大切な2017年度予算案が、信ぴょう性の乏しい籠池理事長の証人喚問で与野党十分な議論もされず、与党案其のままで通過する事態をみて、日本は将来破たんするのではないかと考えてしまいます。このような問題は裁判で決着すべきです。政治家が大衆迎合を続ければ「国債の貨幣化」という最悪の結末が待っているのです。
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日銀は3月16日の金融政策決定会合において、現状の金融緩和政策を維持することを決定しました。
(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
短期金利:マイナス0.1%
長期金利:0%程度
国債の買い入れペースを年間約80兆円をめどにしつつ、金利を操作していく。
(2)資産買い入れ方針
ETF:年間約6兆円
J-REIT:年間約900億円
CP:年間約2.2兆円
社債:年間約3.2兆円
消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで、上記の政策を維持することを改めて表明しました。
3月3日に総務省が発表した消費者物価指数の結果がこちらです。
<消費者物価指数(生鮮食品を除く) 前年比>
2013年:+0.4%
2014年:+2.6%
2015年:+0.5%
2016年:-0.3%
2017年1月:+0.1%
日銀の異次元緩和は2013年4月からスタートして、「2年で2%のインフレ」を目標に掲げていました。岩田副総裁に至っては「2年で2%のインフレ目標が実現しなければ、辞任する」とまで発言していました(後に発言を撤回しました)。
当時はそれほどまでに自信があった政策だったのです。しかし、4年経った今、むしろ目標からは大きく遠のいています。一体、いつまでこの政策が続くのでしょうか。
結論を先に言えば、その答えは「永久」です。この異次元緩和は永久に続きます。
日銀はなぜ「出口」のシミュレーション結果を公表しないのか?
日銀の金融緩和政策は永久に続きます。出口はありません。
2015年8月4日の財政金融委員会で「出口戦略について日銀内部で議論していますか?」という質問について、岩田副総裁は次のように答弁しています。
岩田副総裁:
内部では幾つかのシミュレーション、この場合はどうか、この場合はどうか、この場合は金利水準はどういうふうに移動する、移行するだろうかとか、そういうシミュレーションは幾つかしております。検討しております。
日銀内部では、出口戦略に関するシミュレーションが行われているようです。しかし、その結果は現在まで未公表です。黒田総裁も岩田副総裁も、出口に関する質問に対しては「時期尚早である」と連呼しています。
当初、2年で目標に到達する予定が、4年経っても実現できていません。
岩田副総裁の発言を聞くと、いかにも出口戦略はいつでも実行できるように受け取れますが、それは間違いです。現実的には将来に向かえば向かうほど、出口戦略を取るのが難しくなっていきます(後で詳しく述べます)。
すでに39%に到達した日銀の国債保有率、2033年には100%を突破!?
まずは現状を確認していきます。日銀は年間80兆円の国債を買い切るという政策によって、2016年12月末には国債保有率が39%を突破しました。
<政府の国債発行残高、日銀の国債保有額、保有割合(2000年3月~2016年12月)>
(※1)循環統計の中央政府、中央銀行の国債残高から作成
(※2)抽出項目:国債・財投債+短期証券
(2016年12月末)
中央政府の国債発行残高:1077兆円
中央銀行の国債保有残高:421兆円
⇒日銀の国債保有率が39.1%を突破!
政府の発行する国債を、ものすごい勢いで日銀は買い切っています。過去3年の統計では、政府が毎年約40兆円ずつ借金を増やして、日銀が約80兆円ずつ国債を買い占めています。
もしこのペースが続けば、次のように推移していきます。
<政府の国債発行残高、日銀の国債保有額、保有割合【予想値】(2017年~2033年>
日銀の国債保有率が2018年には50%を超えて、6年後の2023年には70%を突破してしまいます。そのまま突き進めば、2033年前後に100%を突破します。
上記のグラフは半分、冗談であってほしいと願いながら書きましたが、どう考えても、どこかで出口を模索しなければ、「国債の貨幣化」が実現してしまいます。