英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season22 第5話「冷血」

2023-11-17 18:02:00 | ドラマ・映画
今回は、《正義に燃える熱血刑事が、父が反社会的勢力員という事実に苛まれてしまう》という話。
《反社会的勢力》、《親子の情》、《一見、冷血》、《熱血刑事を思いやる周囲》、《「えっ?」という真犯人》、《右京ならではの細かい洞察力・推理》、《そっち?(ラムネ)》……など、種々の要素を絡めてまとめ上げた秀作だった(とは思う)。


Ⅰ.《反社会的勢力》《親子の情》《一見、冷血》《熱血刑事を思いやる周囲》
桐生貴明(小林亮太)……熱血刑事。有能さを認められて薬物銃器対策課(組対二課)に異動
 父親は死亡したと母から言われていたが、実は生きており、反社会勢力員という厄介な存在(特に警察官にとって)。
 そのことをネタに、黒沢(密売グループの幹部)から脅され、捜査情報を知られてしまう(カマを掛けられ、察知された)
【桐生の免職の理由】
①父親が反社会的勢力員(暴力団員・一人組長)という事実
②上記の情報で脅されての捜査情報の漏洩に至ってしまったこと。さらに、その件を報告しなかったこと
③通話中に黒沢の身に危険が及んだことを察知したにもかかわらず、通報などの適切な対応を取らず、さらに、黒沢の死が判明した後も、そのことを隠していたこと



①父親が反社会的勢力員(暴力団員・一人組長)という事実――について
ドラマ中の右京の言葉
「国家公務員法、及び、地方公務員法は、親族の社会的身分を欠格条項とはしていません。《警察職員の任用は本人の能力や適性を公正かつ厳格に判断して行っている》とされています。しかし、現実的には…」
(以下、大河内が右京の言葉を継いで)
「《反社会的勢力の身内が司法警察員として的確であるわけではない》…そう考える者がいる」


……実際にはどうなのか?
 ネットには色々情報があって……

・《3親等(祖父母や兄弟の配偶者等)まで身辺調査が行われる》(通説)
・地域によって異なる(知恵袋とか質問箱などいろいろ検索した中に「私は三親等以内に実刑判決を受けた者がいますが、2つの県警から最終合格を頂けました」という回答もあった)
・採用時の「欠格条件」というモノが定められているらしい

 《犯罪者と反社会的グループとでは、扱いが違うのか?》、《採用時と採用後で違いがあるのか?》、《"元暴力団員”など「元」があるかどうかで違いがあるのか?》などの疑問もある(右京はドラマの中で、「裏社会から足を洗うべきでした」と言っているので、「元」かどうかは大きなポイントかもしれない)
 就職時の相談の他に、警察関係者と結婚する人の相談も多かった

 実際問題、身内に反社会的勢力員がいたら、今回のストーリーのように捜査情報が漏れたのではと思われる状況になった時、情報漏洩の疑いを掛けられるので、警察官ではいられないだろう。


②捜査情報の漏洩に至ってしまったこと。さらに、その件を報告しなかったこと
③通話中に黒沢の身に危険が及んだことを察知したにもかかわらず、通報などの適切な対応を取らず、さらに、黒沢の死が判明した後も、そのことを隠していたこと
――について
……右京は
「桐生君のあいまいな態度が、結果的に密売グループに利益をもたらし、さらに彼は黒沢事件の後、自身の知っている事実について口をつぐんでいた……厳しい処分が下されるでしょう。
 黒沢から接触を受けた時点で、もっと毅然とした行動を取るべきでした」


 冷静に(冷徹に)考えれば、右京の追及は適正だ。
 しかし、いきなり《実の父親が生きていて、"反社”だと知らされ、それをネタに脅されたら、適正な対応はできないだろう。
 で、桐生が適切な対処ができなかったことで"、"厳しい処分”が下されるだろうと右京は言っていたが、具体的にはどうなのか?

