漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0748

2021-11-16 19:51:39 | 古今和歌集

はなすすき われこそしたに おもひしか ほにいでてひとに むすばれにけり

花薄 われこそ下に 思ひしか 穂に出でて人に 結ばれにけり

 

藤原仲平

 

 心ひそかに思っていたのに、あの人は誰からもわかるように、他の人と結ばれてしまったことよ。

 「花薄」は穂の出た薄の意で、心を寄せる相手の女性の比喩。「穂」にかかる枕詞でもありますが、この歌では「花薄」と「穂」が離れているという、変則的な配置になっていますね。「下に思ひ」は、心の中で思うことです。「花薄」はしばしば歌われる語で、古今集でも 02420243054906531006 とたびたび登場します。またその多くが、「穂に出づ」というフレーズとセットで出てきますね。
 作者の藤原仲平は平安時代前期~中期の公卿で、0230 の左大臣藤原時平の弟。自身も左大臣に任ぜられました。歌人として優れ、古今集ではこの一首のみですが、勅撰集全体では11首が入集しています。



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