英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season15 第5話「ブルーピカソ」

2016-11-10 22:20:26 | ドラマ・映画
視聴直後「おお!そうだったのか!」と感心させられた一作だが……

≪贋作を本物と思わせる決定的なアイデア≫
“発見された作品が偽物とすり替えられた”という事実を作ったことにより、元の作品が本物だと思い込ませる」
………“偽物が偽者にすり替えられるはずはない”という思い込みを利用した巧妙な詐欺だ。


 このような詐欺の手口は過去の推理作品に使われた記憶はある。
 しかし、「すり替えられたのではなく、止めていた鋲を取り換えただけの同一作品だった」というのが“すり替えの真相”というのは、ないような気がする。(もしかすると、『怪盗キッド』あたりが、このようなトリックを使用しているかもしれない)
 私は、“鋲の違いで贋作に気づいた”という画商の古澤(堀内正美)の言葉に囚われ。「鋲が欠けていた作品」=「本物」と思い込んでいた。……まさに、≪してやられた……≫
 貴和子の「これ(中村夫人の画)は本物です」という言葉を、磯田(坂西良太)が端から否定していたことを考えると、“本物は存在しない”という結論に達しなければならなかった。…………不覚だった。

≪意外な犯人≫
 上記の“もともと発見された作品が贋作であった”というトリックに気がつけば、筒井(下総源太朗)も詐欺グループの仲間で、三上を殺害したと気付けるのだが…スルーしてしまった。………不覚。
 


 …………そんなわけで、確かに、「おお!そうだったのか!」、「してやられたなあ」と感心した。しかし、よくよく考えてみると、お座成りにしている部分が多い。
・貴和子(森尾由美)と古澤、さらに、金持ちの未亡人・中村沙織(新橋耐子)の人間関係が都合よすぎ。
 25年前に“道ならぬ恋”に落ちかけた喜和子と古澤だが、思いとどまり貴和子は中村夫人の世話でシアトルの美術館へ。8年前のブルーピカソ事件の際も帰国せず、昨年、中村夫人の夫の死去を知り帰国するというのは、あまりにも都合よすぎ。
・貴和子らに策がなさ過ぎた
 ブルーピカソの出現させ、三上(斉藤陽一郎)を追い詰めたが、磯田には動じた様子はない。それなら、今度は古澤が三上に電話をするなど働きかければ、三上が白状するか、三上と磯田が動きを見せ、尻尾を掴むこともできたかもしれない。
・失態を重ねた古澤
 応援していた三上が描いた贋作を見抜けなかったことに加え、鋲の細工を許した管理の甘さは追及されても仕方がない(最初の段階で贋作を見抜けなかった点についてはある方も指摘されていました)


 脚本は坂上かつえ氏。
 過去には『相棒 season14』の第11話「共演者」を担当している。
 私はこの話の感想記事
「いきなり、“カレンが正真正銘、恵子の娘である”ことが明かされるのは、視聴者にとっては、急転直下過ぎ」
と書いている。
 また、最近、再放送で『天使が消えていく』(土曜ワイド劇場、原作:夏樹静子、出演:賀来千香子、西郷輝彦、京野ことみ)を視聴した。衝撃のラストのどんでん返しで、“やられた感”を味わった。
 もし、再放送で観る機会があるといけないので詳しいことは書けないが、登場人物のキャラと実際の行動が合致しないなどのご都合的な点も多かった(原作がそうなのかは不明)。

 とにかく、≪面白かったけれど………≫と感じることが多い脚本家さんである。
 
 

 
【ストーリー】番組サイトより
 転落死を遂げた画家の死因は自殺か他殺か?
 数十億円の絵画“ブルーピカソ”が事件を呼ぶ!

 ある休日、右京(水谷豊)が亘(反町隆史)と訪れていた絵画のオークション会場でちょっとした騒ぎが起こる。出品されていた三上史郎(斉藤陽一郎)という画家の絵画に、三上自身が「こんな駄作に価値はない」とオークションを拒否する騒動を起こしたのだ。その夜、三上が歩道橋から転落死する。
 伊丹(川原和久)たち捜査一課は、自殺と他殺の両面から捜査を開始。すると、画家としての三上の育ての親といわれるオークション会社の社長・磯田(坂西良太)と三上の間に確執があったことが判明する。
 事件に興味を持った右京は、亘と共に磯田の会社を訪れる。すると、磯田と社員の貴和子(森尾由美)が言い争う声が耳に入る。聞けば、持ち込まれた“ブルーピカソ”の真贋鑑定で意見が対立しているという。ブルーピカソとは、友人の自殺を目の当たりにしたピカソが、青い絵の具で暗いタッチの絵ばかりを描いていた“青の時代”と称される作品群のことで、持ち込まれた絵画が偽物だという磯田に対して、貴和子は本物の可能性が高いと主張しているという。
 実は、その持ち込まれた絵画というのが、いわく付きの作品で、8年前に贋作とすり替えられ、ずっと行方不明になっていたものらしい。そんな中、三上が転落死する直前、歩道橋で何者かと争っていたという目撃情報が飛び込んでくる。さらに右京は、すり替え事件の舞台となった画廊で、三上がかつて個展を開いていたことを突き止めて…!?

8年前のブルーピカソすり替え事件と
画家の不審な転落死に意外な関係が…!?
特命係が名画をめぐる時を超えた因縁に迫る!
           
ゲスト:森尾由美

脚本:坂上かつえ
監督:藤岡浩二郎
コメント
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