 父親が暴力団の組長だという事実で、警察組織には居られなくなる(居づらい?)だろう。
 なので、"厳しい処分”というのは、《諭旨免職(依願退職)ではなく、懲戒免職》になるという事なのだろう。

 少し話が戻るが、《通話中に黒沢の身に危険が及んだことを察知したにもかかわらず、通報などの適切な対応を取らなかった》件について
 真犯人の回想シーン(右京の想像再現シーン)だと、殺害の様子が映像を持って示されているが、スマホの通話だと、黒沢が気流を脅すのに気を取られて、何かにぶつかって、スマホを落としてしまっただけ(気恥ずかしくて、通話を切った)とも考えられる。
 「殺してやる」とか「助けてくれ」とかいう言葉もなかったし。なので、通報しなかったのは、"迂闊だった”で済まされるかも。


右京……あくまで遵法、正論を展開。真実を追求することが第一(そのために、違法捜査まがいなことをしている気が…)
 右京の遵法姿勢と言えば、season9「暴発」を思い出す……
 今回の桐生の件では、公務員法は親族の社会的身分を欠格条項にはしていないので、桐生への処分の要素とはしていない。
 ただし、《反社会勢力については厳しい》
 今回も、花井(桐生の父)に対しては厳しい。
「そして、あなたも本当に彼を思うのであれば、裏社会から足を洗うべきでした」
「そんな……簡単に行くもんかよ」
「《最も深く愛したものを、最も深く傷つける》…反社会的勢力に身を置くとは、そういうことですよ」
「人情ってものはないのかよぉ!あんたらはっ!」


 それでも、「悩みがあるときは、相談に乗りますよ」(“こでまり”にて…まだ桐生の落ち度は明らかになっていない)とか、警察をやめた後、温かく励ました。
(推理については、後述)


亀山……やはり、法を守ることは大切。ただし、法や職務を超えて、関わった人への心を思いやる
 「どうしたらよかったんだ?」と呟く真犯人に、「悪い奴から脅された時、警察に話せばよかったんだ。ひとりで考え込まずに頼ればよかったんだ」と心を寄せて話す。
 また、角田課長と一緒に大河内に「桐生を警察官でいさせてやってくれ」と頭を下げた。

 今回は、桐生の性格もあって、前向きなエンディングであったが、櫻井武晴氏だったらもっと重い感じで終わっていただろう。
 櫻井脚本ならば、右京は更に冷徹で、亀山はもう少し桐生に思いを入れていたような気がする。「仲間を信じたい」と右京に逆らうような言動を取ったかも。(今回は、元同僚ではなく、出会って間もない桐生だったからかもしれない)


大河内首席監察官……警察不祥事の捜査や服務規定違反など内部罰則を犯した警察官への質疑、さらには会計監査業務を厳格に行う。公正な目で論理的に判断し、特命係に対しても公正に対している(と言うより、かなり好意的)
 剣道を通して桐生と親交を深める(実力は拮抗、大河内がやや上か?)
 桐生の剣筋の乱れから、彼の異変を察知した。
 今回の件で、桐生は免職となったが、「角田課長と亀山が残れるよう頭を下げた。恨むなら私を恨め」と。
 これに対し、「組織の風紀を守り抜く…監察官て熱い血が流れているんですね」と桐生は返した。


花井与志郎……“一人組長”。身元を隠して和菓子屋主人として働き、上納金を納めていた
 和菓子屋は割と繁盛していたようだ。上納金がどのくらいなのか知らないが、本業?の暴力団としての活動をする必要があったのか?どのような活動?をしていたのか?
 組織にいるメリットはなさそうだが、組織を抜けるのはなかな難しいのだろう。
 半グレの“スコルピオ”とつるんでいたようで、黒沢が「密輸品を保管するのに2,3人貸してくれ」と頼みに来ていた。この時、桐生の記事を大事に保管していた(←なぜ、見える所に?)のを黒沢が目を付けたのが、事の発端となった。
(黒沢の言葉がはっきり聞き取れなかったが、一人組長なのでは?)
 息子の桐生が感謝された記事を喜び、投降者に感謝の手紙を出していた。その記事を大事に持っていた。
 黒沢を殺害したのを桐生だと思い、自分が殺したと供述。桐生が黒沢殺害とは無関係だと知ると、息子の免罪を土下座して頼む


桐生真弓……桐生の母親・看護師。花井が刺されて病院に運び込まれた際、恋仲になり、桐生を出産。
 息子の桐生には、生まれる前に父親は死亡したと嘘。(この件については、後述)
 息子が正義感が強く、「警察官になる」と熱く語るのを聞くのは辛かった
 息子に花井のことを問われて動揺し、察せられてしまう(桐生の動揺は母親譲り)

    …桐生が警察官を辞めたのは残念だが、隠し事がなくなったので、親子3人で幸せに暮らしてほしい。(”反社”が障害となるだろうが)


