筆者は永く不動産関係に従事しており、著者の考えとは異なり、2025年に東京不動産大暴落とは考えていませんのでお金を出して大暴落本は買う気はありません。しかし、反対意見は思い込みを防ぐ為に貴重であり、参考になります。都心ではなく、利便性の無い地方など日本全体でみれば、ありうるかもしれませんが反対に急騰もありうる。それとは別に35年ローンはどちらにしてもNGです。不動産は人生の全て35年もの期間借金を背負って買うものでは無い。人の人生浮き沈みを考えれば、ローン期間は10年が理想でせいぜい20年です。変化に対応できる背伸びをしない生き方が重要です。
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人生でもっとも高い買い物といえば、昔も今もマイホームだろう。購入者のほとんどは最長35年という長期返済型の住宅ローンを組み、万が一ローンが返せなくなったら「売ればいいだけ」と安易に考えている人も多いのではないか。しかし、長きにわたり住宅の資産価値が保てる“土地神話”はとっくに通用しない時代だ。
近著に『2025年 東京不動産大暴落』(イースト新書)がある住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、35年ローン廃止論を唱える。
まもなく、「平成」の世が終わるという。もはや「昭和」は遠くなってしまった。昭和の半ばに生まれた身としては、何とも寂しいものがある。
昭和を記憶や思い出として大切に扱うのは悪くないだろう。しかし、あの時代に生み出された住宅購入に関する時代遅れなシステムは、なるべく早く改めるべきだ。もはや、昭和のように日本経済は成長しない。人口も雇用も、ましてや給料さえ増えない。
早急に改めるべき筆頭は、「35年返済の住宅ローン」(以下、35年ローン)だ。これはいち早く禁止にすべきだ。なぜなら今の時代に35年ローンを組む、ということはかなりの確率で自己破産へと導かれるからだ。
この35年ローンは、そもそも「35年の間、継続して今以上の収入がある」ということを前提にしている。なんという危うい前提だろう。
今の時代、35年間もの安定収入を見通せる職業が、公務員以外にどれほどあるというのか。東芝のような大企業でも、倒産の危機にさらされているのである。民間企業で35年の雇用が盤石と言えるようなところは、数えるほどしかないはずだ。
それなのに、多くの人が35年返済で住宅ローンの融資を受けている。これは、ある意味で狂気の沙汰と言っていい。しかし、誰もそのことに異を唱えない。どう考えてもおかしいではないか!
私のところには多くの人が住宅購入の相談が訪れる。40歳くらいの方に「ローンは何年で想定なさいましたか?」と聞くと、平気で「35年です」とお答えになる。返し終わるのは75歳になる。
たいていの企業は60歳が定年だと理解している。嘱託で2年から5年くらい席を置いてもらえるかもしれない。しかし、給料は半分以下に減らされるのが普通だ。では、その間の住宅ローン返済はどうするつもりなのだろう。
多くの人は「退職金もあるから何とかなるだろう」くらいに考えている。きちんと自分が60歳になった時のローン残高を計算してからローンの契約書にハンコを押した人は、全体の何%くらいだろう。
仮に40歳の時に5000万円の住宅ローンを35年返済で組んだとする。定年になった60歳の時の残高は約2300万円と推定される。毎月の支払いは14万5000円ほど。退職金で一括返済しないと、あと15年はその額を払い続けなければならない。さて、定年になって2300万円以上の退職金がもらえる企業はどれくらいあるのだろう。
経団連の調査によれば退職金の平均額は、60歳の大卒者が卒業後38年間勤務した場合で「2357万円」となっている。今時22歳で大学を出てから同じ会社に38年間勤務する人は、全体の何%いるのだろう。
今は昭和の時代のように終身雇用制度は機能していない。大卒の3割以上が3年以内に転職する時代だ。さらに同じ会社に38年も勤めるケースは極めて稀。また「2357万円」は経団連の会員企業の社員という、全体の中でもかなり恵まれたサラリーマンのケース。
あの時代なら、20年前に5500万円で購入したマンションは軽く6000万円くらいでは売れた。うまくいけば1億円になっていたかもしれない。少なくとも買値を下回ることは、あまり想像をしなくてもよかった。「土地神話」という、とうに崩壊した経済の法則があって「不動産は決して値下がりしない」時代が続いていたのだ。
今は、20年前に5500万円で購入したマンションが半額の2750万円で売れればかなりラッキー。物件によっては2000万円を下回るかもしれない。特にこれからの時代は住宅の余剰感が強まるから、さらに下落することも十分に考えられる。「返せなくなったら売る」という選択肢は、よほどの都心人気エリアでなければ想定できない。
35年ローンが「発明」されたのは1960年代だと言われている。おそらく高度経済成長に沸いた昭和40年頃だろう。住宅の価格もうなぎ上りに上昇していた。「これでは誰も家が買えないじゃないか」という絶望感が庶民の間に広がっていた。
そこへ救世主のように登場したのが35年ローンだ。35年という長期にならせば、毎月の返済額は家賃程度に抑えられる。これによって、多くのサラリーマンはマイホームの夢を諦めずに済んだわけだ。実際に、35年ローンによって家を買った人は多かった
しかし、もはや35年ローンの役割は完全に終わった。というよりも、サラリーマンを破滅に追い込むシステムに変貌しつつある。その理由は、ここまで申し上げてきたとおり。
(1)35年の安定収入を見込める者はごく少数
(2)住宅価格は今後右肩下がりで下落していく
この二つに尽きる。そして、この二つの条件が今後覆る見通しは少ない。