漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

「月 Moon」 のあれこれ その2

2016-12-12 22:21:00 | 雑記
 月のお話し。その2です。

 満ちては欠け、欠けては満ちる月の振る舞いは、それこそ洋の東西を問わず、人の心を揺さぶり惑わせてきたのでしょう。とりたてて信仰心などはない私ですが、それでも月信仰に誘(いざな)われる人の気持ちは、なんとなくわかるような気がします。

 そんな感傷に浸りながら、きょうはさまざまに名付けられた月の呼び名をまとめてみましょう。


【新月】
 実際には見えない月ですね。「新月」は英語の「New Moon」から。欠けていってついに見えないまでになり、そこからまた「新しい月」が生まれて満ち始める、という意味ですね。

【繊月】
 新月の翌日の月のことともいい、また三日月のこととする場合もあるようです。

【三日月】
 別名「朏魄(ひはく)」ですね。「朏」一字でも「みかづき」。

【弓張り月】
 月齢7日頃の「上弦の月」と23日頃の「下弦の月」、どちらも指す言い方のようです。
 天体の月とは関係ありませんが、「り」を除いて「弓張月」と書けば、これは源頼政が鵺(ぬえ)退治に使ったとされる強弓のこと。ついでに「椿説弓張月」は「南総里見八犬伝」と並ぶ滝沢馬琴(曲亭馬琴)の代表作。むかしむかし受験生のころ、読んだこともなくて内容も知らないのに、一所懸命作者と作品名を覚えたものでした。(笑)

【十日夜の月】
 「とうかんやのつき」 「十日夜」は、「辞典」にも見出し語として掲載されていますね。

【十三夜月】
 満月に次いで美しいとされてきた月。樋口一葉の小説にもあり、また、中島みゆきや鈴木雅之の曲の題名にも使われています。

【小望月】
 「こもちづき」 満月の前夜の月。

【満月】
 「望月」「十五夜」「盈月」など、呼び名もさまざま。

【十六夜】
 「いざよい」 ここから数日間の月の呼び名がなんとも日本的な風情に満ちている、といつも思います。

【立待月】
 「たちまちづき」 まだ早い時間、立って待っているうちにもう出てくる月。

【居待月】
 「いまちづき」 のぼるのが遅くなって、立って待つにはちょっと疲れるから座って待つ月。

【寝待月】
 「ねまちづき」 寝て待たなければならないほど、出が遅い月。「臥待月」とも。

【更待月】
 「ふけまちづき」 夜更けにのぼる月。

【二十六夜】
 江戸時代、十三夜、十五夜とならんで代表的な月見の対象とされた月とのこと。しかし、のぼるのは午前3時頃といいますから、月見もなかなか大変です。(汗)

【三十日月】
 「みそかづき」 「晦日」と書いて「みそか」または「つごもり」。「つきがこもる」から「つごもり」。

【有明の月】
 よく耳にする言い方ですね。特定の日の月ではなく、満月よりあとの月の総称。
 



 ちなみに今日(12/12)は、満月に次いで美しいという「十三夜」のようです。確認せずに帰ってきてしまいましたが、月は出ていたのかな・・・