はるかにも こゑのするかな ほととぎす このくれたかく なけばなりけり
はるかにも 声のするかな 時鳥 木のくれ高く 鳴けばなりけり
はるかに時鳥の声が聞こえる。鬱蒼と茂った木の高いところで鳴いているから。
第四句「木のくれ」は「木の暗れ」で、木が茂って暗いところの意。
はるかにも こゑのするかな ほととぎす このくれたかく なけばなりけり
はるかにも 声のするかな 時鳥 木のくれ高く 鳴けばなりけり
はるかに時鳥の声が聞こえる。鬱蒼と茂った木の高いところで鳴いているから。
第四句「木のくれ」は「木の暗れ」で、木が茂って暗いところの意。
はなとりも みなゆきかひて むばたまの よのまにけふの なつはきにけり
花鳥も みな行きかひて むば玉の 夜のまに今日の 夏はきにけり
花も鳥もみな入れ替わって、夜の間に今日、夏がやって来たことよ。
「むば玉の」は「夜」に掛かる枕詞。「今日」は立夏の日なのでしょう。一夜にして、目にする花も鳥も夏のそれに入れ替わったように思えるという詠歌ですね。
ふぢなみの かげしうつれは わがやどの いけのそこにも はなぞさきける
藤波の 影しうつれば わが宿の 池の底にも 花ぞ咲きける
藤の花房が映って、わが家の池の底にも花がさいているよ。
貫之得意のリフレクションの描写。「水に映る情景」と「見立て」は、貫之歌の中心的なモチーフのように思います。