漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0808

2022-01-15 05:51:28 | 古今和歌集

あひみぬも うきもわがみの からごろも おもひしらずも とくるひもかな

あひ見ぬも うきもわが身の 唐衣 思ひ知らずも とくる紐かな

 

因幡

 

 あの人に逢えないのも、そのためにつらい気持ちでいることも、すべてわが身の招いたことなのに、そんな私の思いも知らずにほどけてくる下紐であるよ。

 唐衣の紐がほどけるのは、愛しい人に逢える前兆。古今和歌集の歌にもすでに何度か出てきていますね。そして「からごろも」の「から」には、原因や理由を表す助詞の「~から」が掛かっています。自分のせいで逢瀬が叶わなくなっているのに現れる、実現するはずもない前兆を恨めしく見据える作者。むなしく切ない恋情ですね。
 作者の因幡(いなば)は、因幡権守(いなばのごんのかみ)となった基世王の娘とされる人物ですが、詳しいことはわかっていません。古今集への入集はこの一首のみです。

 

 

 



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