60代になって、子育てや介護が落ち着いたり、定年退職を迎えたりして、さまざまな責任から解放され、ようやく自分の人生を自分自身でコントロールできるようになるのです。60代であれば、まだ気力も体力も十分。やりたいこともやれて、すごく幸せな時期なのです。
自分自身の気持ちをギアチェンジすることです。今までどんなときでも“家族中心”、“仕事中心”に考え、無意識に諦めてきたことも多いのではないでしょうか。でも60代からは、少しずつ“自分中心”の生活に変えてみてください。
そして、何をやりたいか、どんな生活したいかを考えることが大切です。さらに、それをどういうふうに実現するのか、また実現するにはどのくらいお金が必要かなど、プランを立てることも重要です。
お金は60代から75歳までにお金を多めに配分してやりたいことに使う。
一般的に老後のマネープランを考える場合、60歳から90歳までの30年間くらいを想定し、1年単位でいくら必要かを考えます。でも実際、健康寿命から見ても、75歳を過ぎると気力や体力などが衰え、アクティブに動けなくなる可能性があります。
――そうするとやはり、75歳までの元気なうちに、やりたいことをやって、お金を使っておいたほうがいいというわけですね。
「老後」と、一括りに出来ない。老後も75歳まで(老後の前半)は、結構元気で時間もあって、好きなところに行ったりしている人も多いです。だけど、75歳を超えると(老後の後半)、行ける場所や食べられるものも限られてきて、だんだんお金を使わなくなります。
だから、元気でいられる60歳から75歳までの老後の前半に、お金を厚めに配分する「前厚マネープラン」をおすすめしているのです。そうしないと、使えないまま終わってしまうこともあります。
とはいえ、パーっと無計画にお金を使うのではなく、ちゃんと老後の後半で必要になるかもしれない医療・介護費などは考慮するように使わなければだめです。そのためには介護等に必要な一定金額を残し、好きな仕事をし、得た収入を使い切ることが一番でしょう。