闘、150手の末、行方八段が勝利し、羽生名人への挑戦権を手にしている。3月5日、10日、16日と3局戦った久保九段、お疲れ様でした。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする