英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流棋士考 その10「女流棋士の濫造?➅ 成績不振による過去の引退女流棋士」

2023-03-30 17:24:12 | 将棋
 サブタイトル「女流棋士の濫造?」にようやく近づけた。(…が、その前に)
その1「女流棋士独断ランキング」
その2「トーナメントにおける抽選の偏り① 清麗戦予選トーナメント」
その3「トーナメントにおける抽選の偏り② 女流名人戦予選トーナメント」
その4「トーナメントにおける抽選の偏り③ その他の棋戦」
その5「女流棋士の濫造?➀ 女流棋士になる条件(女流棋士でいられる条件)」
その6「女流棋士の濫造?② 女流棋士の降級点の検証(勝率、勝数)」
その7「女流棋士の濫造?③ 女流棋士の降級点の検証…年度終了時の勝率(勝数)」
その8「女流棋士の濫造?④ 女流棋士の降級点の検証…降級点の人数の妥当性」
その9「女流棋士の濫造?⑤ 降級点消去条件の検証」

 2008年度までは、女流育成会の成績上位者が女流棋士に昇格?していた。初期は1名で、しかも、女流棋士成績最下位者と入れ替え戦が行われた。その後、2名となるなど、規定は細かく変更された。(詳しくはウィキペディア
 因みに、ウィキペディアの女流育成会の「概要」において
「1974年の女流棋士制度発足以降、アマチュア棋戦で活躍するなどある程度の棋力が認められ、プロ棋士の推薦があれば女流プロになれた。しかしより充実した女流棋界を確立させるために、成績優秀な女流棋士の育成が不可欠となり、理事会などで男性の奨励会と同じように、ある程度の棋力を担保するための女流棋士育成機関を設けることが急務となった結果、1984年4月に女流育成会が創設された。
 第1回の女流育成会には女流アマ名人戦優勝者の清水市代や高群佐知子などの9名の女性が登録。

 しかし2000年以降は入会者の減少により会員は10人前後で推移。また女性アマチュア同士で戦って昇級者を決めるシステムでは結果的にプロとの実力差の隔たりを埋める事が出来ず、2009年時点で女流育成会出身者の若手の多くがタイトル戦線に絡めないなど女流プロとしての水準を保つのが難しくなっていた。そのため日本将棋連盟理事会は、経費負担軽減と女流棋士の棋力一定化のため、2008年度末をもって女流育成会を廃止し、女流のレベルアップを目的として女流棋士志望者を男女混合の研修会に移行し、2009年4月からその成績によって女流棋士資格を与える仕組みに変更した」


 となっているが、1年で2名しか昇格できないというのは、現在より門戸が狭い
 A、B級の二段階に分かれていた当時、A級で惜しくも時点に終わった会員や、B級に在籍していた会員は相当精神的につらかったはず。成績表で、長年頑張っている名前を見ると、何とか上がってほしいと思っていた。
 《2009年時点で女流育成会出身者の若手の多くがタイトル戦線に絡めないなど女流プロとしての水準を保つのが難しくなっていた》ということで、女流育成会が撤廃されたが、卒業者には清水市代、斎田晴子、矢内理絵子、石橋幸緒、碓井(千葉)涼子、甲斐智美、上田初美、中村真梨花、里見香奈、香川愛生など、その後の活躍がめざましい女流棋士は多い。撤廃の理由は、将棋連盟の経営事情だったのかもしれない。
 ただし、1995年度から2000年度までの14名(1年に3名が昇格している年度が2年ある)は、目立った活躍をしているのは甲斐女流五段ぐらいで、他の13名は相当レベルが低いので、連盟の判断にも妥当性はある。

 現在は、男女混合の育成会でB2に昇級(昇級しても通算対局数が48局以上が必要)が女流棋士になる条件だが、かなりの頻度で女流棋士が誕生している。
 現在、その検証をしている。実は、「その8」を書いている段階で、その対象者の成績を追跡していたが、書けずに放置していたらデータも古くなり、その間にもどんどん新女流棋士が誕生してしまった。
 なので、新たに、ここ5年間の成績を調べ、3月27日に、ほぼ出来上がったが、書いているうちに本日(30日)になってしまった。3月27日のデータでは中途半端なので、年度終了後のデータを以て、検証したい。

 そこで、降級点制度によって引退した女流棋士や、降級点によって引退したかを私が把握していないものの、低成績女流棋士について、記すことにします。
 ウィキペディアによると、降級点制度によって引退したのが、神田真由美女流二段と伊藤明日香女流初段。安食総子女流初段も降級点制度で引退したと報じられている。野田澤彩乃女流初段も該当したと思われる。
 山口絵美菜女流1級は自主的に引退・退会されているが、参考までに成績を挙げさせていただく。

神田真由美女流二段 旧棋士番号15(連盟時代) LPSA棋士番号 6 生年月日 1957年10月11日(65歳)
1979年11月 2級 1981年4月 1級 1989年3月 初段 2009年3月31日 引退 2009年4月1日 二段
通算成績   103勝281敗 .268

伊藤明日香女流初段 棋士番号18 生年月日 1982年3月16日(41歳)
1995年4月1日 2級 2005年4月1日 1級 2009年3月31日 引退 2009年4月1日 初段
通算成績   22勝99敗 .182

安食総子女流初段 棋士番号22 生年月日 1974年5月2日(48歳)
1998年4月1日 2級 2002年4月1日 1級 2003年4月1日 初段 2022年7月11日 引退
2018年度成績  3勝 6敗 .333  2019年度成績  4勝 7敗 .364
2020年度成績  1勝13敗 .071  2021年度成績  4勝14敗 .222
2022年度成績  0勝 4敗 .000   直近5年間  12勝44敗 .214
通算成績   78勝161敗 .326

野田澤彩乃女流初段 棋士番号24 生年月日 1984年1月25日(39歳)
1999年10月1日 2級 2003年4月1日 1級 2020年3月31日 引退 2020年4月1日 初段
2018年度成績  1勝 7敗 .125  2019年度成績  0勝 7敗 .000
2020年度成績 --勝--敗     2021年度成績 --勝--敗
2022年度成績 --勝--敗     直近5年間   1勝14敗 .067
通算成績   56勝133敗 .296

山口絵美菜女流1級(引退・退会) 生年月日 1994年5月4日(28歳)
2014年10月1日 3級 2016年4月21日 2級 2016年8月13日 1級 引退 2022年3月30日
2018年度成績  7勝 9敗 .438  2019年度成績  1勝10敗 .091
2020年度成績  4勝 9敗 .308  2021年度成績  4勝13敗 .235
2022年度成績 --勝--敗     直近5年間  16勝41敗 .281
通算成績   27勝63敗 .300

 私見であるが、「《5年間の勝率が.350以下》、《年度勝率が2年連続で2割台(3割未満)》は引退も止む無し」と考える。
 上記5棋士の引退はやむを得ないと考える。
コメント
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