英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

14-15 Wリーグ プレイオフ/セミファイナル デンソー×富士通 第1戦

2015-03-21 23:39:58 | スポーツ
 チームのプレースタイルを貫いたチームが勝利した。ベンチワークの差が勝敗を分けたと言っても良いだろう

第1Q
 デンソーは大庭の3Pなどで得点を重ねる。牛田もシュートやリバウンドに積極的な動きを見せるが、第1Q途中2ファールでベンチ。また、高田(真)には良い位置でボールが入らない(高田の第1Qは4点、2-2)。
 富士通はパスの周りが良いが、シュートの確率がやや低い。第1Q後半からロングシュートが当たり出す。ただ、ペイント内の得点がほとんどない。
 デンソーが2~4点ほどリードしてゲームが推移したが、プレイ内容は富士通のほうが良いように思えた。第1Q終盤、長岡、山本の3Pシュートが決まったこともあり、17-17の同点で終了。

第2Q
 互いのディフェンスが上回り、オフェンスが停滞気味。その中でデンソーは吉田の3Pや伊集のミドルシュートが決まり5点リード。富士通は無得点で苦しんだが、町田が2度デイフェンスを突き破り、流れを押しとどめる。相変わらず高田は攻めさせてもらえないが、シュートブロックやリバウンドで頑張り、ペースを渡さない。(デンソー24-21富士通)
 この後も、富士通・篠原の難しいフックシュート、デンソー高田のイージージャンプシュートで拮抗したゲーム展開。

 残り2分までオフェンスが停滞したが、富士通はダブルチームを受けた篠原が篠崎にパスを通しゴール。すかさずデンソーも吉田が3Pを決める(29-25)。さらに伊集がブザービーターのジャンプシュートを決め、31-25。デンソーに流れが傾くかと思えたが、富士通も町田がドライブを決め31-27と踏みとどまる。
 このドライブは伊集の反応が1歩遅れた感がある。それを挽回しようとしたのか、最後のオフェンス(残り24秒)は、伊集がずっとボールをキープし、最後にシュートを放ったが外れる。町田に守られてしまった。伊集らしいと言えば伊集らしいが……


 デンソーが31-27とリードで前半を終えたが、富士通はよく守れており、デンソーのオフェンスの形は悪かった。 富士通のオフェンスは、第1Qはよくパスが回っていたが、第2Qに入り、45度から上でしかパスが回らなくなり、オフェンスが機能しなくなった。(“45度から上”という表現は解説の小畑亜章子氏の言葉。氏の解説はスコアだけに囚われず、プレーの質を捉えており、感心した)

 富士通・テーブスHC(ヘッドコーチ)
「高田を抑えるなどディフェンスは機能し、このまま維持したい。
 デンソーのプレッシャーディヘンスをどう崩していくかが課題で、1対1プレーに対してヘルプに来るので、その時、スクリーンプレーをうまく使うか、逆サイドにパスを送って打開したい。
 富士通の特長である3Pシュートを放てていないので、ワイドオープンを作って狙っていきたい」



第3Q
 デンソー・牛田がディフェンスを掻い潜ってシュートを決め6点差と開くが、富士通は前半の反省を活かして、山本が踏ん切りよく3Pを放ち決める。1分後、ワイドオープンの篠崎が3Pシュートを決め、一気に同点。
 デンソーも大庭の3Pシュートを決め、対抗するが、すかさず、長岡からペイントをまたぐ大きなパスを受けた町田が3Pシュートを沈め同点(36-36)。
 インサイドを攻めた富士通・長岡がファールをもらい、フリースローを2投決め38-36と逆転。
 デンソーも牛田がジャンプシュートを決め、同点とするが、山本が迷いなく3Pを決め、41-38と3点リード。さらに、高田へのパスをカットして得たオフェンスを、篠原がゴール下のパワープレーで43-38と5点リードを奪う。

 ここでデンソータイムアウト。
 小嶋HC
「オフェンスは悪くないが、高田にもっと早くパスを入れろ」と指示(ベンチレポート)。

 オフェンスが良いかは疑問だが、「高田に早くパスを入れろ」という指示は正しい。
 しかし、その直後の数プレーを見ると、確かに早めに高田にボールを入れたが、すぐ他のプレーヤーにパスを回し、高田はスクリナーに入った。ゴール近くはマークが厳しいと判断しての指示だが、結局、外郭でパスを回すだけになってしまい、オフェンスの停滞状態は打開できない。
 この間、富士通は篠崎のジャンプシュート、インサイドで篠原がうまいターンでディフェンスをかわしてシュートを決める。富士通はオフェンスのバランスも良くなってきた。
 一方、デンソーは結局、外郭のパスを回すだけで、牛田が2本ジャンプシュートを決めただけ。富士通47-デンソー42(残り2分39秒)
 この後はオフェンスは停滞し、互いに2本のフリースローを決めただけ。第3Q終了直前、高田のシュートを長岡が強烈なシュートブロック!第3Q終了。48-44と富士通4点のリード。

