『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

❝円高が日本を救う❞大前研一氏 ❝円安歓迎❞が日本経済低迷の元凶だった!

2020-02-09 08:48:31 | 日記

円高不況は過去のものになりそうです。円高に振れると短期では輸出企業の採算悪化から株安になるなど良いイメージがありませんが、円高は輸入品の下落など国民には恩恵がある。マスコミのミスリードにより、読み込まされた円安歓迎は幻想だったのです。今後、中国・韓国経済の低迷により、円高に振れ、一時的には株価にも悪影響を及ぼすことが考えられますが、自国通貨を下げる円高対策など不要です。1㌦70円位が適温かもしれませんね。

以下抜粋コピー

低空飛行が続く日本経済。その本質的な問題解決のためには、どこに注目すればよいのか。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

 2020年の世界経済は、アメリカとイランの対立で中東情勢が極度に緊迫し、波乱の幕開けとなった。

 一方、安倍晋三政権は昨年12月、台風被害の復旧・復興や景気下振れリスクに対応するという名目の26兆円規模の新たな経済対策と、8年連続で過去最大を更新する一般会計総額102兆6580億円の2020年度予算案を決定した。まさに大盤振る舞いである。

 安倍政権は「アベノミクス」「3本の矢・新3本の矢」「1億総活躍社会」といったキャッチフレーズと経済対策や予算の数字を乱発して体面をよく見せかけようとしているが、実際はどれも全く機能せず、日本経済は低空飛行を続けている。なぜなら、どの政策も本質的な問題解決に取り組んでいないからである。

本質的な問題とは何か? 「円安」である。日本の財界は、未だに加工貿易立国全盛時代のメンタリティを捨てきれていない。たとえば、経団連の歴代会長は大半が新日本製鐵(現・日本製鉄)、東京芝浦電気(現・東芝)、トヨタ自動車、キヤノン、日立製作所などの輸出企業から選ばれてきた。このため、財界の人々は円高になると利益が減り、円安になればなるほど儲かるという図式が頭にこびりついている。

 だが、日本のGDP(国内総生産)に占める貿易の割合は10~15%で、輸出から輸入を差し引いた純輸出は2%前後でしかない。したがって、為替レートが変動してもGDPに対する影響はほとんどないのである。

 しかも、本連載で指摘してきたように、今やトヨタをはじめとする大手の輸出企業の多くは世界化して海外各地に工場を展開しているので、ほぼ“為替中立”になっている。つまり、たとえ円高で一時的に大きな為替ダメージを受けたとしても、半年もあれば調整できるのだ。だから、もはや「円高=悪」という考え方は捨て去るべきなのだ。自国通貨が弱くなって喜ぶ国は日本と韓国くらいである。

 にもかかわらず、マスメディアもこの問題の本質を理解していない。最近はようやく日本経済新聞が「円安頼みで持続的な成長は望めない」(2019年11月17日付朝刊)などと報じるようになってきたが、その一方で同紙はディズニーランドの入場券やダイソーの商品などは世界で最も安く、その理由について「根底には世界と比べて伸び悩む賃金が物価の低迷を招く負の循環がある。安いニッポンは少しずつ貧しくなっている」(2019年12月10日付電子版)と分析している。

 しかし、国際比較で日本のディズニーランドの入場券やダイソーの商品が安いのも、賃金が上がらないのも、円安のレートで換算するのだから当たり前である。

 円高になったら、日本の購買力が上がる。仮に円が過去最高値の1ドル=75円台(2011年)になったとすれば、購買力は現在の1ドル=110円台の約1.5倍になるので、世界中から高級ブランド品や高品質なものを安く輸入したり、海外旅行をリーズナブルに楽しんだりすることができる。

 しかも、日本は個人金融資産が1800兆円超もある。為替レートが1ドル=110円台から75円台になれば、その購買力は約2700兆円に膨らむ。これはバブル期のように世界中の企業や不動産を買いまくることができる金融パワーだ。

円高が進んだらインバウンドが減少すると反論する向きもあるが、訪日外国人の旅行消費額は年間4兆5189億円(2018年)でしかない。もし、それが半分になったとしても年間2兆2500億円ほど減るだけだから、2700兆円の購買力に比べれば、誤差の範囲内である。国・国民にとって為替は強いほうがよいに決まっているのだ。

 ところが、日本は強い為替の使い方を知らない。本来、購買力が高くなったら何をすべきなのか? 国民の生活の質を上げることに使うべきである。

 好例はスイスだ。スイスフランが強くて物価は非常に高いが、国民は豊かな生活をしている。世界中から裕福な観光客がやって来るし、信じられないほど高価な時計も飛ぶように売れている。日本企業は円高になっても売れるようなものを作ればよいだけの話であり、為替が強くて悪いことは何もないのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする