名人戦(第72期名人 羽生善治)
第1局は羽生名人の快勝、第2局は行方八段の会心譜で一勝一敗。
第2局であるが、指し手がどこかチグハグで最後は大差で敗れるという、ここ数年見られるようになった負けパターン。
昨年の王位戦辺りから、この負け方が増えているような気がする。
3月は棋王戦第3局の敗局のみ、4月は名人戦の他は竜王戦1組準決勝の三浦戦の勝利で2勝1敗。新年度2連勝で「今年度は全勝だ」などと大風呂敷を広げようと思ったら、早くも1敗。急に心配になってきた。
棋聖戦(第85期棋聖 羽生善治)
準決勝、佐藤天八段×村山七段、佐藤康九段×豊島七段戦が行われ、挑戦者決定戦は佐藤天八段×豊島七段となった。
長らく、挑戦者決定戦は羽生世代同士か、羽生世代VS渡辺棋王or若手棋士という顔合わせだったが、久々に若手同士の決定戦となった。
決勝トーナメント16名の顔ぶれは、トーナメント表の左から、
村山七段(前年度挑決進出)×阿久津八段、郷田王将×木村八段、渡辺棋王×佐藤天八段、行方八段×菅井六段(前年度ベスト4)、
稲葉七段(前年度ベスト4)×宮本四段、松尾七段×佐藤康九段、竹内四段×豊島七段、三浦八段×森内九段(前年度挑戦者)。
四段の2名を除くと、現A級6名を含む、そうそうたるメンバーだ。
ベスト4にA級は佐藤康九段のみ。糸谷竜王誕生と言い、時代が動き始めたのかもしれない。
佐藤天八段は渡辺棋王、菅井六段、村山七段を降して、また、豊島七段は竹内四段、三浦九段、佐藤康九段を下しての挑戦者決定戦への進出。決定戦は明日(30日)に行われる。
王座戦(第62期王座 羽生善治)
こちらは1回戦の渡辺棋王×永瀬六段(渡辺勝ち)、稲葉七段×中村太六段(稲葉勝ち)が行われたのみ。
決勝トーナメントの顔ぶれは、
丸山九段(前年度挑決進出)×屋敷九段、佐藤天八段×阿久津八段、渡辺棋王×永瀬六段、稲葉七段×中村太六段(前年度ベスト4)、
深浦九段(前年度ベスト4)×久保九段、佐藤紳六段×佐藤康九段、山崎八段×森内九段、三浦九段×豊島七段(前年度挑戦者)。
こちらもA級7名を含む豪華メンバー。
棋聖戦、王座戦の両方進出している棋士は、渡辺棋王、佐藤康九段、森内九段、佐藤天八段、阿久津八段、豊島七段、稲葉七段。両棋戦とも進出していないA級棋士は広瀬八段のみ。
左の山は渡辺棋王、佐藤天八段が有力。右の山は、まったく見当がつかない。山崎八段の活躍を期待したい。
佐藤天八段×豊島七段の顔合わせとなる可能性もある。
竜王戦(第27期竜王 糸谷哲郎)
本戦トーナメント進出を決めた棋士も出てきた。
1組
ランキング戦は、羽生名人と阿久津八段が決勝に進出し、2位以上が確定し、本戦トーナメント出場が決まっている。阿久津八段は、上述の棋聖戦、王座戦での本戦トーナメントに続き、ここでも活躍。
3位決定戦は三浦九段×豊島七段、4位決定戦は佐藤康×橋本八段、5位決定戦の準決勝は藤井九段×丸山九段、久保九段×佐藤天八段。降級は郷田王将、森内九段、行方八段、谷川九段、山崎八段。現2組の渡辺棋王が2組に残留していたら、非常に豪華メンバーになっていた。
2組
渡辺棋王が木村八段を破りランキング戦の決勝進出を決めると同時に、本戦進出、1組への昇級を決めた。
もう一つの準決勝は高橋九段×稲葉七段。広瀬八段は、2回戦(準々決勝)で高橋九段に敗れている。
3組
準決勝で高崎六段を破った及川六段が2組へ昇級を決め、本戦出場まであと1勝とした。もう一つの準決勝は真田七段×佐藤紳六段。
4組
準決勝は田村七段×永瀬六段、中田宏八段×村山七段の組み合わせ。
5組
準決勝で中村亮五段を破った斉藤六段が本戦進出を決めている。もう一つの準決勝は西川五段×八代四段。
6組
準決勝は佐藤慎五段×増田四段、千田五段×島本五段の組み合わせ。
昨期、3組在籍の糸谷七段が竜王位を獲得したため、今期は1組が1名の定員オーバー、昇級予定の糸谷七段(新竜王)が欠けた2組が1名の定員割れ。
その影響で、佐藤天八段×豊島七段戦は、他より山が一つ低く、残留するのも二勝が必要となる不運。
また、2組の渡辺棋王は1回戦不戦勝となっている。
前年度の影響で、今期に不合理が生じるのはおかしい。糸谷新竜王誕生の時点で、残留決定戦で勝利を上げ、降級を免れた4人で残留決定戦を行うべきであろう。
ただ、この手法も、新竜王が下位の組だと、その中間の組すべてで残留決定戦を行わねばならない欠点がある。
王位戦(第55期王位 羽生善治)
紅組
他棋戦で不甲斐ない広瀬八段がここでは3連勝だったが、4回戦で阿部光五段に敗れ、混戦模様に。
広瀬八段…3勝1敗、佐々木勇五段…2勝1敗、木村八段(前年挑戦者)…2勝2敗、田村七段…2勝2敗、山崎八段…1勝2敗、阿部光五段…1勝3敗。
4名が3勝2敗で並ぶ可能性もあり、通常のリーグ戦であれば、阿部光五段以外の5棋士にプレーオフ進出の目があるのだが、この王位戦では
「3勝2敗で並んだ場合、該当する直接対決の成績>前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)で優勝者・残留者を決める。それでも差のつかなかった場合には決定戦を行う」
という規定があり、最終戦の結果次第で、紅組優勝者が決まる。(決定戦なしの自動決定の公算が大きい)
白組
佐藤康九段が3連勝でトップ。
佐藤康九段…3勝0敗、千田五段(前年挑決進出)…2勝1敗、菅井六段…2勝1敗、横山六段…2勝2敗、松尾七段…1勝2敗、伊奈六段…0勝4敗。
佐藤康九段が有利だが、驚いたことに、伊那六段を除く5名が3勝2敗で並ぶ可能性もある。
2014年度女流成績勝率部門の規定に関する疑問
『週刊将棋・4月22日号』で全棋士成績がまとめられていた。
その中で、女流の勝率部門で、矢内女流五段が.696で1位だった。7割近い勝率は立派な数字だが、少し意外だった。もっと勝ってる棋士がいるのではないだろうか?
そう思って、注視すると、甲斐女流二冠…14勝5敗.737、上田女流三段…15勝4敗.789が、対局数19で既定の20局に届かず、対象外となっていた。
この他、休場していた里見女流名人の9勝4敗は別にして、香川女流王将19局(10勝9敗)、中井女流六段18局(11勝7敗)、山田女流四段16局(9勝7敗)、本田女流三段17局(10勝7敗)と、実力者や活躍者が規定対局数に届かないのは、規定対局数を見直したほうが良いのではないだろうか?
いや、それより、対局数を減らそうとする(減らした)連盟の方針に問題があるのではないだろうか?
女流王位戦・紅白リーグのシステムの問題点
今年度より、第26期より紅白リーグの順位を撤廃し、同星の棋士が複数出た場合は直接対決の結果(それでも並んだ場合は前期成績)を優先することになった。
公平なシステムとも思えるが、これにより、1敗すると挑戦権獲得が厳しくなるシステムとなった。
現在、里美女流名人が挑戦権を獲得し、甲斐女流王位に挑戦しているが、そのリーグ戦3回戦終了時点で、里美女流名人は2勝1敗で、3勝0敗の本田女流三段を星1つの差で追っていた。
しかし、里美女流名人の1敗は対本田女流戦の1敗(休場期間の不戦勝)で、この規定によると、本田女流三段は残り1勝1敗で4勝1敗となり、里美女流名人が残り2戦を勝って4勝1敗で星の上で並んでも、直接対局優先により本田女流三段が上位となる。実質、「星1つ半」の差があり、里美女流名人が白組優勝するには、本田女流三段の連敗が最低条件であった。
カギを握っていたのは中倉宏女流二段。4回戦では里美女流名人に敗れ、5回戦では本田女流三段を破るという結果。里美女流名人からお中元が届くような活躍?だった。
せっかくのリーグ戦なのだから、1敗すると可能性が低くなるシステムに変更するのは如何なものだろうか?そこまでして、女流棋士の対局数を減らしたいのだろうか?
