さて、今回はどこを歩いているのかな・・・。
先に地図を載せてしまいますが、地下鉄東西線「南郷18丁目」駅から近いこの場所は、白石区、豊平区、清田区の三つの区の境界となっている場所です。
上が白石区、右下が清田区で、左下が豊平区です。
近くを歩いていると、こんな表記の電柱が目に留まりました。
「東北」?この辺りの地名ですかね・・・。
再びこの画像。
区境を走っている幹線道路ですが、名前を「東北通(とうほくどおり)」と言いまして、札幌市内の道路の名称としては、比較的知名度が高いと思います。
でもですよ、よく道路のラインを見てください。一体どこが「東北」なんでしょう?「北西」から「南東」に向かっていますよね・・・。
という疑問をずっと長い間持ち続けていましたが、これはこういうことのようです。
今は白石区、豊平区、清田区の境界になっていますが、清田区は、平成9年(1997年)に分区して誕生した区で、元々は豊平区でした。
現在の札幌市が誕生する以前、現在の「東北通」は、「白石村」と「月寒村」の境界となっていて、「界通(さかいどおり)」と呼ばれていましたが、このうち月寒村では、界通に接する地区を、方角的に北に近いことから、「北通(きたどおり)」と呼ぶようになり、さらに、上の画像で青で線を引いた川、これは「月寒川」という川ですが、「北通」のうち、月寒川よりも西側のエリアを「西北通(にしきたどおり)」、月寒川よりも東のエリアを「東北通(ひがしきたどおり)」と呼ぶようになりました。
そう、「とうほくどおり」は、元々は「ひがしきたどおり」だったのです。
それが何故「とうほくどおり」になったかと言うと、昭和38年(1963年)、「ひがしきたどおり」のエリア内に、「東北通」というバス停が新設された際、地元の人たちは、正しく「ひがしくきたどおり」と読んだものの、他の地区の人たちが「とうほくどおり」と誤読し、それがいつのまにか広まって、本来の読みを凌ぐくらい定着してしまったことから、いつしか「界通」が「東北通(とうほくどおり)」という道路名になったということなのだそうです。
ついでにもう一つ書くと、現在の東北通の白石区側に細長く広がって存する「栄通(さかえどおり)」という地名。
札幌市内には、東区に「栄町」という地名があり、こちらは、字のとおり、「栄える」ことを祈願して付けられた地名だそうなので、「栄通」も同じなのかなとずっと思っていました。
実際、答えはそのとおりらしいのだけど、「栄通」の方は、先程書いた「東北通」の旧名「界通」が念頭にあり、地名が再編された当時、「さかい」と響きが似ている「さかえ」を地名にしようという声が出たことから、「栄通」と名付けられたという過程があったのだそうです。
つまり、現在の「東北通」が「界通」と呼ばれていなければ、「栄通」という地名も生まれなかったであろうと思われるということなんですね。
地名の由来って、本当に色々で面白いです。