 4点差は充分逆転可能な点差だが、第3Qは高田が無得点とデンソーのオフェンスが機能していない。対照的に富士通はオフェンスのバランスも良く、直前のシュートブロックでムードは上々。第4Q立ち上がりに、デンソーが点を上げないと、このまま富士通に持って行かれそうだ。

 小嶋HC
「パスを回しているだけだ。ゾーンに対して、パスだけじゃなくペネトレイトを試みろ。(藤原に対して)シュートを狙っていけ」
 コーチの指示をすべて映さなかったので、高田に関する指示がどのようなものだったのかは不明。



第4Q
 最初のオフェンス、富士通・篠崎3Pシュート→オフェンスリバウンド→長岡2Pシュートが外れ、デンソーがようやく高田にペイントゾーンでパスを入れる。しかし、すかさず、山本がヘルプに入り、長岡とダブルチームで得点を阻止。高田を止めた富士通はしてやったりだが、デンソーも高田にボールを入れたことを“第1歩”と 考えるべきだろう。
 残り8分33秒、町田がフリースローを2本決め、50-44。
 デンソーは、ゴール下の高田にパスを送るが、三谷のマークが厳しく自由にさせない。結局、伊藤が3Pシュートを放ち、このリバウンドを高田が奪ったが、シュートをまたしても長岡がブロック!

 富士通が高田をよく抑えていると言えるのだが、この直前(町田のフリースロー時)に、牛田を吉田に代えたのがどうだったか?この試合、吉田は前半早めに2ファールとなった牛田に代わって出場し8点と活躍した。その得点力に期待しての起用だったが、この吉田、オフェンスリバウンドにほとんど絡まない。このプレーも、高田がオフェンスリバウンドを捕ったが、周りを富士通3選手に囲まれてしまっていた。
 牛田は高田以上にオフェンスリバウンドに積極的に絡むので、牛田にパスを回すことも可能だっただろう。富士通は忠実にボックスアウトして、リング付近を支配していたのも評価できる。それゆえ、牛田をベンチに下げたのは疑問に思える。


 この後、この試合を決定づけたプレーが出る。
 残り7分47秒、富士通・山本が3Pシュートを放つ。これが24秒ギリギリで判定はセーフ(厳密にはオーバーしていた)。このシュートが外れ、リバウンドは富士通が保持。バウンドの不運もあったが、一瞬、デンソーディフェンスが気を抜いたように見えた。
 このあと、シュート態勢の長岡に対し、吉田がファール。長岡がフリースローを2本とも決め、52-44、8点差。この一連のプレーの精神的ダメージが大きかったように思う。
 この後、ペイント外でパスを受けた高田のシュートが外れ、反転速攻で長岡にシュートを決められてしまった。54-44とついに10点差。

 タイムアウト、デンソー・小嶋HC
「(ゾーンディフェンスに)パスを回しているだけだ。ベースラインにペネトレイトしてみろ。上と下に(ディフェンダーが)来るんだから、その空いたところを高田、いい?。
 パス回しているだけなんだって、誰も破ってないの。ツースリーの外側から攻めているだけ。中へアタックしろ。
 もし、ハイポスト、アレだったら、外側にピックしてやって、ドライブ。
 コーナーの合わせと、ローポストの合わせ。わかる?
 ハイピックも当たっていいから。
 ディフェンスをもっと当たれ!なんで見ているんだ?」


 小嶋氏は、現状の不出来を何度も繰り返し注意する傾向がある。それよりも、“どうすべきか”の指示のほうが大事だが、この指示が分かりにくい。あれもこれも言って、指示が分散してしまう。

 それでも、指示通り、エンドラインにペネトレイトしてパスアウト、藤原がジャンプシュートを放つが、外れてしまう。ディフェンスも強く当たったが、それゆえ、マークがずれ、三谷がノーマーク。3Pシュートが決まり、57-44、13点差(残り5分30秒)。勝負あった。(本来なら、もう一山ありそうだが、この試合に限っては、そんな気がしなかった)

 この後、若干、富士通がもたつき、デンソーは高田が4点、伊集が怒りの3Pシュートを3本決め(最終的に15得点)、追いすがるが、富士通68-59デンソーで終了
 詳細を言うと、伊集がこのクォーター2本目の3Pシュートを決め、6点差(62-56・残り1分27秒)となり、前のフリースローを2本とも外した富士通・山本が更にフリースローを1本ミスし、次のフリースローも外していたら、“もしや”というシーンになったかもしれない。


 3Pシュートを積極的に放ち、攻撃的なオフェンスをするチームスタイルを貫き、ゾーンディフェンスを織り交ぜよく守り、高田真希を徹底的に抑えた富士通の快勝であった。
 得点バランスも良く、36歳ベテラン三谷もよく守り、要所で3Pシュートを2本決めたのはさすがである。それ以外の控え選手の薄さが弱点か。(中畑は0得点、プレータイム7分)

 デンソーは、富士通のゾーンディフェンスを破れなかったこと。さらに、高田を機能させる工夫がなかったことが敗因。
  高田汐織(0得点、プレータイム15分)、伊藤恭子(4点、34分)、藤原有沙 (0点、20分)が不調だった。
コメント (4)
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