急激な円安についての総理と日銀総裁のパス回し
黒田総裁
「最近起こった様な急速な円安の進行というものは、企業の経営計画に対して色んな不確実性をもたらして、好ましくないと申し上げた」
岸田総理との会談後、黒田総裁はこのように述べた上で「為替市場の動向に注視し、政府と連携して適切に対応していく」と……
急速な円安の進行は日銀の金融政策が招いているというのに、「好ましくない」と他人事のような言葉。
しかも、“総理に申し上げた”とか“政府と連携して適切に対応”政府にパスを出す。
岸田総理
21日の党首討論で、
日銀の金融政策の影響は為替だけでなく中小零細企業や住宅ローン、景気にも及ぶため総合的にみる必要があると指摘し、円安を是正するため、政策を変更する必要はないとの見解を示した。
その上で「金融政策と為替に対する対応、それぞれ整理をして政策を考えていくべき」と述べた。
(この他、記憶が曖昧で情報源を示せないが、「金利政策は日銀の業務の範疇」とかいう主旨の発言をしていたような記憶がある)
《金融政策は為替だけでなく住宅ローンや景気にも影響を与えるので、円安だけを考慮して変更するものではない》という考えで、総理、日銀総裁がよく口にする「(ゼロ金利政策)を停止すると、景気を下支えする力がなくなり、景気が縮小してしまう」という言葉の理由であろう。
岸田総理は、金融政策にはいろいろ要素があって一元的に考えられず、専門である日本銀行の方針を重視するというようなことを述べ、日銀にパスを戻している。
総理や日銀総裁は、《円安による輸出企業の利益、日本へのインバウンドによる観光関係の利益などのプラスがあり、総合的には釣り合いが取れる》さらに、《企業の利益が上がることにより、賃金も上昇する》という理屈。
大企業の利益が上がり、賃金が上昇するにしても、それは大企業だけである。
富裕層の消費が拡大すれば、経済も上昇するという理屈かもしれないが、それが一般層に波及するのは何年、何十年先のことか?
日銀は「賃金アップが伴う物価上昇は“正しい物価上昇”などと言っているが、貧困層の財布は物価高によって苦しくなるだけだろう
円安による物価高騰がこれ以上進むと、経済や生活そのものが壊れてしまう。
専門家によると、このままゼロ金利政策を続けると、円安はさらに進行し、しかも長期に及ぶと言う。
《1ドル=140円になったら、どれだけの物価高騰が起こり、経済や生活にどれだけの影響があるか?経済や生活が壊れないか?》
総裁の主張する“ゼロ金利政策を停止することの景気の縮小”と“円安による物価高騰のマイナス”の想定データを示して比較、説明していただきたいものである
昨日(6月22日)に参議院選挙が公示され、昨夜のNHK『ニュース7』で各党党首の方針や主張が語られた。
岸田総理
《物価高騰について》
「今回の物価高騰は、世界的な物価高騰がある中で、日本においても物価が高騰している。
日本の物価高騰においては、円安、為替の影響もあるが、物価高騰の多くがエネルギー価格の高騰と食料品の高騰…原因はそこに集中している。
この二つの分野にしっかりとした対策を講じなければいけないということで、電力、ガソリン、小麦、飼料・肥料など、様々な対策を用意し、さらに地方の事情に応じて、1兆円の予算を用意して、地方に的確な対策を進めていただくことを応援していく」
物価高騰の原因(要因)がエネルギー関連や食料品の高騰だけでなく、《コンテナ不足や輸送ルートの制限による輸送コスト上昇と輸送の停滞》《新型コロナウイルスやウクライナ侵攻による製造の停滞や物資の不足による価格上昇》などもあり、それに加えて、総理が軽視している円安が非常に大きな要因になっている。
総理の論理はごまかしにしか思えない。
《今の物価高は、異次元の金融緩和によるものだ》の声に対して
