竜王戦第6局が始まりました。終わる前にせめて第2局だけでも終わらせたいです。
もし、もしですよ、ええ、もしも、第6局に負けてしまったら、当分は記事をアップする気力が湧きそうもないです。中途半端になるのも何ですから、雑にはなると思いますが、がんばってみようと思います。

第4図は先手羽生名人の▲4六桂に対して△2五成銀と引いたところ。この△2五成銀では△4五銀や手厚く△4五銀打が有力視されていたが、△4五銀には▲5九角で、また△4五銀打には▲3四桂△同銀▲3五角△同銀▲同飛△2四角▲3九香で大変らしい(将棋世界観戦記)。
図の△2五成銀はとにかく3五の地点を厚くして抑え込むのがこの将棋のポイントとという竜王の大局観。
いつか改めて考えたいが、上記の将棋観は大局観というのとは違うかもしれない。つまり、渡辺将棋は大局観より「こう指した方が勝ちやすい、負けにくい」という「勝負のコツ」を優先させることがしばしばあるような気がする。間違える危険性のある100点の手ではなく、勝ちやすい(方針がはっきりし間違えにくい)96点の手を選ぶ。勝負として考えるなら、最善手より、自分が分かりやすく相手が間違えやすい手を選ぶというのも有効である。
△2五成銀がそういうスタンスの手かどうかは不明というか、この手は最善を求めた結果の手のような気がするが、先手の大駒を押さえる方針はあったように思う。そして、この手の価値は上述の方針という意味では着手しやすい手だが、プロの読みとしては選びにくい手でもあった。それは、先手に▲2九香と打たれた場合、成銀が2六でも2五でも△3六成銀と指すことになる。つまり△2五成銀の1手が無駄になるのである。その意味で△2五成銀は抵抗のある1手だったのだ。
実際、その理屈に誘われるように、実戦は▲3四桂△同金▲2九香△3六成銀と進んでいて、羽生名人は「▲2九香ではおかしい」と感想戦で漏らしている(将棋世界観戦記)。▲3四桂では▲5七角が優っていたようだ。
△3六成銀以下▲1四歩△同歩▲1三銀(第5図)△同玉▲3六飛と進んでいる。

第5図の▲1三銀は評判が悪く、控室ではこの手を見て形勢がはっきりしてきたという雰囲気になったようだ。
確かに▲1三銀~▲3六飛は指し手に含みが少なく、棋界流行りの言葉で言うと「後手に余されそう」だ。ただ、羽生名人もそう思慮浅くその順を選んだわけでなく▲3五歩(第6図)は流石の踏み込みで、この手を見てまだまだ勝負形という評価に戻った。

この手に対する△3六銀も飛車を取る代わりに、金を取りながら▲3四歩と手順に歩を3四に進めさせるので躊躇されるところだが、羽生名人の踏み込みに対して一歩も引かない手だった。
この後、羽生名人は▲1三金を決めてからヒラリと▲7五角と大きく角を転回。次に王手飛車を見て8六や9七に利かせた好手を放つ。それに対する王手飛車を恐れない△8四桂(第7図)と竜王も最強の手で応える。この後も名人も迫るが竜王も強く応じ勝利をものにしている。

羽生名人の新手、渡辺竜王の△2六銀成~△3四香の抑え込み、消去法によるいきなりの竜王の端攻め、△2五成銀の竜王独特の将棋観、名人の切れそうで切れない攻め、それに対する竜王の最強の応手など、非常に中身の濃い一局で、特に渡辺竜王の強さを感じた。
もし、もしですよ、ええ、もしも、第6局に負けてしまったら、当分は記事をアップする気力が湧きそうもないです。中途半端になるのも何ですから、雑にはなると思いますが、がんばってみようと思います。

第4図は先手羽生名人の▲4六桂に対して△2五成銀と引いたところ。この△2五成銀では△4五銀や手厚く△4五銀打が有力視されていたが、△4五銀には▲5九角で、また△4五銀打には▲3四桂△同銀▲3五角△同銀▲同飛△2四角▲3九香で大変らしい(将棋世界観戦記)。
図の△2五成銀はとにかく3五の地点を厚くして抑え込むのがこの将棋のポイントとという竜王の大局観。
いつか改めて考えたいが、上記の将棋観は大局観というのとは違うかもしれない。つまり、渡辺将棋は大局観より「こう指した方が勝ちやすい、負けにくい」という「勝負のコツ」を優先させることがしばしばあるような気がする。間違える危険性のある100点の手ではなく、勝ちやすい(方針がはっきりし間違えにくい)96点の手を選ぶ。勝負として考えるなら、最善手より、自分が分かりやすく相手が間違えやすい手を選ぶというのも有効である。
△2五成銀がそういうスタンスの手かどうかは不明というか、この手は最善を求めた結果の手のような気がするが、先手の大駒を押さえる方針はあったように思う。そして、この手の価値は上述の方針という意味では着手しやすい手だが、プロの読みとしては選びにくい手でもあった。それは、先手に▲2九香と打たれた場合、成銀が2六でも2五でも△3六成銀と指すことになる。つまり△2五成銀の1手が無駄になるのである。その意味で△2五成銀は抵抗のある1手だったのだ。
実際、その理屈に誘われるように、実戦は▲3四桂△同金▲2九香△3六成銀と進んでいて、羽生名人は「▲2九香ではおかしい」と感想戦で漏らしている(将棋世界観戦記)。▲3四桂では▲5七角が優っていたようだ。
△3六成銀以下▲1四歩△同歩▲1三銀(第5図)△同玉▲3六飛と進んでいる。

第5図の▲1三銀は評判が悪く、控室ではこの手を見て形勢がはっきりしてきたという雰囲気になったようだ。
確かに▲1三銀~▲3六飛は指し手に含みが少なく、棋界流行りの言葉で言うと「後手に余されそう」だ。ただ、羽生名人もそう思慮浅くその順を選んだわけでなく▲3五歩(第6図)は流石の踏み込みで、この手を見てまだまだ勝負形という評価に戻った。

この手に対する△3六銀も飛車を取る代わりに、金を取りながら▲3四歩と手順に歩を3四に進めさせるので躊躇されるところだが、羽生名人の踏み込みに対して一歩も引かない手だった。
この後、羽生名人は▲1三金を決めてからヒラリと▲7五角と大きく角を転回。次に王手飛車を見て8六や9七に利かせた好手を放つ。それに対する王手飛車を恐れない△8四桂(第7図)と竜王も最強の手で応える。この後も名人も迫るが竜王も強く応じ勝利をものにしている。

羽生名人の新手、渡辺竜王の△2六銀成~△3四香の抑え込み、消去法によるいきなりの竜王の端攻め、△2五成銀の竜王独特の将棋観、名人の切れそうで切れない攻め、それに対する竜王の最強の応手など、非常に中身の濃い一局で、特に渡辺竜王の強さを感じた。