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2016年7月、フィリピンの提訴を受けたオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、中国が主張する「9段線」内の海域に対する「歴史的権利」に国際法上の根拠がないとの判断を示していた。中国は「二国間の交渉で解決すると合意している」として当初から仲裁手続きにも加わらなかった。
呉氏は「判決が出てから8年間の波乱をみれば、判決は平和と安寧をもたらしていないし、今後もたらすことはないだろう」と述べた。また、フィリピンと軍事的結束を強める日本に対しても「将来、多くのトラブルを起こしかねない」と牽制(けんせい)した。
ただ、判決は国連海洋法条約に基づいており、中国もこの条約の締約国だ。フィリピンの首都マニラでは12日、仲裁裁判での勝訴を記念するフォーラムが開かれ、政府高官や各国の大使らが、国際法を順守する重要性をあらためて訴えた。
法律の専門家として登壇したフィリピン最高裁元判事のカルピオ氏は「中国が持論を押し通すためにどんな物語を作り出したとしても、国連海洋法条約に違反し続けていることに変わりはない」と指摘。政府のアニョ国家安全保障担当顧問は「(中国船による放水や衝突といった)攻撃的な行動が世界各国の自由な航行を脅かしている。国際法の意義を弱体化させる行為だ」と批判した。
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