あきかぜに ほころびぬらし ふぢばかま つづりさせてふ きりぎりすなく
秋風に ほころびぬらし 藤袴 つづりさせてふ きりぎりす鳴く
在原棟梁
秋風に吹かれて、藤袴が綻びてしまったようだ。「つづりさせ」と言ってこおろぎが鳴いているよ。
スマートな(?)口語訳が難しいですが、第二句の「ほころぶ」は花(藤袴)が開く意と、(袴が)綻びる意の両義で、こおろぎの鳴き声が「つづりさせ」と聞こえることをとらえての言葉遊びですね。「つづりさせ」は「綴り刺せ」で、綻びを縫い繕う意です。
作者の棟梁(むねやな)は業平の子。古今集に四首入集している四首目で、これまでの三首は 0015、0243、0902 に採録されています。