風月庵だより

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福岡龍國寺 その2 守られた田園

2010-05-13 09:05:32 | Weblog
5月13日(木)晴【福岡龍國寺 その2 守られた田園】(久しぶりの雲の写真。この頃、写させてもらいたい雲になかなか会えませんでした)

今日は、とてもよいお天気です。珍しく富士山が遙かに見えました。個人的なことですが、今日は5月13日、スエーデンに住んでいる弟の誕生日だと思いながら、日日を入力しました。同じ兄弟でも、それぞれの人生がありますね。

さて、龍國寺さまのお話の続きです。



お寺側から畑を撮りました。この空間には少ししか畑が見えませんが、お寺の一帯は美しい田園が広がっています。この田園地帯に、食品工場が誘致されるという問題が五年前に起きたのだそうです。農地、4ヘクタール(1万2千坪)が、買収され工場ができるという計画がすでに進んでいるということが知らされたのだそうです。

農地が工場になれば、計り知れない環境破壊が起きてくるでしょう。その危険を察知なさった龍國寺の方々は、工場誘致反対の運動をせざるを得ないこととなりました。すでにボーリングもはじまり、農地の買収の話も進んでいる状態だったそうです。その状態でも諦めずに、龍國寺の皆さんは立ち上がりました。

お寺の皆さんが先ずなさったのは「祈り」です。毎朝、問題の田んぼに、ご住職をはじめ奥さん、お子さんや友人の皆さんで、工場が誘致されないことを願いに巡礼をなさったそうです。それこそ、雨が降ろうが風が吹こうが、一日として休むことなくです。また人びとを説得なさる努力もし、町役場にも交渉し、地元の人びと一人一人とも語らい、地道な反対運動を展開したそうです。その結果、ついに工場建設を予定していた企業の方から、進出を断念するということになったそうです。

この運動については「二丈町水と田んぼと里山の会」http://www.geocities.jp/nijo_mizutotanbo/に詳しく書かれています。

こうして、環境破壊から地域を守っていく中心にお寺がなっている働きはすごいと思いました。一方、そうならざるを得ないのは、行政に携わる人たちが、経済のことを優先する頭であることに問題があるわけです。また最近では、お寺のある山の頂上に建設残土(建設残土と表現されるが、実際は産業廃棄物。また建設残土といっても、昔のように木造家屋ではないので、建設残土にどれほど多くの危険物や毒性のある物質が入っているかわからない)を埋め立てようという問題が起きたそうで、このような困難とも闘わなくてはならないそうです。行政に携わる人間が、しっかりしたビジョンを持っていてくれさえしたら、起きない問題ではないでしょうか。

経済も大事ですが、生活を守ることはもっと大事です。言うまでもないことですが。環境を守ることは大事なことです。(いつも基本に「水」が守られているか、が一つのバロメーターとなるでしょう。)当たり前のことですが。当たり前のことが分からないことが、人間社会ではしばしば起きています。

米軍の基地問題でも、きちんとした判断と、人びとの生活を考えられない人が、政治の中心にいるようです。

今では、嵐の吹いたことは知らないかのように、まもなく麦秋の麦の穂が、守られた田園に揺れていました。