このまま何もせず、人口減少社会を迎えれば、地方から崩壊していくはずです。しかし、元々何もないところからスタートしたと考えれば、要は発想の転換です。基本は国民の多くが考えいる方向には世の中は動かない。国民の多くが考えている方向に人生を進めば、苦難続きです。折角日本という恵まれた国で生を受けたのであれば、人生を楽しむべきです。今後、政治の課題として、移民国家にするのか?自然を増やし、観光立国にするのか?もはやグランドデザインに費やす時間は残り少ない。しかも、今の制度で選ばれている政治家は発想力が乏しい。いっそ、身辺調査や試験で政治家を選んだ方がいいかもしれません。
リクルートのように思い切った経営をせず、現状通りにいけばあなたの会社はこうなる。
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2020年と言えば東京オリンピック開催の年。安倍マリオで東京開催が世界中に知れ渡ったのではないでしょうか。
知人の外国人からは「2020年は絶対に東京に行く」などとの力強いメールが届くなど期待は膨らむばかりです。東京の街も新たな施設の建設だけでなく、宿泊施設の増改築や従業員の多言語対応などおもてなしの準備で騒がしくなってきた気がします。おそらく、2020年には訪日外国人は3000万人を超え、東京の街はパリのような観光都市の様相になっていることでしょう。
さらにオリンピックの経済効果でGDPの成長率予測は各シンクタンクともプラス基調。雇用創出は建設業だけでなく、サービス業や情報通信業にまで広がり、80万人以上とも算出されています。
ただ、日本は過去に数々の不況を経験しています。この10年でもリーマンショック、東日本大震災、あるいは民主党政権時代に起きた急激な円高不況。これの記憶が残る中、短期的な明るい未来に浮かれる気にならない人も多いでしょう。
2020年以降のことを考えると不安しかない
取材した人材ビジネスの経営者は、2020年まで大幅な業績の伸びを事業計画では立てています。にもかかわらず、収益は内部留保の方針だそう。大きな投資はせず、将来に向けて確保しておく……との話を聞かせてくれました。もっと投資して新規事業でも立ち上げればいいのにとも思えますが、
「2020年以降のことを考えれば不安しか思いつかない。だから、資金を潤沢に確保しておきたい」
と本音を語ってくれました。それくらい経営者は2020年以降に不安を抱いているのです。
でも本当に2020年以降は不安ばかりなのでしょうか?各メディアの経済記事を眺めると、2020年以降の不安材料を探して「大丈夫か?」と、危機感をあおるような論調であふれています。それが「2020年問題」としてあちこちで話題になっています。
その典型と思えるのが、マンションの資産価値がゼロになる……などといった不動産不況の到来を予測する記事。あるいは世界に目を向けて、中国の生産年齢人口が減少するなか、生産拠点としての国際競争力は低下するなどと危機感をあらわにするなど、例をあげればきりがありません。
では、当方が専門としている人事領域でも不安材料はあるのか?残念ながらあります。今回は人事の2020年問題について紹介したいと思います。
人事の2020年問題とは
そもそも、これまでの日本企業は危機に遭遇すると「人と組織」をどうしてきたのか?採用(おもに若手社員)の抑制に加えて、報酬体系の見直し、非正規社員の比率の増加、中高年層の早期退職などで対処してきました。いわゆる、リストラです。リストラとは「組織の再構築」を意味しますが、ダウンサイジングを前提とした取り組みのことも指します。近年でもリストラのニュースが世間を騒がせていた時期がありました。東洋経済オンラインでもここ最近で5年前よりも正社員を減らした会社ランキングで
1位 パナソニック 13.0万人
2位 NEC 4.3万人
3位 ソニー 3.6万人
を紹介していました。
このリストラによってとくに職場から離れた世代には、1950年代生まれの世代も多いでしょう。まさに人口の多い世代です。子どもの頃は学校の教室が足りなくてプレハブの教室で学んだなどと、この世代の方々から聞いたことがあります。それだけ競争も激しい時期であったことでしょう。会社は大量採用したこの世代の人件費を削減して生き残りを実現したとも言えます。
が、根本的に問題が解決したわけではありません。会社が過去に行ってきた採用数の「振れ幅の大きさ」で同じようなリストラを迫られる可能性が高いからです。
景気と採用数(とくに若手社員)は連動してきました。
景気好調=採用数増
景気不調=採用数減
この採用数の振れ幅の大きさが2020年に会社に大きな問題をもたらす可能性が高いのです。
時間を巻き戻すとバブル、団塊ジュニアと呼ばれる世代の社員は各社で大量採用されました。ちなみに当方もその大量採用組の1人。リクルートに入社したときには同期社員が800名いました。それでも会社の業績は右肩上がりと信じていたので、会社についても自分個人についても、将来に対する不安はみじんもなかったように記憶しています。
なおリクルートはまだ序の口で、大手流通、情報通信業界では4ケタを超える採用をしていました。同じような発想で景気好調=人手不足が続くと思っていたのでしょう。
ところが、この予測は外れたようです。日本経済は失われた10年に加えて、前述のような危機に遭遇して、成長しない時期が続きました。当然ながら人員は余剰になり、その後の新卒採用数は激減。会社の年齢ピラミッドはいびつな状況になっていきました。
そこで、人員の余剰感を解消するため、リストラの対象となったのが年長世代であり、かつボリュームゾーンであった1950年代の社員たち。そして、再び、同じことを行わなければいけない時期が迫りつつあるかもしれません。
1950年代生まれに続いて、当方と(ほぼ)同世代の1960年代生まれの世代もボリュームゾーンになっています。リストラに遭わないまま、時間が経過してきましたが、採用された人数は1950年代とそう変わりません。この世代が2020年代には50歳代前後に達し、賃金水準のピークになると同時に、管理職への昇進年齢にもさしかかります。ところが、その世代を処遇するポストと報酬が「足りない」のです。
採用を抑える術を覚えた会社
さらにリーマンショックの時期にはほかの年に比べて採用数を最小限にとどめた会社が大半。バブル崩壊などの学習効果で採用を抑える術を覚えたのです。取材した地方銀行は通常年で新卒採用を100名行っていますが、
・バブル期は200名
・リーマンショック後は50名
・現在は150名
とピーク時と最低時期で4倍近く採用数に違いがあります。この状態で2020年を迎えると支店長になれない人材が半数以上を超えるそうです。また、職場にはそのベテランと、同じく比較的採用数の多い若手社員だけ。現場を引っ張って欲しい中堅クラスの人材が明らかに手薄な状態になってしまうとのこと。
では、ボリュームゾーンとなった当方の世代はリクルートでどうなったか?世間の会社に比べて平均年齢が若く、平均勤続年数も短い会社なので、2020年問題をみなそれぞれのやり方でクリアしています。
かつて800人いた当方の同期社員はいまや20名前後しか残っていません。10年以上前からセカンドキャリアを考える機会を推奨。前向きな転職、起業のすすめについて、時間をかけて促してきました。“ボリュームゾーン対策”を社員が40歳になるまでの早い段階で行っていたのです。
ところが、世間の会社は50歳を迎えるタイミングで「会社卒業」への対応を迫られることになります。多くのリクルート社員たちのように、転職や起業を前向きにとらえることができるか?これはなかなか簡単ではないと思われます。
一方、ボリュームゾーン世代を定年まで雇用するとして、会社はポストと報酬を維持できるのか?会社は2020年までに新たなキャリアプランを提示する必要に迫られています。このキャリアプランをどのように提示できるのか。リストラとなってしまうのか?それとも前向きな施策が示せるのか?大いに注目したいところです。