英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

エスカルゴさんへのお返事 (記事「吉田亜沙美の引退に思う」)

2019-05-06 21:08:08 | スポーツ
前記事「女子バスケット 吉田亜沙美の引退に思う」にエスカルゴさんから、3000字を超える気持ちの入ったコメントをいただきました。
その気持ちに応えねばなりません。

(青字はエスカルゴさんのコメントです)

私は昨夜、この記事を読んですぐにはコメントを書けず、自分のDVDの山を探したり、自分のブログの過去記事を参照したり、昔の手帳を見てスケジュールを確認したりしているうちに、夜が更けてコメントを書くのが今日になってしまいました。まだ確認不十分なところはあるかも知れませんが、一度ここでコメントします。

 「DVDの山を探したり、自分のブログの過去記事を参照したり、昔の手帳を見てスケジュールを確認したりしているうちに、夜が更けて」……エスカルゴさんのお気持ち痛み入ります。ここまでしていただけるとは、非常に嬉しく感じると同時に、先の私の記事が、そこまでしていただくほどのモノだったかと、冷や汗が出ました。


まず、本人の声明については、引退時に見ていましたが、「そうなんだ」というのが正直な気持ちでした。年齢的、体力的に、そろそろ引退でもおかしくないとは思っていましたが、少し自分の予測とは違っていたところもありました。

その一つは、リオ五輪で達成感を感じていたようなところです。私も英さんと同様に吉田選手のデビュー時からプレーを見てきましたが、リオ五輪では吉田選手のプレーぶりは際立っていて、現地の人たちからも称賛されていたと思います。チームの状態も良く、ランキング上位チームを倒して、実力を示し、本当に予選リーグ1位でもおかしくなかった。ところが、そんなチームが準々決勝で女王アメリカと当たり、大差で敗退してしまう。英さんもだと思いますが、私自身も達成感よりも、不完全燃焼感の方を多く感じたのを覚えています。「もっとできたのではないか」「もっと上に行けたのではないか」という気持ちですね。だから、当然次の東京五輪では、この経験や悔しさをバネにして、さらに上を目指すだろう、と。



 「年齢的、体力的に、そろそろ引退でもおかしくない」……そうなんですが、吉田のプレーを見ていると“引退”という言葉(概念)が結びつきませんでした。ただ、体力的な点もそうなんですが、キャリア的(年齢的)なものは改めて考えると、そうかもしれないと、今回、2008-09ファイナルのDVDを見て感じました(後述します)。

 「リオ五輪では吉田選手のプレーぶりは際立っていて~~~≪もっと上に行けたのではないか≫という気持ちですね。」……吉田、渡嘉敷を中心に、他のメンバーも充実し、私の戦前のメダル獲得の予想は35%でした。
 実際、メンバーは十二分に力を出し切り、ゲーム展開も多くの時間帯は満点に近かった。ただ、吉田自身も悔やんでいたように、オーストラリア戦で16点のリードを奪っておきながら逆転負けを喫してしまったのは非常に残念でした。
 その伏線が対トルコ戦で、序盤に大量リードを許して、追いかけきれなかったこと。このゲーム内容、展開は不満と疲労の残してしまった。(日本は個々の運動量と、運動量を活かしたディフェンス・オフェンスで強豪チームと伍して戦うので、どうしてもエアポケットのような時間帯が生じてしまうのは仕方がないかもしれませんが)
 とにかく、吉田も≪もう少しうまくやれたはず≫という悔いは大きかったと思います。


 「当然次の東京五輪では、この経験や悔しさをバネにして、さらに上を目指すだろう」……ええ。私もそう思いました。
 でも、引退会見の吉田の言葉を読むと、やはり、言い切りすぎかもしれませんが、≪吉田にとっては、リオ五輪の日本チームが最高のチームだった≫のでしょう。
 渡嘉敷や高田は健在、宮澤(リオ五輪もメンバーでしたが)や藤岡、馬瓜姉妹、赤穂姉妹など伸びてきて、リオ五輪と遜色ないチーム力だと思いますが、やはり、あのリオ五輪のチームに懸けていたのでしょう。悔いが残る点もあったと思いますが、力を出し切った感があったのでしょう。

 
ただ、確かにこの時の吉田選手のプレーは、ピークを迎えていたのかも知れません。この時28歳10か月。次の五輪までに、体力や技術、ゲーム勘などを落とさずに維持して行くことは、相当困難だということは予想されます。私たちは、吉田亜沙美は最強で最高、不老不死というようなイメージを持ってしまっているのかもしれませんが、数々のケガをしてきたり酷使し続けてきた身体が、そうそう思い通りに動いてくれない、ということを吉田選手本人は感じていたのかもしれません。

 ええ、表面上は「吉田亜沙美は最強で最高、不老不死」と思わせるプレー、パフォーマンスでしたが、ポテンシャルの下降線を彼女自身感じていたのでしょう。大きな故障もありましたし。


ただ五輪に関しては、ロンドン五輪に出られなかったこともありましたね。HCの采配の悪さゆえに。そんなこともあって、私と英さんは、「いやいや、五輪に出られただけでは、まだあの時の悔しさを晴らしたことにはならない」という気持ちがあったと思います。しかし、本人はHCのせいなどにはせず、ようやく8年かけてリオ五輪に出場できた、という満たされた気持ちになっていたのかもしれません。このあたりの本音は、本人にしかわからないところだと思います。

 前記事で書きましたが、私は、ロンドン五輪に出られなかったので“リオ五輪がすべて”になってしまったとしつこく考えています。(笑)
 当時、ふたりで「ベンチワークが酷過ぎる」と意気投合したのも、良い?思い出です。


昔の記憶ですが、吉田選手はルーキー時から、そこそこやれていましたね。大神選手との違いは、プレスをかけられた時のボール運びだったと思います。大神選手はあまりボール運びは得意ではなかった感じでしたが、吉田選手は難なくボール運びをこなしていました。逆に、得点能力に関しては大神選手の方が数段上だったと思います。そんなこともあり、出場機会は増えて行ったと思いました。

 大神と吉田のポテンシャルの違いの見解は同意です。吉田の得点能力に関しては、ロンドン五輪予選の1、2年前は非常に高く、その時期がピークだったように思います。
 くどくなりますが、ロンドン五輪予選の時も、ポイントガード・吉田、シューティングガード・大神の方が良かったと(ただ、この時の大神は骨折上がりでした)。



08-09のファイナルですが、私は第1戦から第4戦までのDVDを持っています。何なら、セミファイナルのトヨタ対シャンソン第3戦も持っています。引っ越しをした時に、バスケットのビデオやDVDは、98%ぐらい涙ながらに捨ててしまったのですが、これは持っていました。相沢優子選手の最後のシーズンだったからです。また、手帳を確認すると、どうもファイナルは全試合現地観戦していたようなメモが残っています。なぜかあまり記憶は残っていないのですが。DVDはまだ見ていませんが、たぶん第3戦が劇的なシャンソンの勝利で、確か中川選手の3Pが決め手だったような記憶があります。この年のJXとシャンソンのメンバーは、どの選手も印象に強く残っている選手ばかりですね。話せば長くなりそうですので、割愛します。また、英さんのお心遣いに感謝します。

 エスカルゴさんのスポーツ観戦姿勢には感服します。“観ていないかも”、“DVDを送ります”、“結果は知らない方が30倍面白い”等々の発言は失礼極まりなかったです。

「たぶん第3戦が劇的なシャンソンの勝利で、確か中川選手の3Pが決め手だったような記憶があります」……第3戦ではなく、シャンソンが勝ったのは第2戦。でも、試合展開が違う気もします。……もしかしたら、劇的3Pシュートは第4戦かもしれませんね。
「この年のJXとシャンソンのメンバーは、どの選手も印象に強く残っている選手ばかりですね」……ええ、そうですね。私もDVDで再視聴して、懐かしく、そして、彼女たちのプレーに感激しました。特に、闘将・相沢選手のプレーには感動しました。
 大神が骨折で欠場していたこともありましたが、3シーズン目の吉田はゲームメイク力も秀でていてチームの核になっていました。若さの露見もありましたが。

 この試合のJOMO、シャンソンの登録メンバーは、吉田より若い選手もいたのですが、吉田を除いてすべて現役引退しています。大神は2017-18シーズンが最後でした。木林(JX)、藤吉(シャンソン)は2016-17シーズンで引退、他の選手はもっと前に引退しています。
 この他、シャンソンの渡辺、池住、中川(後にデンソーに移籍)、林眞未らは2014-15に引退しています。JOMOの田中、内海は2011-12シーズンで引退しています。
 大神は17年間(内2年は海外)もプレーをしていたのも驚異ですね。あと、立川も15年間プレーしています。このふたりは特別としても、吉田と共に、あるいは相対してプレーした選手がユニフォームを脱いでいったことを考えると、吉田の引退も仕方がないかなと思います。(12年目のシーズンも、ほとんど衰えを感じさせない吉田は凄い)
 
