英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2015~16 順位戦C級1組最終局 ……≪この投了図は、ないんじゃない?≫と思ったが…「その7」

2016-06-14 23:02:59 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」の続きです。

第5戦 対片上大輔六段戦
 ▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△3三角▲同角成△同金▲8八銀に浦野八段が△6五角と筋違い角を放ち一歩得を主張した。
 しかし、この手法、「歩得」より相手の「持角&手得」の利が大きく、苦労が多い。角を打つタイミングや、その後の展開に工夫の余地があると考え、私も何度か試みたことがあるが、幸せになった記憶は少ない。(でも、その割には、指すのは楽しい)
 本局の浦野八段も、ジワジワ圧迫され苦しさを累積していった……

(図面の先手後手の対局者名が逆になっています)

銀を逃げずに2筋を突き出した。△4五歩には▲2三歩成。また△2四同歩には▲2二歩や▲2三歩が厳しい。
この局面で浦野が13分考え、そのまま指さずに投了した。先手陣は鉄壁で、自陣は攻め込まれる順を避けようがなく、攻防ともに見込みがないと判断して浦野は投了した。
終了時間は22時7分。消費時間は▲片上4時間15分、△浦野5時間42分。【中継サイトより】
(手数は59手)

 7六の角を引く直前、△4五歩と突き越す手に1時間47分の大長考を費やしたが、棋勢は思わしくなく、その後も苦慮を重ね、攻め破られるのを必至と見て、59手の短手数で駒を投じた。
 ただ、投了図以下△2四同歩に、▲2二歩なら△4五歩▲2一歩成△5一飛▲3四歩△同金▲3二角成△5二金▲1一歩成△4六歩で、また▲2三歩なら△同金▲3四銀(▲4四銀は△5二金よ頑張る)△同金▲同歩△同飛で、苦しいながらもまだ難しいと思われる。ただ、ここまでの経緯、残り18分では投了を責めることはできない。

 
第6戦 対大平武洋五段戦
 先手の浦野八段は、角道を開けたまま(6七歩型)の四間飛車穴熊の作戦。
 対する後手・大平五段は△7四歩と急戦を見せて▲6六歩を強要させた後、居飛車穴熊に囲い、相穴熊戦となった。


 図は、終盤、歩の成り捨てに対し、△同桂と取った局面。(実は、歩を成り捨て△3三同桂と跳ねさせたため、先手玉に詰めろが掛かっている。歩を成り捨てずに▲5七角と成桂を払った方が良かった(その桂の入手によって後手玉に詰めろが掛かる)。
 それはともかく、ここで、▲2二金△同銀▲2一金△同玉▲3二銀△1一玉を決め(▲2一金△同玉▲2二金△同銀▲3二銀△1一玉の手順も可)、▲5七角(変化図)と手を戻せば、先手勝勢だった。(▲5五角も△同歩は▲2一金△同玉▲2二飛成△同銀▲3二銀△1一玉▲2二金△同玉▲2三銀打△1一玉▲2二銀打までの詰みがあって良さそうだが、△2三銀▲3三角成△2二金で難しい)

 2一に金を捨てておいて、その後、手を戻すのは変調に思えるが、穴熊戦特有の距離感。
 とは言え、変化図では後手玉は詰めろになっておらず、有り得なさそうな手順だ。

 だが、先手に金気が入るか、先手の角と馬の利きをかわして詰めろを掛けるのが難しい。その上、4九の龍の縦の筋が消えると後手玉は詰んでしまうので(▲5一飛成に△4一歩の受けが必要)、△4七歩とも出来ない。
 おそらく、この順で先手の勝ちであろうが、かなり抵抗を感じる手順で、残り6分の状況(残り時間切迫と疲労)では、至難の業(技)かもしれない。
 実戦では、浦野八段は▲3三金と指し、大平五段に△2九龍以下、玉を攻めながら詰めろ逃れの詰めろを掛けられ投了となった。

 終局時刻は20時30分。消費時間は▲浦野5時間59分、△大平2時間3分。


第7戦 対神谷広志八段戦
 後手・浦野八段の四間飛車穴熊を見て、先手・神谷八段は6六に角を据え、ミレニアムに組む。
 そして、▲9三桂成と切り込む。

 全軍躍動の先手に対し、後手は辛抱を強いられる。

 第23図。

 先手の7七にいた銀が、ズンズン進撃し▲4三銀成と敵陣に攻め込んだところ。
 これに対し、△3一角と後退し、更なる▲4四桂の追撃(次に▲3二桂成)に、△4二飛!


 ……“突撃手”も実らず、この13手後に投了となった。

終局時刻は21時20分。消費時間は▲神谷4時間3分、△浦野4時間54分。

「その8」に続く。
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