ふゆながら はるのとなりの ちかければ なかがきよりぞ はなはちりける
冬ながら 春の隣の 近ければ 中垣よりぞ 花は散りける
清原深養父
冬ではあるが春が隣まで来ていて近いので、中垣から花は散るのであったよ。
詞書には「明日春立たむとしける日、隣の家の方より、風の雪を吹き越しけるを見て、その隣へよみてつかはしける」とあります。立春の前日の詠歌ですね。春はすぐそこまで来ているという時節を捉え、隣の家はもう春、自宅はまだ冬、そのすでに春が来ている隣家からの風に雪が吹き込んでくるのを散る花と見立てて洒落て見せたというところでしょうか。