第1局は羽生名人の快勝、第2局は行方八段の会心譜で一勝一敗。
第2局であるが、指し手がどこかチグハグで最後は大差で敗れるという、ここ数年見られるようになった負けパターン。
昨年の王位戦辺りから、この負け方が増えているような気がする。
3月は棋王戦第3局の敗局のみ、4月は名人戦の他は竜王戦1組準決勝の三浦戦の勝利で2勝1敗。新年度2連勝で「今年度は全勝だ」などと大風呂敷を広げようと思ったら、早くも1敗。急に心配になってきた。
棋聖戦(第85期棋聖 羽生善治)
準決勝、佐藤天八段×村山七段、佐藤康九段×豊島七段戦が行われ、挑戦者決定戦は佐藤天八段×豊島七段となった。
長らく、挑戦者決定戦は羽生世代同士か、羽生世代VS渡辺棋王or若手棋士という顔合わせだったが、久々に若手同士の決定戦となった。
決勝トーナメント16名の顔ぶれは、トーナメント表の左から、
村山七段(前年度挑決進出)×阿久津八段、郷田王将×木村八段、渡辺棋王×佐藤天八段、行方八段×菅井六段(前年度ベスト4)、
稲葉七段(前年度ベスト4)×宮本四段、松尾七段×佐藤康九段、竹内四段×豊島七段、三浦八段×森内九段(前年度挑戦者)。
四段の2名を除くと、現A級6名を含む、そうそうたるメンバーだ。
ベスト4にA級は佐藤康九段のみ。糸谷竜王誕生と言い、時代が動き始めたのかもしれない。
佐藤天八段は渡辺棋王、菅井六段、村山七段を降して、また、豊島七段は竹内四段、三浦九段、佐藤康九段を下しての挑戦者決定戦への進出。決定戦は明日(30日)に行われる。
王座戦(第62期王座 羽生善治)
こちらは1回戦の渡辺棋王×永瀬六段(渡辺勝ち)、稲葉七段×中村太六段(稲葉勝ち)が行われたのみ。
決勝トーナメントの顔ぶれは、
丸山九段(前年度挑決進出)×屋敷九段、佐藤天八段×阿久津八段、渡辺棋王×永瀬六段、稲葉七段×中村太六段(前年度ベスト4)、
深浦九段(前年度ベスト4)×久保九段、佐藤紳六段×佐藤康九段、山崎八段×森内九段、三浦九段×豊島七段(前年度挑戦者)。
こちらもA級7名を含む豪華メンバー。
棋聖戦、王座戦の両方進出している棋士は、渡辺棋王、佐藤康九段、森内九段、佐藤天八段、阿久津八段、豊島七段、稲葉七段。両棋戦とも進出していないA級棋士は広瀬八段のみ。
左の山は渡辺棋王、佐藤天八段が有力。右の山は、まったく見当がつかない。山崎八段の活躍を期待したい。
佐藤天八段×豊島七段の顔合わせとなる可能性もある。
竜王戦(第27期竜王 糸谷哲郎)
本戦トーナメント進出を決めた棋士も出てきた。
1組
ランキング戦は、羽生名人と阿久津八段が決勝に進出し、2位以上が確定し、本戦トーナメント出場が決まっている。阿久津八段は、上述の棋聖戦、王座戦での本戦トーナメントに続き、ここでも活躍。
3位決定戦は三浦九段×豊島七段、4位決定戦は佐藤康×橋本八段、5位決定戦の準決勝は藤井九段×丸山九段、久保九段×佐藤天八段。降級は郷田王将、森内九段、行方八段、谷川九段、山崎八段。現2組の渡辺棋王が2組に残留していたら、非常に豪華メンバーになっていた。
2組
渡辺棋王が木村八段を破りランキング戦の決勝進出を決めると同時に、本戦進出、1組への昇級を決めた。
もう一つの準決勝は高橋九段×稲葉七段。広瀬八段は、2回戦(準々決勝)で高橋九段に敗れている。
3組
準決勝で高崎六段を破った及川六段が2組へ昇級を決め、本戦出場まであと1勝とした。もう一つの準決勝は真田七段×佐藤紳六段。
4組
準決勝は田村七段×永瀬六段、中田宏八段×村山七段の組み合わせ。
5組
準決勝で中村亮五段を破った斉藤六段が本戦進出を決めている。もう一つの準決勝は西川五段×八代四段。
6組
準決勝は佐藤慎五段×増田四段、千田五段×島本五段の組み合わせ。
昨期、3組在籍の糸谷七段が竜王位を獲得したため、今期は1組が1名の定員オーバー、昇級予定の糸谷七段(新竜王)が欠けた2組が1名の定員割れ。
