英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

都知事を辞めればいいというものではない

2016-06-16 16:43:05 | 時事
舛添都知事の「せこさ」が問題となり辞職に至ったが、その応答ぶりがあまりに酷く、政治家としての素養、否、人格そのものに、欠陥があった。

「ルールに従っているので、全く問題ない」………ルール(法律)内なら、何をしても良い

「トップの人が二流のホテルに泊まりますか?恥ずかしいでしょう」………特権意識を丸出し

「精査する」………きちんとした説明ができないので、先送り

「第三者の厳しい目」………“精査する”をパワーアップして先送りしたうえ、大甘の基準で他人に“違法性なし”と判定させ、自分では釈明せず

「辞職するにせよ解散するにせよ、都政が停滞することになる」………解散をちらつかせ、不信任案提出を牽制(脅迫)

「私利私欲は全くない、東京の為」………私利私欲そのもの

「与党の公明党に裏切られた」………都知事の懇願に、自民党と民進党が≪9月まで待ってもいいかな≫とほだされかけたらしいが、最後まで執着し、悪口を叩く


 人に厳しく自分に甘く、他人の意見を無視して独断で物事を進める自分勝手な人物だったらしい。
 「違法でないので、悪いことをしていない」と理論武装していたが、最後の最後まで貫いていたので、もしかすると本当に悪いと思っていないのかもしれない。
 良くない行為を数多くしても、「以後、気をつけます」でやり過ごそうとし、自分の言葉で釈明せず、大甘な“第三者の厳しい目”で他人の判断に転化した。
 あれだけグレーなことをしておいて、自分が都政のトップで指揮を執る資格はないという自覚は全くなし。
 「“東大卒”=“エリート”」と言い切っていたが、悪知恵とプライドを身につけただけで、教養や人徳は置き去りにしたらしい。

 今回、後ろ盾の自民党からも見放され、四面楚歌の状況で、執拗な説得にようやく辞職を決断したが、これまで、全く責任説明を果たしていない。
 知事の辞職願を出した後は、まったく会見を行わない。
 ≪知事を辞めたので、説明をする必要はない≫
と考えているのだろうが、グレーなことをした事実は知事を辞めたからと言って消えるわけではなく、追及されるべきである。


“ザル法”の政治資金規正法、“選挙に勝つのが最優先の正義”……政治の腐敗ぶりが根本的な問題

 舛添都知事が辞職して、都議会解散がなくなり議員も安ど感が漂う。百条委員会設置については共産党以外は反対し秘訣。定例会見は中止、第2回の集中審議もなくなる見込み。
 ≪辞職して責任を取ったから、終わりにしよう≫という空気が自民党議員を中心に蔓延している。
 それを端的に表したのが、野村都議(自民党)の言葉。
「打ち首では気の毒だ。名誉ある切腹のほうがいいでしょう。そう思って、許してやってあげましょう」
 これに対し、前宮城県知事・浅野史郎氏が面白い見解を
「舛添氏は自分に非がないと思っている(思い込んでいる)。辞任するということは非を認めることになってしまう。なので、切腹(辞任)より打ち首(不信任)のほうが本望なはず」

 それはともかく、舛添氏は、自民党が野党になった時に、自民党を出て行った人物。そんな舛添氏を、前都知事の猪瀬氏辞任に伴う選挙で、自民党は支援した。
 “選挙に勝つのが正義”……タレント(著名人)議員(藤原あき氏が走りと言われている。その他、宮田輝氏、谷良子など数限りない)で議席を確保する自民党のモットーと言ってよい。
 舛添氏も政治学者であるがテレビへの露出も多く知名度は高かった。1999年東京都知事選挙で落選(3位・84万票を獲得)したものの、2001年第19回参議院議員通常選挙に比例区から自民党候補として立候補し、158万8862票を獲得してトップ当選(次の選挙でもトップ当選)を果たし、発言力も強く、第1次安倍改造内閣、福田康夫内閣、麻生内閣において、厚生労働大臣に就いている。
 そんな氏が、2009年の第45回衆議院総選挙で自民党が歴史的な大惨敗、政権を民主党に奪われたころから、自民党内で浮きだし(執行部批判を繰り返したらしい)、ついには離党、“新党改革”へ。
 “改革”時代も人の意見を聞かず自分勝手な行動が多かったようだ。離党のいきさつや、氏の人物像を把握しているはずだが舛添氏を支援して都知事を任せた自民党の責任は大きい。

 しかし、今回の自民党の対処も、東京都や都民のことを考えたものではなかった。
 「舛添氏を押したメンツがある」「この時期に都知事が交代するのは、五輪の日程からも都合が悪い」として、舛添知事を批判はするものの、“知事続投”の方針だった。
 だが、舛添氏への対応の緩さが、世論から自民党への不満となり、間近に迫った参議院選挙に飛び火すると考え、不信任案を提出する動きとなっただけのことで、舛添氏を知事不適格者と判断したのが不信任案提出の主因ではない。不信任案決議ではなく辞職するよう説得したのも、その方が自民党の傷が浅いからであろう。

 なので、舛添氏の辞任が決まれば、一件落着。今後も舛添氏への追及を続ければ、舛添氏を擁立した責任で、選挙の逆風が強まるので、舛添知事問題は終結させたい。そんな思惑が見え見えの自民党の空気だった。


 舛添氏の件は今後も追及すべきである(特に、千葉県ホテルの宿泊代の会議費計上の件)。
 でないと、これまで続いてきた「辞任して問題終結」の流れは止まらない。同時に、ザル法である『政治資金規正法』の改正もすべきだ。

 弁護士の先生たちも、“一票の格差”だけに目くじらを立てるのではなく、それよりも、重要な法の不備の改正をすべきである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする