トランプ氏が大統領になったら株式相場は大暴落する、と。仮説を立て大金をつぎ込んだ伝説の男ジョージ・ソロスが86歳にして大敗北です。アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏の当選してから数週間で何と10億㌦もの損失計上です。コバンザメのように追随していたファンドはことごとく損失計上。逆に先読みせず、『ショック安こそ、最大の買い場』と下がったから買った投資家は利益を享受。しかし、これに浮かれる多くの投機家はいずれ利益を吐き出すでしよう。投資の世界は思いこんだり、決めてかかれば負けです。特にソロス氏のような失敗例に学ぶことは重要。筆者にとって最大の師匠は反面教師です。ともあれ株式市場の活況はドル安・株高は賃金上昇で今後、インフレに火がつくまで続きそうです。
以下コピー
ジョージ・ソロス--この名前を聞いたことがある投資家は多いのではないでしょうか。まさに「生きる伝説」として世界に影響力を持ち続けている現役の投資家です。その卓越した分析力と潤沢な資金力を武器に、世界中の金融機関や政府とすら対等に渡り合う姿は、われわれ個人投資家の憧れと言っても過言ではないでしょう。
そんな彼が大失敗をしました。アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏の当選が決まってから数週間のうちに10億ドル(約1100億円)の損失を出したのです(米ウォール・ストリート・ジャーナル紙より)。
伝説の男ジョージ・ソロスをもってしても勝てない相場で、一体だれが勝ち続けることができるというのでしょうか? ここに、個人投資家が進むべきひとつの活路を見いだせるかもしれません。
なぜジョージ・ソロスは間違ったのか?
大接戦の末にトランプ大統領が誕生したことは、まだ記憶に新しいでしょう。多くの専門家(世界中の金融に詳しいアナリストなど)の予想は、「ヒラリー・クリントン大統領の誕生」でした。そして、もし万が一「トランプ大統領誕生」ということになれば、「株価は大暴落」という予想が大半を占めていました。
伝説の投資家も、同じように考えていたようです。そのため、トランプ大統領誕生が確定してからは、かなり大きな額の「空売り(ショートポジション)」を行ったのではないかと考えられます(一部の報道では、2016年末にはそのポジションを解消したと伝えられています)。
結果としては、これが大失敗。大方の予想に反して、アメリカの株式市場は大幅に上昇しました。こうして彼は、たった数週間で10億ドル(約1100億円)もの損失を被ることになったのです。
百戦錬磨の投資家による「世界トップクラスの相場分析」をもってしても、トランプ大統領誕生による上昇相場で大失敗……。なぜ、ジョージ・ソロスは間違ってしまったのでしょうか? そして、われわれ個人投資家は、ここから何を学べばよいのでしょうか?
ソロスは予想していました。
トランプ氏が大統領になったら株式相場は大暴落する、と。それは、過去の成功体験や緻密な政治・経済の分析からもたらされた予想でしょう。しかしながら、結果的にはその予想が、10億ドル(1100億円)という多額の損失を生む要因となってしまいました。
では、そうした「超一流の予想」でさえ外れるというのに、個人投資家がテレビや新聞やネットから得た情報で政策の行方を考え、株価の動向を予想するという投資手法が、どれだけ有効なのか? 予想の精度は、どれくらい上げられるものなのか? 何度も繰り返しできる再現性はあるのか? これは非常に難しい問題です。世界中の思惑が交差する、それが株式市場だからです。
あえて予想をしなかった事で利益を出した人々
ジョージ・ソロスのように予想を立てて株式を売買する手法は「投資」といわれます。今回は結果として、数週間で損切り(ロスカット)してポジションを解消していますが、おそらく本来は中長期的な空売り(ショートポジション)であったのだと推測できます。投資とはこのように、予想に基づいた中長期的な見通しに対して資金を投じることです。
一方であえて予想をせず、現在の株価の動きにあわせて資金を投じることが出来ます。その方法は「現在の株価の動き」を分析して短期的なリターン(利益)を求めるのです。
1100億円の損失の裏には、1100億円の利益がうまれている・・・
もしあなたが株の相場で100万円を損したら、その100万円は誰かの利益です。つまり、ジョージ・ソロスが1100億円損してるその裏には、1100億円を稼いだ人たちがいるのです。
その人達の大半は、大きく予想することではなく、予想をせずに、株価の動きについていきました。つまり、株価が下落せず、上がった後で買いを入れて大きく利益を出したのです。