その影響で、佐藤天八段×豊島七段戦は、他より山が一つ低く、残留するのも二勝が必要となる不運。
また、2組の渡辺棋王は1回戦不戦勝となっている。
前年度の影響で、今期に不合理が生じるのはおかしい。糸谷新竜王誕生の時点で、残留決定戦で勝利を上げ、降級を免れた4人で残留決定戦を行うべきであろう。
ただ、この手法も、新竜王が下位の組だと、その中間の組すべてで残留決定戦を行わねばならない欠点がある。
王位戦(第55期王位 羽生善治)
紅組
他棋戦で不甲斐ない広瀬八段がここでは3連勝だったが、4回戦で阿部光五段に敗れ、混戦模様に。
広瀬八段…3勝1敗、佐々木勇五段…2勝1敗、木村八段(前年挑戦者)…2勝2敗、田村七段…2勝2敗、山崎八段…1勝2敗、阿部光五段…1勝3敗。
4名が3勝2敗で並ぶ可能性もあり、通常のリーグ戦であれば、阿部光五段以外の5棋士にプレーオフ進出の目があるのだが、この王位戦では
「3勝2敗で並んだ場合、該当する直接対決の成績>前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)で優勝者・残留者を決める。それでも差のつかなかった場合には決定戦を行う」
という規定があり、最終戦の結果次第で、紅組優勝者が決まる。(決定戦なしの自動決定の公算が大きい)
白組
佐藤康九段が3連勝でトップ。
佐藤康九段…3勝0敗、千田五段(前年挑決進出)…2勝1敗、菅井六段…2勝1敗、横山六段…2勝2敗、松尾七段…1勝2敗、伊奈六段…0勝4敗。
佐藤康九段が有利だが、驚いたことに、伊那六段を除く5名が3勝2敗で並ぶ可能性もある。
2014年度女流成績勝率部門の規定に関する疑問
『週刊将棋・4月22日号』で全棋士成績がまとめられていた。
その中で、女流の勝率部門で、矢内女流五段が.696で1位だった。7割近い勝率は立派な数字だが、少し意外だった。もっと勝ってる棋士がいるのではないだろうか?
そう思って、注視すると、甲斐女流二冠…14勝5敗.737、上田女流三段…15勝4敗.789が、対局数19で既定の20局に届かず、対象外となっていた。
この他、休場していた里見女流名人の9勝4敗は別にして、香川女流王将19局(10勝9敗)、中井女流六段18局(11勝7敗)、山田女流四段16局(9勝7敗)、本田女流三段17局(10勝7敗)と、実力者や活躍者が規定対局数に届かないのは、規定対局数を見直したほうが良いのではないだろうか?
いや、それより、対局数を減らそうとする(減らした)連盟の方針に問題があるのではないだろうか?
女流王位戦・紅白リーグのシステムの問題点
今年度より、第26期より紅白リーグの順位を撤廃し、同星の棋士が複数出た場合は直接対決の結果(それでも並んだ場合は前期成績)を優先することになった。
公平なシステムとも思えるが、これにより、1敗すると挑戦権獲得が厳しくなるシステムとなった。
現在、里美女流名人が挑戦権を獲得し、甲斐女流王位に挑戦しているが、そのリーグ戦3回戦終了時点で、里美女流名人は2勝1敗で、3勝0敗の本田女流三段を星1つの差で追っていた。
しかし、里美女流名人の1敗は対本田女流戦の1敗(休場期間の不戦勝)で、この規定によると、本田女流三段は残り1勝1敗で4勝1敗となり、里美女流名人が残り2戦を勝って4勝1敗で星の上で並んでも、直接対局優先により本田女流三段が上位となる。実質、「星1つ半」の差があり、里美女流名人が白組優勝するには、本田女流三段の連敗が最低条件であった。
カギを握っていたのは中倉宏女流二段。4回戦では里美女流名人に敗れ、5回戦では本田女流三段を破るという結果。里美女流名人からお中元が届くような活躍?だった。
せっかくのリーグ戦なのだから、1敗すると可能性が低くなるシステムに変更するのは如何なものだろうか?そこまでして、女流棋士の対局数を減らしたいのだろうか?