なよたけの よながきうへに はつしもの おきゐてものを おもふころかな
なよたけの よ長きうへに 初霜の おきゐてものを 思ふころかな
藤原忠房
なよ竹の節の間のように長い夜に初霜も置いて、起きたまま座って物思いにふける今日この頃であるよ。
詞書には「寛平御時に、唐土の判官に召されてはべりける時に、東宮のさぶらひにて、をのこども酒たうべけるついでによみはべりける」とあります。「唐土の判官」とは遣唐使のこと。「東宮」は後の醍醐天皇です。遣唐使に任命され、危険な旅を控えて思い悩んでることを歌にしたものですね。「よ」は「節」と「夜」、「おき」は「置き」と「起き」のそれぞれ掛詞になっています。