「太陽にほえろ!」ファンとして、小野寺昭さんがお元気でインタビューに応えていらっしゃることを嬉しく思います。
いつもお洒落で優しく、貴公子然とした甘いマスクから「殿下」と呼ばれた島公之刑事。私も印象に残っているエピソードは幾つもあるけれど、やっぱり一番は殉職編(第414話「島刑事よ、永遠に」(昭和55年(1980年)7月11日放送))ですかね。
爆弾犯人を伊豆まで追跡し、逮捕するも、帰路、山中の国道で、暴走する対向車(トラック)を避けようとしてハンドルを切り損ね、ガードレールを突き破って車ごと崖下へ転落。車は爆発炎上してしまうという壮絶な殉職シーンでしたが、インタビューにもあるとおり、「あっけなく死にたい」という要望から実現したものであることは、ファンの間では有名な話です。
インタビューの中で、共演した刑事のエピソードが語られているのも興味深いですね。例えば「太陽にほえろ!」の特色の一つである刑事のニックネームについて、※1初代新人刑事の早見淳=「マカロニ」は、食べ物のマカロニではなく「マカロニウエスタン」のマカロニであることや、※2「ゴリさん」の「ゴリ」は「ゴリラ」ではなく「ゴリ押し」に由来することなど。
※1 第1話の冒頭、長髪にノーネクタイ、パンタロンスーツという、およそ刑事らしくない格好で出勤した早見を、殿下が「よう、マカロニウエスタンにこんな格好した奴いなかったか」とからかったことが、ニックネーム誕生のきっかけ。因みに、ネタ元の「マカロニウエスタン」は、食べ物のマカロニが由来とされている。
※2 同じく第1話で、マカロニから「ゴリラのゴリですか?」と勘違いされ、憤慨している。それから10年後、ボギー刑事(演:世良公則)初登場の回でも、ボギーに同じ勘違いをされている。
でもやっぱり一番興味深く読まさったのは、インタビューの主題にもなっている、ボスとのエピソード。
エリートでありながら、妥協を許さない性格が災いして出世コースから外されている(その点は、「相棒」の杉下右京に通じるものがあるのかも)という設定だったけれど、インタビューにもある、署長とのシーンでもボスの方が風格があったということや、どんな凶悪犯、暴力団幹部などにも真っ向から立ち向かうその姿が、物語に重厚感を持たせ、その存在感を際立たせていたことは間違いありません。
また、見ている私たちにとっても、「理想の上司」として映っていたと思います。
自分はまだ、組織全体では下から数えた方が早い位置づけだけど、それでも部下を持つ身としては、ボスの姿には、理想というか憧れを覚えます。
昨年、放送開始から50周年を迎えた「太陽にほえろ!」。これからも伝説のドラマとして広く語り継がれていくことを、ファンとして願い続けたいです。
※ 文中一部敬称略