60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

瞑想(マインドフルネス)

2017年06月23日 08時54分17秒 | 読書
 以前見たNHKのクローズアップ現代という番組で細胞老化の話をしていた。その中で細胞老化を遅らせる手段として、有酸素運動、野菜を中心の食事、人とのつながり、良質な睡眠、そして瞑想を上げていた。今まで健康番組で最初から5つはよく耳にするが、「瞑想」というのは初めてである。そこで「瞑想」について知りたくて本屋に行った。本屋の棚を探し、瞑想に関する本の中から、マインドフルネスというジャンルに興味を持ち、その解説書2冊買って読んでみた。
 
 マインドフルネス、Mindfulは心を傾けるという意味だそうで、それに-nessを付けて名詞にしたもの。辞書を引くと、「今現在において起こっている内容的な経験および外的な経験に注意を向ける心理的な過程である」と書いてある。マインドフルネスという言葉に聞き馴染みがなく、瞑想といえば日本では座禅の方が馴染みがある。マインドフルネスは座禅から宗教色を取り、日常のストレスケア施策としてシリコンバレーの企業で取り入れられ始め、人気を得ている瞑想法のようである。今では精神科でも取り入れられたり、街に道場があったり、グーグルなど最先端企業の社内にも瞑想室があるまでに発展にしているという。
 
 ではマインドフルネストはどういうものか。人間は元々、現実に生じていないものの過去に起きた出来事や、将来起こるであろう可能性を想像し頭の中を駆け巡らせている。そのため常に意識は分散し、目の前の事象に対しての意識の集中がおろそかになりがちである。さらに過去の辛い出来事や将来のネガティブな可能性を想像して、ストレスを抱えていくことにもなる。マインドフルネスは自己の意識を集中させ、自身の内面に向き合うことで、日ごろ無意識に働かせている感情や思考、雑念といったものの影響を受けずに現在と向き合う心の持ち方を鍛える方法のようである。
 
 本にはマインドフルネスの効果については
(1)怒りや不安といった感情に対して、影響されることなく自身をコントロールすることが可能になる。
(2)仕事の遂行中に生じるプレッシャーに動じなくなり、精神が安定する。
(3)ストレス耐性を身に付けることができ、昨今変化の激しい時代を生き抜くうえでの精神的な幹ができる。等々が書いてある。
 
 では実際にどういうことをやるか。基本的には静かで落ち着ける場所で、背筋を延ばし楽な姿勢で床に座るか、椅子に腰掛ける。そして軽く目を閉じ、自分の呼吸に意識を傾け続ける。ただそれだけである。我々は普段は特に呼吸を意識することはない、一方意識して呼吸することもできる。その呼吸に意識を向け続けることで、分散しようとする意識を自分に集中させる。そのことで、常日頃、雑念の中にいる自分を目的の方向へ意識を傾けさせる訓練なのであろう。

 今、私は会社に行くのに各駅停車で座って行っている。自宅の最寄駅から池袋駅までは約45分、最初の15分は新聞に目を通し、後の30分を瞑想(マインドフル)の時間に使うようにしている。始めてみれば分るのだが、自分の意識を呼吸に向けていても、色んな考えが頭の中をよぎり、意識は呼吸から外れてしまいそうになる。「はっ」とそれに気付きに、また呼吸に意識を戻す。この繰り返しである。時には雑念が多く、自動呼吸になっているときもある。本にはサゼッションとして呼吸をカウントすると継続し易いとも書いてある。私は瞑想を始めてすでに1ケ月が経過した。今では30分間(呼吸数で430~460回)、多くの雑念は入るが、自分の呼吸に対して何とか意識を外さずにいることができるようになった。
 
 瞑想を始めて、まだ明確な変化を感じ取ることはできない。しかし少し変化もあったようにも思う。例えば、池袋駅に着いて山手線に乗り換えるために地下のコンコースを歩く。その間に大勢の人とすれ違う。今までは人の間を縫って歩くのに、人を邪魔な存在のように感じていた。今はすれ違う人ごとの服装や歩き方や顔つきまで見ているように思う。大げさに言えば、すれ違う僅かな時間の間に、その人の人となりまで感じとっているような気がするのである。
 
 また、上野駅に降りて会社まで歩く間、今までとは違う目線で前を見て歩いているようである。上野駅付近の道路は碁盤の目になって直線になっている。最近は歩いている時は200~300m先を見ているような感覚である。時には見える範囲の先まで並ぶ信号機の赤や青の色を認識し、その色の変化を順番を追って見ていることもある。
 
 では何がそうさせるのであろう。たぶん今までは意識が分散して雑に見ていたものが、意識が集中することで、より細かくより深く見るようになったのかも知れない。アナログテレビで見ていたものが、デジタルテレビや4Kテレビを見た時に、同じ画面でも見る視点が変わったように感じたのに似ている。勝手な推測だが、今まで分散していた意識が、自分の見るものに集中するようになって、同じ事象に対しての認知力(処理能力)がアップしたのではないかと思う。シリコンバレーで働く多くのビジネスマンで広がるマインドフルネス、それは明らかな効用効果があるからであろう。私もこれを続けていくことで、自分の中の何が変化していくのか、それを知ることが楽しみでもある。
 
         

    すれ違う人ごとの細かな部分まで認識しているように感じる。
 
  
   
           はるか先の信号まで意識の中に入ってくる。



 

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