「金融政策は為替にも影響を与えるが、一方で、中小企業・零細企業の金利負担、住宅ローン等の金利負担にも影響を与える。景気全体にも大きな影響を与える。
よって、金融政策は全体をしっかりと判断したうえで、方向を決めていかなければいけない。
金融政策については、現状をしっかりと進めていきながら、ピンポイントの物価対策を別途しっかり用意することによって、価格高騰に備えていくのが、与党の基本的な考え方である」
(金融政策については、散々述べてきたので、ここではそれ以外の点を少々)
《ピンポイントの物価対策》ということは、出費(“予算”と書くべきだが、敢えて”出費”と書きます)を最小限に抑えたいと言っているようなものだ。
もちろん、無駄な支出は避けるべきだが、これだけあらゆる分野で値上げが続いているので、ピンポイントの施策では焼け石に水である。
《消費税の税率の引き下げについて》
「消費税は社会保障の安定財源財源と日本においては位置づけられている。法律でも定められているわけですし、この消費税を使うことによって日本においては10年間で2割社会保障費を嵩上げられてきた。幼児教育保育の無償化、保育所等の充実といった社会保障の予算として、この消費税を「使ってきた。これを触ることは考えていない」
上述したが、ピンポイント施策では、貧困者は恩恵がない……住宅ローンの軽減や幼児教育は高齢者や貧困層には関係ない。賃金上昇も無縁で、年金は減らされる。2割社会保障費のかさ上げの実感は全くない。
消費税アップは法人減税や累進課税の軽減の穴埋めとしか思えないのは私の勘違いか?
消費税による税金で集められた紙幣に「消費税による税金」という判が押されるのなら私は文句は言わない。
消費税による税金が、他に使われているように思うのは私の気のせいか?
「消費税は社会保障の安定財源財源」というセリフは、消費税を下げないことの免罪符になっているとしか思えない。
黒田総裁
「最近起こった様な急速な円安の進行というものは、企業の経営計画に対して色んな不確実性をもたらして、好ましくないと申し上げた」
岸田総理との会談後、黒田総裁はこのように述べた上で「為替市場の動向に注視し、政府と連携して適切に対応していく」と……
急速な円安の進行は日銀の金融政策が招いているというのに、「好ましくない」と他人事のような言葉。
しかも、“総理に申し上げた”とか“政府と連携して適切に対応”政府にパスを出す。
岸田総理
21日の党首討論で、
日銀の金融政策の影響は為替だけでなく中小零細企業や住宅ローン、景気にも及ぶため総合的にみる必要があると指摘し、円安を是正するため、政策を変更する必要はないとの見解を示した。
その上で「金融政策と為替に対する対応、それぞれ整理をして政策を考えていくべき」と述べた。
(この他、記憶が曖昧で情報源を示せないが、「金利政策は日銀の業務の範疇」とかいう主旨の発言をしていたような記憶がある)
《金融政策は為替だけでなく住宅ローンや景気にも影響を与えるので、円安だけを考慮して変更するものではない》という考えで、総理、日銀総裁がよく口にする「(ゼロ金利政策)を停止すると、景気を下支えする力がなくなり、景気が縮小してしまう」という言葉の理由であろう。
岸田総理は、金融政策にはいろいろ要素があって一元的に考えられず、専門である日本銀行の方針を重視するというようなことを述べ、日銀にパスを戻している。
総理や日銀総裁は、《円安による輸出企業の利益、日本へのインバウンドによる観光関係の利益などのプラスがあり、総合的には釣り合いが取れる》さらに、《企業の利益が上がることにより、賃金も上昇する》という理屈。
大企業の利益が上がり、賃金が上昇するにしても、それは大企業だけである。
富裕層の消費が拡大すれば、経済も上昇するという理屈かもしれないが、それが一般層に波及するのは何年、何十年先のことか?
