英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒season12』 第2話「殺人の定理」

2013-10-24 21:40:18 | ドラマ・映画
ダイイング・メッセージ、紙1枚で月に行く方法(紙を42回折る)、4桁の数字の意味(株式のコード番号)、謎の女性の正体(東国の大使館員)、誰がファーガスの定理を証明したのか、肥後教授が休職していた空白の3年間など、通常の「誰が犯人でどうやって犯行を実行したのか?」とは別の謎が提示されるという私の好きなパターンだった。

ダイイング・メッセージ
 ダイイング・メッセージは実際は成立が微妙な事象である。
★死に際に犯人がいる場合
 犯人にメッセージに気づかれてはならない。気づかれないように残すのは難しい。
 ただ、メッセージに気づかれてもダイイング・メッセージと悟られなければよい、または、気づかれても消すことはできない、無理に消すと不自然になるという抜け道がある。
 犯人にもダイイング・メッセージを改ざんするという手段もある。
★犯人が去った後にメッセージを残す場合
 これは直接犯人の名を書けばよい。となると、推理ドラマとしては推理するまでもなく犯人が分かってしまうことになる。
 ただ、作者がこれを逆手に取り、被害者が途中で力尽き、それによりミスリードが成される。
 今回の場合、被害者は直接犯人を書けばよかったと思うが、それだと『相棒』が成り立たなくなってしまう。数学に人生を捧げた者のプライドが暗号で残させたと考える。
 それにしても、今回に限らずダイイング・メッセージ(暗号)を死に際に残すって凄いなあ。

 本人がメッセージを残すのではなく、犯人が捜査をかく乱する為や、犯行の目的の示唆が目的と言う場合もある。

「a drink」の文字を丸で囲ったメッセージ
 囲った丸→円周率→円周率を覚えるための語呂合わせ→英語の覚え方の「a drink」に対応する日本の覚え方の語句は?→肥後
 さすが数学者と言うべきか?あるいは、日頃からよほど肥後を意識していたのだろう。
 今回はこれを右京が解いたのではなく、肥後自身に解かせたという点が面白かった。

背理法……ハイリ、ハイリフレ、ハイリホ~♪、はりはりふれっほっほ~♪
 肥後が自分を犯人だと仮定して、矛盾を導き出して、仮定が間違い、即ち、「自分が犯人ではない」ことを証明したが、ちょっと説得力に弱い証明だった。
 あっ、「背理法が証明として弱い」という意味ではない。私自身、この背理法を数学で知った時、「なんて愉快な証明方法なんだ」と感心したことを鮮烈に覚えている。
 しかし、今回の証明は、『「どちらが証明を果たしたか」、または、「どちらが先に証明したか」の証拠がなく、世間的に自分の方が大倉より信用があるので、リスクの大きい殺人を犯す理由がない』というものだったが、自分が証明を完成させたという決定的な証拠を大倉が持っていて、それを奪うために大倉を殺害したという可能性だってある。
 それに、わざわざ背理法を用いなくても済むような肥後の言い分だった。背理法を使うのなら、「肥後は数学が苦手である」ぐらいの矛盾点を導き出してほしかった。

数学者の性(さが)を考えると納得できない
 天才と準天才のキャラ設定が中途半端。
準天才・大倉いい人なのか狂人(数学者)なのか小悪党なのか、はっきりしない
 会社の上司は「まじめで人と諍いは起こさない」、恩師の評価も高く肥後に匹敵する才能、数学専門誌の評価も高い。
 肥後を心配するなど良き友人・ライバルであったらしいが、ハッキング(暗号解読)で悪銭を手にしていた。肥後に劣らない才能なら、数学の道を究めればいいのに。
 で、肥後の研究を盗んだが、その偉業を純粋に喜び公表しようとした……キャラが安定していないよね

天才・肥後…数学者らしくない
 『リーマン予想』どころか『素数の解明』を果たしてしまった大天才。
 そもそも天才は≪世間の事なんか知ったことじゃない≫という人種、あるいは、天才になるのは≪世俗を捨てなければならない≫というイメージがある。(ノーベル賞の山中教授は人格者だと思います)
 今回の偉業も「発表せずにはいられない」というのが数学者の性(さが)であろう。肥後は世の中の為に、偉業を抹消するために殺人まで犯したが、偉業を達成する(数学の真理を求める)のに殺人をも厭わないという方が天才数学者っぽいのである。


【その他の感想】
・やっぱり、三浦さんがいないんだなあ…
・教授の助手の女性の話し方が気になる。

【ストーリー】番組サイトより
 会社員・大倉(山本剛史)の遺体が自宅アパートで発見された。遺体のそばの壁には、血で「a drink」の文字を丸で囲うメッセージのようなものが。被害者が遺したダイイング・メッセージなのか? 右京(水谷豊)は、さっそく享(成宮寛貴)と捜査を開始。

 現場の大倉の部屋へ来てみると、数学関係の本がズラリ。どうやら大倉は数学を趣味にしていたようだ。だととすると、ダイイング・メッセージも数学に関係したものなのだろうか?
 また大倉は数学の7つの未解決問題の一つで100年間も解けなかったファーガスの定理を研究していたことがわかった。しかし、そのファーガスの定理は、最近になって数学者の肥後教授(岡田義徳)が証明に成功したと話題になったばかり。右京と享はさっそく肥後教授のもとへと向かう。
 ダイイング・メッセージは何を意味するのか?右京と享は事件の難問を解くことができるのか?!

