メディアからの情報はネガティブなニュースを流す傾向にありますが確実に
感染は収まりを見せ、補正予算と伴に再生に向けて力強く動き出すでしょう。
新型コロナの影響は新型コロナが変異し急拡大しない限り、今後は限定され
たものになる。むしろインフレが日経平均の売り圧力になるかもしれません。
日米の株価では、日本が遅れていましたが、 企業業績も最悪期を脱して回
復しつつある。 感染症が完全終息したあと、 株式市場に流入していた巨額
投資資金が流出していくかもしれません。 日経平均株価は、 ドルベースで
はすでに89年の最高値を超え最高値を更新し続けていますが、 国内ではよ
うやく再浮上の端緒についたところです。 上下動を繰り返しながらゆっくり
値を上げてゆき、 1989年の最高値3万8,915円を超えて始めて本格的な上昇
相場に移行する。米国ダウ平均は史上最高値を更新するなど依然として好調
を維持していますが、上昇ペースが急激だった反動で、 恒大グループなど不
動産関連の処理に伴いチャイナバブル崩壊ショックなどの調整で大きく値を
下げるかもしれない。 日経平均株価はどうでしょうか?年末にかけ2割程度
の調整は入るかもしれませんが、 史上最高値をめざして駆け上っていく。 そ
う遅くない時期に、 ダウ平均と日経平均が再逆転する日が来るかもしれません。
②代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは対ドルで一時6万4342
ドル台と4月14日以来約半年ぶりの高値を付けたほか、対円では735万円台と過
去最高値を更新した。ビットコインの先物をベースとしたプロシェアーズのETF
(上場投資信託)の取引が正式にニューヨーク証券取引所(NYSE)で開始され
たことが好感された。
以下抜粋コピー
日経平均が30万円になるということは、 世界の投資マネーが日本に集中的に
流入するということですね。 なぜそうなるのかご説明いただけますか。
エミン ・ ユルマズ (以下、 エミン) 世界の投資マネーの動きを考えるとき
最も重視すべきキーワードは米中を両軸とした 「新冷戦」 です。 この言葉に
はネガティブな印象がありますが、 ホットな戦争にならないという点で、 日本
にとっては悪い話ではないと思っています。 米中間に位置する日本の地政学的
な重要性が高まるので、 これまで以上に存在感をアピールできる。また中国も
日本がアメリカの重要な同盟国だというのはわかっているから、 真っ向から
敵対することは避けたいはずです。
日本の地政学的な地位が向上することは同時に、 経済や貿易においても日本の
優位性が高まることを意味します。 それが世界の投資マネーを日本市場に呼び
寄せる契機となる。 前回の米国とソ連 の冷戦は約40年間続きました。 新冷
戦もほぼ同様だと仮定すると、 スタートがシリア内戦やウクライナ危機が生起
した2013年から2014年ですから、 2053年頃まで続くことになる。 日本株式市
場の上昇サイクルがスタートしたのは2013年頃で、 これは偶然の一致ではあ
りません。 世界情勢が不安定感を増すのと並行して世界の投資マネーが安定し
た市場である日本に向かっているということです。 なかでも年金基金などの
機関投資家は、 どのような相場状況のなかでも運用益を求めて投資を続けなけ
ればなりません。 個人投資家の何十倍もの資産規模を擁する機関投資家がいま
日本市場の成長性に注目している。 今後もこの流れは加速していくものと見て
います。
新興国から成熟国へ ── 資金の流れが逆回転する
―― 世界のマネーが日本に向かい始めているとのことですが、 具体的な事例と
その背景をご紹介いただけますか。
エミン 近年のトレンドをふたつご紹介しましょう。 ひとつは米国の投資マネー
が日本市場に流入していることです。 2020年8月、 世界的な投資家バフェット氏
は、 伊藤忠商事、 三菱商事、 三井物産など日本の大手総合商社5社の株式を
それぞれ時価総額の5%程度取得したと発表しました。 総額6,000億円程度の投資
だと見られています。 また米国の代表的なプライベート・エクイティ・ファン
ド (PEファンド) であるベインキャピタルも、 ここ数年、 日本での活動を活
発化させてきました。 アメリカではいま株式市場が過熱化し、 行き場を失った
投資マネーが新たな投資国、 投資先を求めています。 米中貿易摩擦の長期化を
背景としたチャイナリスクの顕在化により、 そうした資金が中国ではなく日本に
向かうようになってきた。 グロース (中国) からクオリティ (日本) への
転換が進んでいるわけですね。もうひとつのトレンドは、 世界の製造業における
「脱中国」 の流れです。 2000年代以降、 世界の経済は中国の生産に大きく依存
してきましたが、 その構造が次第に崩れつつある。 アメリカ商務省は2020年
12月に中国の半導体大手SMIC社を 安全保障上の利益に反する企業を列挙した
エンティティリストに追加しました。 また2021年1月には、 国防総省が世界第3
位のスマホメーカーである中国 Xiaomi 社を国防ブラックリストに追加していま
す。 半導体については 台湾の半導体ファウンドリTSMC社が中国に代わって米
国向けの生産を担っていますが、 拡大する需要の全量を賄えるわけではありませ
ん。 そこでルネサスエレクトロニクスは今年1月に、 TSMCなどに委託していた
製品の一部を自社生産に切り替えました。 これはわが国の先端産業を中国から日
本へサプライチェーンを戻し始めていることを意味します。このように新冷戦の
進行は、 日本に好景気をもたらすと同時に、 日本株にとっても貴重な追い風に
なるでしょう。 かつてグローバル資本は、 米ソ冷戦の終結を受けて日本をはじ
めとする成熟国から中国やロシア、 旧共産圏の新興国に軸足を移しました。 投資
マネーの流出により日本経済は長期の停滞を余儀なくされた。 同時に、 日本の
メーカーも生産コストの安い中国や東南アジアに生産拠点を移転したため国内産
業の空洞化が社会的な問題となりました。 しかし、 新冷戦はこうした動きを逆
回転させていくでしょう。 米中の対立により世界が大きくふたつにブロック化す
れば、 資本は簡単には動けなくなる。 自由主義陣営における日本の地位がさら
に向上し、 未曾有の好景気が現出することはまず間違いありません。