日銀は「賃金アップが伴う物価上昇は“正しい物価上昇”などと言っているが、貧困層の財布は物価高によって苦しくなるだけだろう
円安による物価高騰がこれ以上進むと、経済や生活そのものが壊れてしまう。
専門家によると、このままゼロ金利政策を続けると、円安はさらに進行し、しかも長期に及ぶと言う。
《1ドル=140円になったら、どれだけの物価高騰が起こり、経済や生活にどれだけの影響があるか?経済や生活が壊れないか?》
総裁の主張する“ゼロ金利政策を停止することの景気の縮小”と“円安による物価高騰のマイナス”の想定データを示して比較、説明していただきたいものである
昨日(6月22日)に参議院選挙が公示され、昨夜のNHK『ニュース7』で各党党首の方針や主張が語られた。
岸田総理
《物価高騰について》
「今回の物価高騰は、世界的な物価高騰がある中で、日本においても物価が高騰している。
日本の物価高騰においては、円安、為替の影響もあるが、物価高騰の多くがエネルギー価格の高騰と食料品の高騰…原因はそこに集中している。
この二つの分野にしっかりとした対策を講じなければいけないということで、電力、ガソリン、小麦、飼料・肥料など、様々な対策を用意し、さらに地方の事情に応じて、1兆円の予算を用意して、地方に的確な対策を進めていただくことを応援していく」
物価高騰の原因(要因)がエネルギー関連や食料品の高騰だけでなく、《コンテナ不足や輸送ルートの制限による輸送コスト上昇と輸送の停滞》《新型コロナウイルスやウクライナ侵攻による製造の停滞や物資の不足による価格上昇》などもあり、それに加えて、総理が軽視している円安が非常に大きな要因になっている。
総理の論理はごまかしにしか思えない。
《今の物価高は、異次元の金融緩和によるものだ》の声に対して
「金融政策は為替にも影響を与えるが、一方で、中小企業・零細企業の金利負担、住宅ローン等の金利負担にも影響を与える。景気全体にも大きな影響を与える。
よって、金融政策は全体をしっかりと判断したうえで、方向を決めていかなければいけない。
金融政策については、現状をしっかりと進めていきながら、ピンポイントの物価対策を別途しっかり用意することによって、価格高騰に備えていくのが、与党の基本的な考え方である」
(金融政策については、散々述べてきたので、ここではそれ以外の点を少々)
《ピンポイントの物価対策》ということは、出費(“予算”と書くべきだが、敢えて”出費”と書きます)を最小限に抑えたいと言っているようなものだ。
もちろん、無駄な支出は避けるべきだが、これだけあらゆる分野で値上げが続いているので、ピンポイントの施策では焼け石に水である。
《消費税の税率の引き下げについて》
「消費税は社会保障の安定財源財源と日本においては位置づけられている。法律でも定められているわけですし、この消費税を使うことによって日本においては10年間で2割社会保障費を嵩上げられてきた。幼児教育保育の無償化、保育所等の充実といった社会保障の予算として、この消費税を「使ってきた。これを触ることは考えていない」
上述したが、ピンポイント施策では、貧困者は恩恵がない……住宅ローンの軽減や幼児教育は高齢者や貧困層には関係ない。賃金上昇も無縁で、年金は減らされる。2割社会保障費のかさ上げの実感は全くない。
消費税アップは法人減税や累進課税の軽減の穴埋めとしか思えないのは私の勘違いか?
消費税による税金で集められた紙幣に「消費税による税金」という判が押されるのなら私は文句は言わない。
消費税による税金が、他に使われているように思うのは私の気のせいか?
