将棋に関しては、書きたいことが他にたくさんあったのですが、気になってしまったので……
羽生竜王関連やタイトル戦以外でも、備忘録を兼ねて気になったことを記事にしているが、順位戦のC級1組に関することが多い。
例えば、「順位戦 C級1組 解析」という記事(「その1」、「その2」、「その3」、「その4」、前記事として「リーグ戦の中のリーグ戦 ~C級1組~」)や、淡泊すぎる将棋や投了図が多い大平五段(当時・現六段)(「淡白な投了」、「どうやらやる気がないらしい」、「どうやらやる気がないらしい その2」、「大平武洋五段・順位戦メモ」)。他の棋士も拙戦や凡局が多い。
いろいろな要因があるかもしれないが、私は37人の大人数に根源あると考える。
長年、C級1組は微増してきている。連盟のサイトで確認できるのは2000~2001年順位戦で、C級1組は27人。もっと以前は、C級1組とB級2組はほぼ同人数であったと記憶している。ちなみに、B級1組は2000~2001年順位戦は22人、昨期は25人。
増える原因は、B級2組以下のクラスは、降級点制を採用していることによる。降級点は各クラスの人数の2割(小数点以下は切り捨て)の成績下位の棋士に付く。37人のC級1組は37×0.2=7.4で7人に降級点が付く。B級2組とC級1組は降級点が2つ、C級2組は降級点3つで降級となる。
この≪「2割降級点、降級点2つで降級」というシステムが妥当か?≫考えてみる。
例えば、C級1組に30人在籍していたとすると、降級点は6人。降級点を2つ取ると降級するので、単純に考えると、1期では降級3人相当と言える。C級2組からの昇級は3人なので、「C2⇔C1」間は、釣り合っていると考えてよい。
では、「C1⇔B2」間はどうなのか?B級2組はC級1組よりやや少ないので、25人と仮定すると、降級点は5人。1期あたりは2.5人となる。とすると、B級1組への昇級は2人なので、1期あたり0.5人、2年で1人増えていくことになる。
この他に、「勝ち越し、あるいは、2期連続指し分け(5勝5敗)で降級点を消去できる」という規定があるので、引退や死去による減少要素を考慮しても、「C級1組は微増する」と考えても良いだろう。
この微増がC級1組のある性質をもたらした。
その性質とは、「“棋力の衰えにより上位クラスから陥落してきた棋士”、“B級2組に昇級できないまま定着し棋力が衰えつつある棋士”の溜まり場」。
さらに、≪C級2組からの昇級者の3人に対してB級2組への昇級者は2人≫という不等式による「“C級2組から昇級してきた活きの良い若手”の溜まり場」という状況も生じてきており、『実力の二極化』が進んでいる。
この二極化が均等の割合なら大きな問題は生じないが、(独断ではあるが)「昇級を争う棋士…15人、それ以外(残留争いと残留は出来そうだが昇級は難しい)……22人」と偏りがあり、この状況が、特殊な昇級争い、緩い残留争いをもたらしている。
………今期(昨期と言った方が良いかも)成績上位者は
千田 六段(2位)…10勝0敗 昇級
永瀬 七段(1位)…9勝1敗 昇級
佐々木勇六段(6位)…9勝1敗
高﨑 六段(16位)…9勝1敗
宮田 六段(11位)…8勝2敗
近藤誠 五段(31位)…8勝2敗
杉本 七段(5位)…7勝3敗
阿部健 七段(7位)…7勝3敗
千葉 七段(8位)…7勝3敗
(括弧内はクラス順位)
9勝1敗で昇級できなかった棋士が2人もいるとは!(永瀬七段は前年9勝1敗で昇級を逃している)
非常にハイレベルな昇級争いと言えるが、昇級争い者同士の直接対決が少なかったことが、この状況を生み出しているのである。
実際、千田六段の対戦相手は、片上六段(4勝)、阪口五段(1勝)、佐藤七段(5勝)、近藤正六段(3勝)、真田八段(3勝)、高野六段(5勝)、北島七段(5勝)、福崎九段(2勝)、塚田九段(3勝)、平藤七段(1勝)で、平均3.2勝……全勝の千田六段は対戦相手に勝ち星を与えていないので、全敗者の対局者平均に比べると、平均勝ち星はマイナス1となるにしても、緩過ぎである(負け数省略)。
もう一人の昇級者の永瀬七段も、成績上位者は近藤誠五段(8勝)のみ(他に6勝の青嶋五段、宮本五段ぐらい)、1敗の相手は高橋九段。
他の上位者については、
佐々木勇六段(9勝1敗)……宮田六段(8勝)、阿部健七段(7勝)、敗局は島九段(5勝)
高﨑六段(9勝1敗)……阿部健七段(7勝)、敗局は阪口五段(1勝)
宮田六段(8勝2敗)……佐々木勇六段(9勝)と小林裕七段(6勝)に敗れて、阿部健七段(7勝)には勝っている
近藤誠五段(8勝2敗)……敗局は永瀬七段(9勝)と豊川七段(5勝)。上位の対戦相手は千葉七段(7勝)、宮本五段(6勝)ぐらい。
8勝以上の上位者同士の対局は、永瀬-近藤、佐々木-宮田のみ!7勝以上に拡大しても、やはり少ない。
ハイレベルな昇級争いであったが、歪んだクラスの内情とそれに対応していない旧態依然の順位戦のシステムによるものである。