ゲスト:岡田義徳、山本剛史
脚本:金井寛
監督:和泉聖治

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7 コメント

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ダイイングメッセージ。。 (koumama)
2013-10-25 07:40:18
結構推理してそこにたどりつくまで
おもしろかったけど
ダイイングメッセージにそんなクイズみたいなこと。。するのかなぁ(笑)
それだけ数学者だったことなのでしょうか。

英さんの
背理法……ハイリ、ハイリフレ、ハイリホ~♪、はりはりふれっほっほ~♪ 笑っちゃいました。
大丈夫か~って読みながら受けてました(笑)
返信する
おおきくなれよぉ~(笑) (こてくん)
2013-10-25 08:02:20
『ダイイング・メッセージ』・・・・

やっぱり、死ぬまぎわに急に考えるのは
難しそうだし・・・・。

わたしも『ダイイング・メッセージ』を考えながら
亡くなろうかなぁ~~~~。

・・・・わたしの友達に『右京さんレベル』の
人いないよぉ~~~~(笑)

そもそも、わたしの周りでは、
解いてくれる人がいないので、
成立しないことに気づいてしまい
愕然としてしまいました。

名探偵の周りの皆さまの死に際って、
今思うと、なにげに凄いです。

改めて気づかされました(笑)

PS・某ハンバーグのコマーシャルの音楽が、
まだ鳴りやみません。
やばい、寝たいのに(笑)

返信する
思いの強さ ()
2013-10-25 17:38:47
koumamaさん、こんばんは。

>ダイイングメッセージにそんなクイズみたいなこと。。するのかなぁ(笑)
>それだけ数学者だったことなのでしょうか

 右京さんは「肥後への挑戦」と言っていましたね。数学クイズの延長だったと。
 私は、羨望の的でもありライバルで友人でもある肥後への思いの強さだと思いました。

 「ハイリホ~♪」…受けて良かったです。
 アップして、実際にブログを見ると、馬鹿みたいに見えますね。
返信する
愕然としなくても ()
2013-10-25 17:41:32
こてくん、こんばんは。

>そもそも、わたしの周りでは、解いてくれる人がいないので、成立しないことに気づいてしまい、愕然としてしまいました。

 愕然としなくてもいいと思いますよ。

>名探偵の周りの皆さまの死に際って、
>今思うと、なにげに凄いです。

 ですよね。犯人をかばうため、ドアのカギを掛けて密室にする被害者もいますが、感動します。
返信する
しまった!こてくん、ごめん ()
2013-10-25 23:01:56
こてくん、こんばんは。

せっかく、こてくんが「おおきくなれよぉ~」(コメントのタイトル)で返してくれたのに、スルーしてしまいました。
そう、○大ハムのCMでした。

でも、この言葉、呪文でしょうか?それとも、ドイツ語で意味のある歌詞なのでしょうか?
返信する
スキャット (かみしろ)
2013-10-26 12:52:24
のようで特にこれといった意味はない、というのが定説らしいですよ、背理法。

あの背理法は本人も、「肩書がものをいう」人種にしか通じないと思っていたのではないかと思います。右京や自分のような数学者のようなタイプには説得力がない。


ところで、世界が混乱することを回避すべく偉業を隠すというのは、全くの悪手でしょう。仮に素数の謎の解明なり量子コンピューターなり、現在の暗号を無力化する手段があったとして、それを独占する存在がいることが、世界に対して最も驚異なことです。そして自分という天才がたどり着いたということは、他の天才もまたほぼ同じ場所にいる可能性が高いということは、知の発見の歴史から自明の筈。そういう意味でも不可解です。
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はったりに近かったですね ()
2013-10-26 17:38:12
かみしろさん、こんばんは。

>あの背理法は本人も、「肩書がものをいう」人種にしか通じないと思っていたのではないかと思います。

 ええ、視聴者へも含めて、ハッタリのような感じでした。

>仮に素数の謎の解明なり量子コンピューターなり、現在の暗号を無力化する手段があったとして、それを独占する存在がいることが、世界に対して最も驚異なことです。そして自分という天才がたどり着いたということは、他の天才もまたほぼ同じ場所にいる可能性が高いということは、知の発見の歴史から自明の筈。

 なるほど、確かにそうですね。学生時代、大倉と競り合っていた肥後が人知を超える大天才とは思えません。
返信する

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