「消費税は社会保障の安定財源財源」というセリフは、消費税を下げないことの免罪符になっているとしか思えない。
これが「アベノミクス」の弊害。
いつまでたっても低金利のまま。
だとしたら、消費税を減税して市場を活性化させ、物価高にも対処すべきなのに、これには及び腰。
岸田首相および政府は
「現在の円安もいずれ高い止まりが来る」
「ウクライナ戦争が落ち着けば物価高は収まる」
「だから今は苦しいが我慢」
という姿勢なのでしょう。
でも、今の「金融緩和」「円安」というやり方は9年間やって成果が出ていないんですよね。
だとしたら方向転換。
「消費税減税」がひとつの方法。
効果のない補助金バラ撒きやポイント付与(いずれも利権が発生する)よりは「減税」の方がはるかに有効だと思います。
仰る通りだと思います。
岸田総理の目は、一部の者しか観ていません。
>効果のない補助金バラ撒きやポイント付与(いずれも利権が発生する)より
見栄えの良さそうな補助金バラマキを小出しに何回も行えば、支持率を稼げますし、利権を得る者にとっても受けがいいです。
消費税減税は一回だけですし、ある方面からの反発も喰らいますし。
>日銀が金利をあげれば、住宅ローンや国債の返済などで、とんでもない被害
住宅ローンに疎いのでよく分からないのですが、ゼロ金利政策が長く続いているので、多くの住宅ローンは低金利だと思います。金利変動型もあると思いますが、固定、あるいは長期固定タイプが多いと思います。
それでも、大きい影響が出るのでしょうか?
住宅ローンは大半変動型です。固定の方が市場金利より高く設定されている、固定金利は繰り上げ返済できない(違約金が発生する)などの理由があります。この辺のデータ。https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_zandaka.html
他国に追随するように上げれば相当程度ローンを払いきれなくなる人は出ます。潰れる中小企業が続出し、潰れないまでも多くがリストラするでしょう。大不況がきます。
金融緩和を続ければ、当然円安は止まらず、何処かの時点で金利を上げざるを得ないですが、上げなければ国債暴落、日銀破綻等が現実になり、預金封鎖、デノミなどがおきる。
のっぴきならない、どの地獄が一番増しだろうか、という状況です。飛行機なら、どこに墜落するのがいいか、という。
個人でできることは、金融資産があれば外貨預金くらいでしょうか。土地があればできるだけ自給自足をする準備。科学肥料、農薬、燃料をできるだけ使わないような。
安倍氏がああいうことになったので、経済吹っ飛ばして金利を上げる可能性はそれ以前より上がりました。
>住宅ローンは大半変動型です。固定の方が市場金利より高く設定されている、固定金利は繰り上げ返済できない
そうなんですか。
私の場合、金利が無茶苦茶高い時代に借りたので、固定金利の方が相場より高いと言っても、十分低金利という感覚がありました。
>他国に追随するように上げれば相当程度ローンを払いきれなくなる人は出ます。潰れる中小企業が続出し、潰れないまでも多くがリストラするでしょう。大不況がきます。
私は個人事業なので、物価が高いと買い控えで売り上げが減ります。原価が上がった分を売価に反映しにくい(できない)。
現状でも十分貧乏なのですが(笑)、更に貧困化が進むという感覚です。
これまでの最高だった20年度の60兆8216億円を1割上回る。新型コロナウイルス禍からの企業業績の回復で法人税収が伸びた。消費税や所得税も堅調だった。
【21年度当初予算の時点では、57兆4480億円と見込んでいた。21年末に上方修正した63兆8800億円をさらに3兆円ほど上回った。税収は2年連続で過去最高を更新した】
というニュースを聞きました(読みました)。
だとしたら、ローンのことはよくわかりませんが、景気回復しているとするなら、そろそろ低金利政策は終了してほしいです。
金利を上げた場合のプラスマイナスがよく分からないのですが、その辺りをしっかりシミュレートしていただきたいです。
とうとう1ドル=139円になってしまいました。
自ら、円安を誘引しておきながら、「急激な円安は好ましくない」などと論理が破綻している発言をする黒田総裁。責任を以って説明していただきたいです。
あと、「景気が回復していない現状で金利を上げると云々」と説明していますが、法人税、消費税が大幅アップしている現状を、景気回復していないという説明との整合性を示していただきたいです。
「法人税最高額」=「輸出企業だけ儲かっている」のだとしたら、ゼロ金利政策を続けても景気回復しないということになります。