漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0807

2022-01-14 19:37:49 | 古今和歌集

あまのかる もにすむむしの われからと ねをこそなかめ よをばうらみじ

海人の刈る 藻にすむ虫の われからと 音をこそなかめ 世をばうらみじ

 

藤原直子

 

 海人が刈る藻に住む虫の「われから」ではありませんが、私もこの恋の辛さを私自身の招いたこと思って、声をあげて泣きはしても、あの人との仲を恨みはしますまい。

 「われから」は、小さな節足動物の名ですが、もちろん「我から」が掛かっています。「刈る」も「離る」を連想させる言葉と言えましょうか。伊勢物語第65段にも載る歌ですが、そちらはこの歌を元に創作された段とのことです。
 作者の藤原直子(ふじわら の なおいこ)は、典侍(「ないしのすけ」。宮中に伺候する女官)に任ぜられた人物で、古今集の作者名には「典侍藤原直子朝臣」とあります。ただ、詳細はよくわかっていません。古今集への入集はこの一首のみです。

 

 

 



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