英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その2

2015-03-16 20:45:42 | 将棋
「A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その1」の続きです。


 後手の渡辺二冠が△5五歩として先手の5四の歩の捕獲を確実にしたところ。
 金銀交換とやや駒得しているとはいえ、歩を取られてしまうと駒割は逆転するので、出来れば5四歩を取られる前に動いていきたいと思っていたら、▲5九飛とじっと飛車を引く。

確かに、△4九銀の割り打ちを消しており、5筋を押し込まれた際の飛車の当たりも弱くしている。しかし、攻めの要素は全くなく、“5四の歩が取られるのを指を咥えて見ている”という感がある。振飛車とはこう指すものなのか……
 そして、△5四飛に▲9五角。単純に6二への角成を見た手だが、渡辺二冠は△5二金と美濃囲いを崩して受けた。

 普通に△5二飛と防いでも大丈夫な気がするが、▲6三金と打たれて強引に角を成られる手を気にしたのかもしれない。渡辺二冠は「▲9五角がなければまだ……。金を上がらされるから踏んだり蹴ったり」(中継解説)と述べていたいたが、それなら△5四飛の前に△9四歩と角出を消しておく手はなかったのだろうか?
 渡辺二冠にとっては、不本意な左美濃(銀冠に比べて非常に薄いと感じているらしい)の上に、金まで離脱させられるのは、まさに“踏んだり蹴ったり”だったのだろう。

 この後、居飛車対振り飛車独特の丁々発止の技の掛け合いや、押したり引いたりの攻防が続く。

 指し手の解説は省くが、捻じり合いの雰囲気が漂っている。


 駒の振り替わりが行われた後、久保九段がじっと▲6四歩と突きだした局面。6三への銀の打ち込みを見た味の良い手だ。
 この手に対し、渡辺二冠は△7四飛と銀打ちをかわす。▲6三銀なら△6四飛▲5二銀成に△6八飛成の切り返しがある。しかし、▲6三歩成△同金と金をさらに上ずらされてしまった。
 

 このあとも捻じり合いが続くが、渡辺二冠が“らしい手”を繰り出す。

 何と、美濃囲いを再構築したのだ。薄い玉型による鬱積した不快感を霧散させる怒りをも感じさせる指し手だこれが功を奏し、渡辺ペースに思えた……
コメント
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