>吉田はコート上を動き回っていた。視野は広く、パスは正確。ドライブやジャンプシュートで得点を挙げ、≪えっ?ここにいるのか≫という感じでリバウンドにも絡んだ。15得点、10アシスト、9リバウンド、1スティール。渡嘉敷へのキラーパスがないだけで、日本代表チームの中心プレーヤー時代と基本的には同じだった。

英さんの吉田亜沙美評、実に的確だと思います。PGとして望み得る限りのあらゆる能力を、極めて高いレベルで保持しているだけでなく、「ここにいるのか!」という驚くべきポジショニングで、オフェンスリバウンドを要所で何本も奪取して行く。本当に目を奪われ、心を揺さぶられるプレーヤーでした。私は当時シャンソンファンでしたが、吉田亜沙美と大神雄子は別格でしたし、JXの他のプレーヤーにも敬意を持っていました。また、凄かったのはプレータイムの多さです。英さんがブログで、何度「吉田亜沙美を酷使しすぎている」と歴代JXHCを猛批判しても、そのプレータイムは減少せず、しかし吉田亜沙美はその酷使にもめげずに、プレーのクオリティを落とすことなく、JXの11連覇に多大な貢献をし続けたのでした。もし吉田亜沙美がいなかったら、11連覇はできなかっただろうと私は思います。


 嬉しい言葉です。ありがとうございます。



また、吉田亜沙美が決めて来た沢山の素晴らしいシュートのうち、最も私の記憶に強く刻まれているのは、15年アジア選手権予選リーグの対中国戦の残り3秒での大逆転シュートです。
これは、ライブでTV観戦していましたが、正に鳥肌もので大興奮でした。吉田亜沙美にしかできないプレー!です。


 ユーチューブのリンク、ありがとうございました。
 あのシュートは、あのシュートは……カッコイイ…


さきほど言い忘れましたが、ここで中国に1点差で勝ったことでが、アジア選手権の3連覇につながったと言っても過言ではないかと思います。この後、日本は予選リーグ1位通過により、準決勝をチャイニーズ・タイペイと戦い、敗れた中国は韓国と準決勝を戦い、疲弊します。それが原因となり、決勝での日本の大差の勝利でリオ五輪出場権獲得につながったのだと思います。

 ええ、第1シードは大きかったですね。

もう一つ、吉田亜沙美のハイライトを言わせていただければ、リオ五輪の試合会場で自然発生的に起こった、「吉田コール」です。どの試合だったかは覚えていませんが(録画を全部見ればわかるはずですが)、観客の方々も、吉田亜沙美選手の素晴らしいプレーぶりに心を奪われ、たまらず吉田コールをしたのだと思います。目標としてきた五輪の会場で、「地元の観客の方々に応援してもらえるぐらい認められた」ことは、どんなに嬉しいことだったことでしょうか。

 確かに、そんな会場の雰囲気で、吉田は凄いです。
 吉田に「池に跳び込め」と言われたら、私は跳び込みます。


まだまだ細かいエピソードなどを語って行けば、話題は尽きませんが、これぐらいで終わりにしたいと思います。アスリートが、その現役生活をどこで終わりにするのか、それはやはり気持ち、心の問題が大きいというか、すべてだと思っています。プレーを見ている私たち観客は、「まだできる。もっとプレーを見たい」と思います。ただ、そのためにはどれだけの努力をしなければならないか、どれだけの練習と体のケアをしなければならないか、どれだけメンタル的に耐えられるか、モチベーションを維持できるか、ということを考えた場合、選手が「ここまでだ」と思ったら、それが引退する時期なのだと思います。まれに、それからブランクがあって、復活する選手もいますが、それはまた別の話ですね。


 ええ、その通りです。
 吉田は、前シーズン、そして、今シーズン当初から、そして、ファイナルも、引退を頭に入れて、プレーしての判断、決断でしたから、口を挟む余地はないです。
 彼女らしい決断、酔い決断だったと思います。



今季のWリーグではベンチからのスタートで、いろいろと考えることがあったと思います。そして最後に出した結論、ということで、素直に尊重してあげたいと思います。私も同じく、「お疲れ様でした。長い間素晴らしいプレーをありがとうございました」という気持ちです。長々と思い出話を失礼しました。もう吉田選手のプレーを絶賛できないかと思うと、寂しい気持ちもありますね。

 たくさんの心のこもった言葉、ありがとうございました。
 正直、引退は寂しいですが、「お疲れ様でした。長い間素晴らしいプレーをありがとうございました」です。
コメント (2)
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