羽生竜王関連やタイトル戦以外でも、備忘録を兼ねて気になったことを記事にしているが、順位戦のC級1組に関することが多い。
例えば、「順位戦 C級1組 解析」という記事(「その1」、「その2」、「その3」、「その4」、前記事として「リーグ戦の中のリーグ戦 ~C級1組~」)や、淡泊すぎる将棋や投了図が多い大平五段(当時・現六段)(「淡白な投了」、「どうやらやる気がないらしい」、「どうやらやる気がないらしい その2」、「大平武洋五段・順位戦メモ」)。他の棋士も拙戦や凡局が多い。
いろいろな要因があるかもしれないが、私は37人の大人数に根源あると考える。
長年、C級1組は微増してきている。連盟のサイトで確認できるのは2000~2001年順位戦で、C級1組は27人。もっと以前は、C級1組とB級2組はほぼ同人数であったと記憶している。ちなみに、B級1組は2000~2001年順位戦は22人、昨期は25人。
増える原因は、B級2組以下のクラスは、降級点制を採用していることによる。降級点は各クラスの人数の2割(小数点以下は切り捨て)の成績下位の棋士に付く。37人のC級1組は37×0.2=7.4で7人に降級点が付く。B級2組とC級1組は降級点が2つ、C級2組は降級点3つで降級となる。
この≪「2割降級点、降級点2つで降級」というシステムが妥当か?≫考えてみる。
例えば、C級1組に30人在籍していたとすると、降級点は6人。降級点を2つ取ると降級するので、単純に考えると、1期では降級3人相当と言える。C級2組からの昇級は3人なので、「C2⇔C1」間は、釣り合っていると考えてよい。
では、「C1⇔B2」間はどうなのか?B級2組はC級1組よりやや少ないので、25人と仮定すると、降級点は5人。1期あたりは2.5人となる。とすると、B級1組への昇級は2人なので、1期あたり0.5人、2年で1人増えていくことになる。
この他に、「勝ち越し、あるいは、2期連続指し分け(5勝5敗)で降級点を消去できる」という規定があるので、引退や死去による減少要素を考慮しても、「C級1組は微増する」と考えても良いだろう。
この微増がC級1組のある性質をもたらした。
その性質とは、「“棋力の衰えにより上位クラスから陥落してきた棋士”、“B級2組に昇級できないまま定着し棋力が衰えつつある棋士”の溜まり場」。
さらに、≪C級2組からの昇級者の3人に対してB級2組への昇級者は2人≫という不等式による「“C級2組から昇級してきた活きの良い若手”の溜まり場」という状況も生じてきており、『実力の二極化』が進んでいる。
この二極化が均等の割合なら大きな問題は生じないが、(独断ではあるが)「昇級を争う棋士…15人、それ以外(残留争いと残留は出来そうだが昇級は難しい)……22人」と偏りがあり、この状況が、特殊な昇級争い、緩い残留争いをもたらしている。
………今期(昨期と言った方が良いかも)成績上位者は
千田 六段(2位)…10勝0敗 昇級
永瀬 七段(1位)…9勝1敗 昇級
佐々木勇六段(6位)…9勝1敗
高﨑 六段(16位)…9勝1敗
宮田 六段(11位)…8勝2敗
近藤誠 五段(31位)…8勝2敗
杉本 七段(5位)…7勝3敗
阿部健 七段(7位)…7勝3敗
千葉 七段(8位)…7勝3敗
(括弧内はクラス順位)
9勝1敗で昇級できなかった棋士が2人もいるとは!(永瀬七段は前年9勝1敗で昇級を逃している)
非常にハイレベルな昇級争いと言えるが、昇級争い者同士の直接対決が少なかったことが、この状況を生み出しているのである。
実際、千田六段の対戦相手は、片上六段(4勝)、阪口五段(1勝)、佐藤七段(5勝)、近藤正六段(3勝)、真田八段(3勝)、高野六段(5勝)、北島七段(5勝)、福崎九段(2勝)、塚田九段(3勝)、平藤七段(1勝)で、平均3.2勝……全勝の千田六段は対戦相手に勝ち星を与えていないので、全敗者の対局者平均に比べると、平均勝ち星はマイナス1となるにしても、緩過ぎである(負け数省略)。
もう一人の昇級者の永瀬七段も、成績上位者は近藤誠五段(8勝)のみ(他に6勝の青嶋五段、宮本五段ぐらい)、1敗の相手は高橋九段。
他の上位者については、
佐々木勇六段(9勝1敗)……宮田六段(8勝)、阿部健七段(7勝)、敗局は島九段(5勝)
高﨑六段(9勝1敗)……阿部健七段(7勝)、敗局は阪口五段(1勝)
宮田六段(8勝2敗)……佐々木勇六段(9勝)と小林裕七段(6勝)に敗れて、阿部健七段(7勝)には勝っている
近藤誠五段(8勝2敗)……敗局は永瀬七段(9勝)と豊川七段(5勝)。上位の対戦相手は千葉七段(7勝)、宮本五段(6勝)ぐらい。
8勝以上の上位者同士の対局は、永瀬-近藤、佐々木-宮田のみ!7勝以上に拡大しても、やはり少ない。
ハイレベルな昇級争いであったが、歪んだクラスの内情とそれに対応していない旧態依然の順位戦のシステムによるものである。
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