Ⅱ.《「えっ?」という真犯人》
 容疑者二人が互いを庇い合う……という展開はよくある。(今回の桐生は父親を庇って偽供述はしなかったが)
 こういうケースの場合、ほぼ、第三者が真犯人というパターンが多い。
 となると、真犯人は母親……………………違った!
 ただ、黒沢を殺害するのは短絡的。黒沢を殺害しても、組織の他の連中が報復するかもしれないし…(判断力が欠如していたのだろう)
 黒沢の居場所を突き止められるのなら、そこで、警察にチクれば……報復は怖いが、殺人を犯すよりは遥かに良い
 今回は、熱血で前向きな桐生君がテーマだったので、母親を犯人にしてしまうと、そうはならない。櫻井武晴氏なら母親を犯人にしそうだ(笑)


Ⅲ.《右京ならではの細かい洞察力・推理》
・空き室の不審な点に気づき、密輸品の受け取りに利用された(不在通知書を利用)
・《現場に落ちていたミント》と《どら焼きを食べていたという証言》から、ミントは生クリームの口直しに使われることがあることから、「ミント」「生クリーム」「どら焼き」から、和菓子屋を絞り込む
・実質的店長(花井)ではなく、名義上の店長を立てた→表に出られない事情がある
・『都民ジャーナル』へ息子・桐生への感謝の記事を投稿した女性に、花井が出した無記名のお礼の葉書の筆跡と、店のメニューの筆跡を検証して、同一人物と断定
・黒沢が殺害された時の通話の連続する"軋むような音”→靴鳴 受け子検挙時に聴いた靴鳴を右京が覚えていた(またしても、"犬のおまわりさん”)
  でも、最初のシーン(実際に受け子が現場から連行された時)には、靴鳴の音が聞こえなかったように思う

Ⅳ.《そっち?(ラムネ)》
 何気ない『こでまり』での会話の「大河内はラムネが好物」が伏線だった!
 「大河内=ラムネ」。"ピルイーター”というあだ名がつくほど定着していたので、道場で大河内がビー玉をパシュッと落とし、グイとラムネを飲むシーンは、呆気に取られてみてしまった。……「あっ、そっちぃ!」(笑)
 やられた!


Ⅴ.《害虫・黒沢》
・密輸品や恐喝など悪事の数々
・ネットで騙して“受け子”を集め、こき使い、拘束
 黒沢のせいで不幸になった者が多数。いると害毒にしかならない存在。
 右京は「《最も深く愛したものを、最も深く傷つける》…反社会的勢力に身を置くとは、そういうことですよ」と花井を糾弾したが、黒沢のような奴らを逮捕できず野放しにしていた警察(右京)も責任を感じるべきだ←ドラマの虚構にマジに怒っても仕方がないが、あまりにも右京が偉そうだったので、つい(笑)


Ⅵ.《文書偽造?》
 母親は息子に「父親は死んだ」と嘘をついていたが、警察官採用の際、身上調査があった可能性が大。どうやってすり抜けたのだろう?
 高校入試などの際も、戸籍謄本(戸籍抄本)など必要なのでは?どうなっていたのだろう?



第1話「無敵の人〜特命係VS公安…失踪に潜む罠」(初回拡大SP)
第2話「無敵の人~特命係VS公安…巨悪への反撃」(拡大SP)
第3話「スズメバチ」
第4話「天使の前髪」

【ストーリー】番組サイトより
角田の課に期待の新人刑事が着任!
しかし、同時にある疑惑が浮上する


 角田(山西惇)が課長を務める薬物銃器対策課に、所轄から桐生(小林亮太)という若手刑事が異動してきた。所轄では、特殊詐欺の拠点を二度にわたって突き止めるなど、腕利きと評判で、首席監察官の大河内(神保悟志)も一目置くほどの人物。
 いっぽう右京(水谷豊)は、薫(寺脇康文)とのランチの帰り、とある路地のアパートで不審な部屋を発見。もろもろの状況から、何らかの犯罪に使われている可能性が高まり、薫と共に調べ始める。
 その結果、犯罪グループのアジトを割り出すことに成功し、角田たちと協力して急襲を掛ける。しかし、現場に居たのは闇バイトの若者だけで、指示役の姿はなかった。摘発の情報が漏れていたのでは…!? そんな疑惑が浮上する中、大河内がなぜか、特命係に桐生の素行調査を依頼してきた。一計を案じた右京と薫は、意外な方法でアプローチを試みる。

大河内も期待を寄せる若手刑事が
犯罪グループの主犯格逃亡に関与!?
真相を追う特命係に激震が走る!


ゲスト:小林亮太

脚本:岩下悠子
監督:守下敏行
コメント (2)
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