漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 284

2024-01-25 04:48:03 | 貫之集

みしひとも こぬやどなれば さくらばな いろもかはらず はなぞちりける

見し人も 来ぬ宿なれば 桜花 色もかはらず 花ぞ散りける

 

以前仲睦まじくした人も訪れなくなったわが家なのに、桜は変わらぬ色に咲き、そして散っていくのであるよ。

 

 うつろう人の心を、何も変わらずに訪れる春との対比で嘆ずる構図は 207、790 にも見られます。貫之にとって、ひとつの固定的なテーマなのかもしれませんね。790 は百人一首にも採録され、古今集(0042)にも入集した、最も著名な貫之歌と言えるでしょうか。

 

ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける

人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける

(貫之集790 では第三句が「ふるさとの」とされています。)

 



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