はるののの しげきくさばの つまこひに とびたつきじの ほろろとぞなく
春の野の しげき草葉の 妻恋ひに 飛び立つ雉の ほろろとぞなく
平貞文
春の野の茂った草葉のように繁くつのる妻への思いで、飛び立つ雉がほろろと鳴くように私もほろほろと泣いている。
「ほろろ」は雉の鳴き声を表す擬音語で、「ほろほろ」と表現することもありますね。玉葉集には次のような歌が収録されています。
やまどりの ほろほろとなく こゑきけば ちちかとぞおもふ ははかとぞおもふ
山鳥の ほろほろと鳴く 声聞けば 父かとぞ思ふ 母かとぞ思ふ
行基
(玉葉和歌集 巻十九「釈教」 第2627番)