風月庵だより

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祈祷太鼓

2016-01-07 20:31:26 | Weblog

1月7日(木)晴れ寒し【祈祷太鼓】

当寺は新年の御祈祷会を5日に行います。三が日にご祈祷したお札を檀信徒の皆さんにお渡ししています。今年は、新潟から応援に来てくださった青年僧が大変に祈祷太鼓の見事な人でしたので、一層御祈祷会が盛り上がりました。

この青年は、まだ四歳くらいの坊やのときから知っていましたので、いつの間にかこれほどに成長なさっていたかと感心もし、驚きもしました。今では立派にお父さんであるお師匠様を助けてお寺を守っています。檀家の皆さんも、彼が立派な跡取りに成長してくれましたので、一層お寺を盛り立てていこうということになるでしょう。親子で力を合わせてお寺を守っていく姿には、檀家さんを安心させる力があります。

彼の結婚式にも出席させていただきましたし、たまたま私が彼を書道部に勧誘しまして、そこで知り合ったお二人ですから、私の果たした役割も少しあるかもしれませんね。

お父さんに似て、書道の腕前も大変立派です。読経の声も、日頃から唱え続けていることがわかる、大変に良い声です。さらに、なによりも礼儀正しいですし、謙虚ですし、お坊さんとしての素質が自然に備わっているような人物です。さらに法を説けるようになってくださいますと、有難いことだと思います。

日本の檀家さんのあるお寺は、修行道場とは違います。檀家さんたちとともに力を合わせて、守りあっていく場です。「財法二施」と言いますが、僧侶は法を、檀家さんたちは財を布施しあって、成立しています。

読経の声も、お塔婆一つにしてもきちんとした文字が書けること、祈祷太鼓にしても、実はすべて努力して、当然身につけていなくてはなりません。そうして、檀家さんたちを大事にして、お釈迦様以来の法をお伝えすること、檀家さんたちが理解できる言葉で説けること、これらを為すことが、寺を守る僧侶のお役だと思います。

さて、その彼の祈祷太鼓を、初めて聞かせていただきました。実は私が自分で太鼓を叩こうかと思っていたのですが、彼の太鼓を聞かせていただき、はるかに迫力が違いますので、彼に頼むことになりました。

私は10年ほど、ご祈祷寺におりました。その頃は、年中聞いていた祈祷太鼓でしたが、正直言いまして感動したことはありません。この度、彼の祈祷太鼓を聞かせていただき、感動いたしました。

私も毎日祈祷して太鼓を叩いていますが、いつか聞く人の胸に響くような祈祷太鼓を叩けるように精進したいと思っています。

バチさばき一つにも、その人が現れると思います。師匠は坐禅が終わって、禅堂を出てからよく次のようなことをおっしゃいました。

「鐘一つにも、その人の力量が分かるな」と。

百の言葉よりも鐘一つに表れてしまう、その人の力量であり、心境でさえあるでしょう。

皆さまも、なにか大事にしていることがあれば、お互いに精進いたしましょう。目標を持って、日送りをすれば、生きているという感覚を深く感じるのではないでしょうか。人と比べることはありません。

「自分が自分に深まっていく」

そんな生き方。

すでに本年も一週間が経ってしまいましたね。どうぞ、日々自分なりに真を尽くして生きる日々でありますよう、お互いに。

(寝ることも仕事のうちです、と、我が家のタロー君)