漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 489

2024-08-17 05:26:37 | 貫之集

みよしのの よしののやまに はるがすみ たつをみるみる ゆきぞまだふる

み吉野の 吉野の山に 春霞 立つを見る見る 雪ぞまだ降る

 

吉野山に春霞が立つ一方では、雪がまだ降っているよ。

 

 雪と春霞という、異なる季節の風物詩を同時に詠み込む手法は、030201にも見られ、また 古今集0003 のよみ人知らずの歌も良く知られていますね。

 

やまみれば ゆきぞまだふる はるがすみ いつとさだめて たちわたるらむ

山見れば 雪ぞまだ降る 春霞 いつとさだめて 立ちわたるらむ

(030)

 

はるがすみ たちよらねばや みよしのの やまにいまさへ ゆきのふるらむ

春霞 立ちよらねばや み吉野の 山にいまさへ 雪の降るらむ

(201)

 

はるがすみ たてるやいづこ みよしのの よしののやまに ゆきはふりつつ

春霞 立てるやいづこ みよしのの 吉野の山に 雪は降りつつ

(古今集0003)