宇治の網代
おちつもる をとはみゆれど ももとせの あきのとまりは あじろなりけり
落ちつもる をとは見ゆれど 百年の 秋のとまりは 網代なりけり
宇治の網代
流れ落ちて来る紅葉が長く連なる網代は、いつの年も変わらない、秋がとどまる場所なのであった。
非常に難解な歌で、解釈も定まっていないようです。類歌と見られる古今和歌集 0311 の歌も合わせ読み、また新拾遺和歌集(巻第六「冬」 第590番)では第二句が「もみぢをみれば」となっていることも踏まえ、上記のように解釈してみました。新拾遺和歌集は二十一代集の19番目にあたる勅撰和歌集で、1364年成立と言われています。
秋のはつる心を竜田川に思ひやりてよめる
としごとに もみぢばながす たつたがは みなとやあきの とまりなるらむ
年ごとに もみぢ葉流す 竜田川 みなとや秋の とまりなるらむ
(古今和歌集 巻第五「秋歌下」 第311番)